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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第9章 若宮朋佳
219/258

17 おみくじ

どうぞよろしくお願いします。


 エントランスから外へ出る。

 アキがさりげなくスマホを触っている。 

 私は天堂さんに近所の神社の名前を告げ自分のスマホの地図を見せる。


「……こんなところに神社があったんだ。

 こっちの坂を上がったところだよ」


「じゃ、先頭お任せします。

 匠海君、手を繋いで行こう」


 私はスマホをリュックにしまうと匠海くんと手を繋いで天堂さんの後を歩く。


「春の歌、何か知ってる?」


「はるのうた? うたならきらきら星しってる!」


「じゃあ、きらきら星歌おう!」


「「きらきらひかる~おそらのほしよ~」」


 私と匠海くんで口ずさむとアキとマユミも一緒に歌ってくれる。


「「瞬きしては、みんなを見てる~」」

「「「「きらきらひかる~おそらのほしよ~」」」」


「上手! ママさんが教えてくれたの?」


「うん!」


 うれしそうに教えてくれる匠海くん。

 雅さんが匠海くんを置いていくなんて選択をしないでくれるといいなと心から思った。


「じゃあ、私がわらべうた教えてあげる。

 熊本のわらべうただよ。

 あんたがたどこさ、ひごさ、ひごどこさ、くまもとさ……」


『さ』で握った手を上下に大きく揺らす。


「むずかしい……」


「リズムに乗って歌えば覚えられるよ。

 あんたがたどこさ、ひごさ、ひごどこさ、くまもとどこさ、せんばさ」


 アキが匠海くんの向こう隣りに来て手を繋ぎ「さで持ち上げよう」と言った。

 私とアキで「「それを猟師が鉄砲で打ってさ」」で、匠海くんを持ち上げた。


「わぁ!!」


 うれしそうな匠海くんの声。


「「にてさ」」「きゃあ!」

「「やいてさ」」「うひゃ!」

「「くってさ」」「ひゃははっ!」

「「それを木の葉でちょいとかくしょ!」」


 最後は匠海くんをぎゅっと抱きしめたが、私はゼーゼーしていた。


「情けないなー」とアキは涼しい顔だ。


「おもしろい! もう一回!」


 匠海くんに言われるが「お参りしてからね」と私は言った。

 別に誤魔化したわけじゃない。もう神社が見えてきてて、周囲にお参りの人達もちらほら……。

 鳥居をくぐって神社の階段を上り、次の鳥居をくぐる。

 そして、本殿に向かいお参りする。

 お手水とかもあるけど、寒いし、小さい子もいるし、今回は大目に見てもらおう。


 本殿から社務所の方に歩いて行くと「あれなに?」と匠海くんが指差しているのはおみくじの大きな六角柱の箱を振っている人だった。


「おみくじだね」


「おみくじ?」


「占いってわかるかな?

 あの箱の中に数字が書いてある棒が入っていてね。

 箱を振って出すの。くじを引くみたいにね。

 その数字が神様が教えてくれた数字ってこと。

 その数字の紙をもらうと、いろいろ書いてあるんだ。

 こんないいことがありますよとか、もっと頑張りましょうとか、こういうことに気をつけてとか。

 それがおみくじ」


「んー?」


 ちょっと難しいか!?


「匠海、おみくじ引いてみるか!」


 天堂さんの言葉にすぐ答える匠海くん。


「うん、ひく!」


 天堂先生が匠海くんにおみくじの箱を渡す。


「わあ、重い!」


 匠海くんは振るというより下に向けるみたいにして、棒が1本飛び出しかける。

 私は慌ててそれを掴んでおみくじの箱の口を手で押さえ、箱を受け取った。


「これだよ」と掴んだ棒を渡す。


「?」


 漢字だもんね。

「七だって」とアキが読んでくれた。

 私は七の棒を受け取り箱に戻して、置いた。


読んで下さり、ありがとうございます。

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