25 説得と荷造りと証拠集め
どうぞよろしくお願いします。
帰る、話をしようと押し問答している所へ、ソウヤくん親子と雅さんの御両親、そしてはるみ伯母さんと私の母、それに留学仲間の御夫婦も来たのだそう。
すると強がっていた雅さんがおとなしくなって泣き始めたのだそう。
『匠海が危ない』と。
匠海くんは朋佳さん達が一緒だから大丈夫、まだ天堂先生は気づいていない。
雅さんが帰宅する約束をした時間までは大丈夫と説明していくと、雅さんは落ち着きを取り戻し、自分が体験してきたことを話して助けを求めてくれたそう。
雅さんの御両親は……呆然自失だったそう。
雅と天堂さんからはいい報告がたまに届くくらいで、写真も幸せそうに見えていた、と。
『何で言わなかったの!?』と雅さんの母が泣く。
『だって、連絡することも逃げることもできなかった。
私のスマホは義弘さんのパソコンに紐づいてて内容をチェックされてるから、変なことは書けなかった。
そもそもスマホ自体が許可された時しか使えなかった……。
それに、幸せになったと思わせたかった!』と雅さんは大泣きしたそう。
最終的に認めてもらったとはいえ、いろいろ無理を通した結婚だったみたいだし、失敗でしたと雅さんも認めたくなかったのかもしれない。
でも、雅さんが日本に帰って来て、助けを求めようとした人がひとりいた。
川上先生だ。
『川上なら、天堂に対抗できる気がしたの』ということだ。
川上先生なら実家もしっかりしていて(教育者の一家らしいし)、お金持ちだし、天堂さんから自分と匠海くんを一緒に助け出してくれるんじゃ……。
日本に帰って来てからは何とか川上先生とコンタクトを取ろうと……していたわけだ。
できればよりを戻したいという気持ちもあったそう。
でも、うまくいかず……、そこに川上先生の教え子で天堂家の親戚となった私が現れた。
天堂さんが私のことを『高校生の時の雅に似ている。かわいいよな』と言ったので思いついてしまったそう。
『この子を身代わりにすれば、天堂と別れられるんじゃないか!?』と。
ひどいことをしているという認識はまったくなかったそう。
川上先生に連絡を取り、天堂さんと円満に別れる。
そればかりが目標として頭にあったそう。
「そこまで精神的に追い詰められていたってこと?」
アキが唸るように言った。
「でも、スタンガンって……。拷問だよな。本当にひどいよ」と相原くんも呟いた。
都さんが話を続ける。
「最初、話が嚙み合わなくて……。
天堂のこと心の底から恐れているって気づいてからは、客観的な事実を積み重ねていったの。
やっと雅に天堂はただのひどい男で、あんたをうまく操っていただけだとわからせることができた。
そこからは早かったよ。
何があったか、雅がとうとうと話し出してさ。
……朋佳ちゃん、川上に大切にされてるあなたを妬んで、自分の代わりに天堂に差し出そうとしていたこととか、もー、ぜーんぶ、話してくれちゃってさ。
で、川上と相原くんに指令を出したわけ。
これからマンションの鍵を持ってそっちに行くから、天堂が留守の間に部屋に入り、必要な荷物をまとめてること。
朋佳ちゃん達に合流して、隙を見て帰宅した匠海くんを、そして朋佳ちゃん達を無事にマンションから連れ出すってね。
まあ、私達は天堂の証拠をもっと集めたかったから結局、隠れてたんだけどさ」
「どこに?」と私。
「奥の寝室のところ」
「リビングの音、聞こえますか?」とアキ。
「ふふっ、電波飛ばすやつリビングに仕掛けておいたのよ。
それを聞きながら録音してた。
万一のために川上にボイスレコーダー持たせてたし」
読んで下さり、ありがとうございます。




