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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第8章 横川紗栄
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25 モラハラ!?

どうぞよろしくお願いします。

「なんだよ、呼びつけて。

 みんな集合かよ」


 川上は居酒屋の個室に入ってくるなり苦笑して言った。


「まあ、情勢が変わりましたので」と都がグラス片手にもう片方の手で髪をかき上げる。


「加藤、横川、今日、ありがとうな。

 若宮が感謝してた」


「もう若宮さんと連絡を取り合ったの!?

 さすが……というか」


 私が言うと「なんだ横川、ずいぶん機嫌良いな」と返された。

 機嫌? 私が?


「川上、今日あったこと、朋佳さんに聞いたのか?」と加藤。

 加藤がなんとなく助けてくれたような気がした。まあ、普通のやり取りなのに何故か、ね。


「朋佳って……。まあ、加藤ならいいか。

 少し疲れているみたいで、ちょっと話が飛んでて、日本酒がどうとかって」


 微笑みながらそう言って私を見た。


「朋佳が岩瀬の家業を知ってて連絡して、その日本酒を取りに加藤と横川が一緒に行ってくれたと」


 私は頷き、加藤が川上にもう一度、今日あったことを簡単に説明した。

 そのまま、加藤はさっき私達が話していたことを話し出す。


「それで、俺は……。篠原より天堂の方がやばいんじゃないかと思った。

 それを横川と話している時に都が連絡くれて」


 都が手を挙げて注目を集めるような仕草をする。


「アメリカ留学の時の様子を、人から聞くことができて」


 そうだよね。そこがわかればもう少し踏み込んで判断ができる。 

 都はビールを一口飲んでからグラスを少し乱暴に置いた。


「ひどかったらしいよ。束縛というか……。

 最初はとても若い奥さんでしかも妊娠中でしょ。だから大切にしているのかと思ってたんだって。

 あ、話ししてくれたのは私の勤め先の先輩なんだけど。

 天堂先生と同じ年度で同じ大学に留学してて、同じコミュニティにいたんだって。先輩も新婚さんで、だから余計に気にしてたみたい。

 で、先輩の奥さんが英語ができる人で、篠原の世話というか、買い物とか通院とかけっこう手伝ってたそう。

 産婦人科も日本人の女性医師がいるわざわざ遠い所まで通ったり、篠原が欲しいものというか買い物に必要な現金を渡されてるというやり方に驚いたそう。

 奥さんから話を聞いた先輩も驚いたそうだけど、それぞれの家のやり方もあるしねと。ちょっと変わっているな、こだわりがあるのだろうかとは思ったみたい。

 で、子どもが生まれて、奥さんが天堂先生の家に行った時に篠原がとても不安がっていて『ここは治安が悪いから、現地の人間とは付き合うな』『子どもも日本人としか付き合わせないように』と言われたと聞いて……。

 先輩は天堂先生から『妻は外国人にトラウマがあって、付き合えない。申し訳ないが奥さんにサポートしてやってくれると助かる』と言われていたから、夫婦でもうどういうこっちゃってなって、天堂先生のことも注意して見るようになったんだって。

 そこで周囲の人に篠原の悪口や愚痴を……。

 外国人が苦手で困る、とか、英語がなかなか上達しない、とか、買い物にもひとりで行けない、だから俺がついてないと何もできないんだ、的なね。

 で、先輩が『雅さんの本当の理由、外国人にトラウマがあることをきちんと周囲の日本人に説明した方がいいんじゃないか』って、『その理由を隠して、奥さんを貶すようなことを言うのはモラハラになるよ』と、ね」


 都はため息をついた。


「そうしたら、逆に雅のために、雅のトラウマを隠すためにやってることで、他の人に責められることじゃないって逆切れされて。

 雅からも奥さんに絶縁メッセージが来て、それきりだって。

 先輩『雅さんもモラハラで洗脳されてんじゃないの?」って。

 でも、まあ、それ以上は何もできず。人のトラウマのことを第3者に相談することもできないじゃない。

 で、天堂家より先に3年ほど前にこっちに帰って来たんだって。

 今日、天堂夫妻が知り合いで、先日帰ってきてなんて話を雑談でしたら、高校、大学の友人ならトラウマのことやその後のことを知ってるかと逆に聞かれちゃってさ」


 私と加藤は顔を見合わせた。

 篠原にそんなトラウマがあるなんて聞いたことがない。

 篠原をアメリカで孤立させるため!?

 加藤が感じたことは、本当かもしれない……。

読んで下さり、ありがとうございます。

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