23 胸糞悪い
どうぞよろしくお願いします。
「あ? お義母さん?」
天堂さんが驚いている。
「義弘さん! 何やってるの!
雅さんから話は聞きました!
お父様に報告しますから、きちんと自分がしでかしたことの責任は取りなさい!!」
はるみ伯母さんの一喝!
「……違うんです!
雅が嘘をついてる!
そうです、私は帝慶大の教授になる男ですよ!
大学中退であんな中途半端な女とは違う……。私の方を信用して下さいよ!」
都さんが言った。
「アメリカでのことを知っている御夫婦からも話を聞いたし、雅と話を合わせて確認した。
雅に嘘をついて、周囲にも嘘をついて、雅を孤立させて、自分に依存するようにしたね!?
それに……、あんた、雅に暴力を振るってたんだって!?」
「それは!
少しは躾のために」
「躾って……。
ペットじゃないんだからさ!
やめてよね!
スタンガンのことも聞いた。
何度かやられて、それ以来怖くて強く逆らえなかったと。
逃げたら匠海くんにやると言われて、逃げ出すこともできなかったと。
でも、取り上げて隠してしまえばとあんたの外出時に探しても見つからなかったとね。
持ち歩いているわけでもないしと。
そっか……、息子君のおもちゃの中か……。そりゃ雅も気づかないわ。
でも、匠海くんは気づいていたってとこか」
天堂さんは匠海くんを侮っていたんだろう。
まだ子どもだからと。
「そ、そんなの、証拠になるわけがない!
最近はしていないから傷も残って……」
言いかけて黙る天堂さん。
都さんがにっこり笑う。
「はーい、もちろん録音してますよ。
もう雅と匠海くんの当面必要な物も持ち出せたし。
後は調停かな、裁判かな?
その前に警察が来るかもね?
帝慶大もそんな人物、雇い続けるかしらね?」
天堂さんの表情が絶望に変わるのがわかった……。
「やめてくれ……、それだけは……」
「やめてくれ?
雅もあんたに叩かれたりスタンガン押し付けられて『やめてくれ』と言ったはずよ。
それなのにあんたは何してくれてたん!
自分の息子まで使って、妻を脅迫してさ!
弁護士を間に入れますから!
ちゃんと離婚してよね!
その対応次第では、この話を帝慶大の方に……」
「やめてくれ!
離婚でもなんでも、条件も飲むから!」
「条件!?
あんた自分の方から条件付けられるとでも思ってるの!?
ああ、胸糞悪い。
私達は引き揚げます、が、変な動きをしたり、雅と匠海くんをこれ以上傷つけるようなことがあったら、即座に地獄に落としてやるからね!!」
都さん……、なんかすごいけど、かっこいい……。
天堂さんは項垂れて座りこんだ。
私はリビングを出る時に、プレゼントした機関車と桃太郎の絵本を手に取った。
匠海くんに渡してあげよう。
そして、天堂さんを残し、みんなでマンションを出た。
読んで下さり、ありがとうございます。




