18 悪口
どうぞよろしくお願いします。
アキとマユミで七の紙を取り出して匠海くんと覗き込んでいる。
『吉』だった。まあいいんじゃない!?
「パパもやってみようかな?」
天堂さんが言って引いてみたら『二十九』で末吉だった。
天堂さんはざっと読んでから、おみくじの紙を折り、紐に結ぶ。
「なんでむすぶの?」
「ありがとうって結んでいくこともあるんだよ。
お守りとして持ち帰る人もいるよ」
私の言葉に匠海くんはじっと紙を見て「もってかえりたい」と言った。
きれいにたたんで、私が預かった。
「やー、りんご飴!」とマユミが屋台を見て叫ぶ。
私も屋台を見る。
りんご飴、焼きそば、後、おもちゃというか変形ビーチボールみたいな空気を入れる屋台が出てた。
「りんご飴、食べたことないや」
私は笑って言った。
「はつもうで、たのしいね」
匠海くんが言って「お祭りの方がもっともっとお店が出るよ」と言うのはマユミ。
私は「今度はお祭りにも行こうね!」と声を掛けた。
「おまつり……。うん」
もっといろいろ体験した方がいいよね。
「良かったな匠海。
朋佳ちゃん達と一緒に来て良かったよな。
ママときたら、こうはいかなかったぞ」
……どう、こうなんだ?
しかも、しれっとちゃん付けになってる。
私もアキもマユミも何も言い返せなくて黙った。
変なのはわかる。
雅さんの悪口だ。でも、いつもがわからないから、何とも言い返せない。
私達の微妙な表情に天堂さんが少し怯んだ気がする。
「いや……、ママと来るとな。いろいろうるさいんだよな!」
「うるさい?
ママ、うるさくないよ。
パパのほうがいろいろいうし、だめっていう」
匠海くんの言葉に天堂さんの表情がカッと怒りと恥ずかしさなのか赤くなった。
慌てたように言う。
「何言ってるんだ!
いつもだめというのは、ママだろう!
ほら、すぐ『おしまい』って言うしな」
匠海くんがちょっと納得いかないような表情ながらも「……うん」と頷いた。
「な、そうなんだ!
雅はいろいろ口うるさくて、すぐに機嫌を損ねて『おしまいっ!』って言うんだよ」
私達に聞かせるような天堂さんの言葉がなんだか空しく流れていく。
だって、誰に言ってるの。
匠海くんにじゃない。私達に、だよね。
そう、雅さん、そして都さんの方はどうなっているんだろう。
川上先生達は?
その時、これからお参りに来る人達とすれ違ったのだけれど、その中に相原くんがいて!
確かに、川上先生は顔バレしてるもんね。
少し安心した。ちゃんと見守ってくれてる。
私達はおしゃべりをしながらゆっくり歩き、鳥居をくぐってマンションの方に戻り始める。
相原くんがお参りを終わらせ、私達を追いかけて来る形になる。
「お昼はどうしますか?」
私は天堂先生に聞いた。
「そうだな。
マンションの向かいのファミレスはどうだ?」
「そうですね。じゃあ、マンションの方に戻りながら……」
そう答えると相原くんが私達を追い越して行った。
……ファミレスに川上先生まだいるとか?
あ、車……か。
読んで下さり、ありがとうございます。




