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第5話 危なかった

「……つ、つまり……マルィさんは、怨霊か何かって事ですか?」


『あっ、いや……何と言うか……生まれ変わりみたいなものかな……』


「生まれ変わり? 」


 私は、看板になった経緯をミールルアに話した……と言っても、冷静になり、やっぱり魔王を倒した事を言うのはまずいと思い、その辺は全く話さなかったため、急に苗木になっていた、そして看板になっていた、という、突拍子の無いものになったが……。


「……そ、それって……怨霊じゃないんですか? マルィさんがいた場所に……未練があるとか……」


 ミールルアは、どこからかお札のような物を出し、私から距離を取っていた。

 ……確かに、怨霊と何が違うんだろ。と私は一瞬思ってしまったが、いやいや、と考え直した。

 私は間違いなく看板そのもののはずだ。魔力を広げなければ周りが分からなかったし、魔法も看板から出ていたし……。


『そんなはずはない。間違いなく、人間だった頃の意識が、看板として宿っているんだ……』


「未練が強すぎて、た、魂が苗木に宿ったとか……」


『そんな、未練が強すぎて魂が宿るだなんて……』


 そんなわけないだろう、とミールルアに伝えようとしたが、一概にそうとも言えない事に私は気づいた。

 ……まさか未練が強すぎて、なんてことはないだろうが、私が苗木として生まれ変わったのではなく、苗木に私の魂が宿ったのだとしたら……魔王の嫌がらせ以外にも、新たな可能性が見えてくる。

 ……魂を霊界から呼ぶ魔法。私が使った事は無いが、そんな魔法が存在するはず。

 誰かが私を人目見たくて、そんな魔法を使ったが、魂を戻すのを忘れて……それで苗木に宿っちゃったとか……。

 ……いや、それはないか。それだと事実上の死者蘇生になってしまう。死者蘇生は禁じられた魔法だからな……。

 ……いや、今は知らないな。まさか死者蘇生が禁じられなくなった……? そんな訳ないよな。


『まあ、とにかく、拘束を解いてくれ』


 私はつい色々考えてしまったが、取り敢えずまずは危機を回避するためにミールルアにそう訴えた。


「ま、まあ、仕方ないですか……。そう言えば、もしかして数千年後が何とか……って言っていたような気もします。……さ、流石に元人間に魔法を使うのは良くないですから……拘束は解きましょう」


 ミールルアは、しょんぼりしながら魔法での拘束を解いてくれた。おいおい魔法を使うつもりだったのか、危なかったな。


『えーっと、詳しく話して欲しい。私から感じた不思議なオーラや……いつから私を観察しに来ていたか……など』


 私はミールルアに詳しい経緯を聞くことにした。私にしては全てが唐突すぎる……まだ、私や世界の事が何も分かっていない状態で、知るチャンスを掴もうとしたら、拘束されていた……なんて。

 少しでも分かる事を増やしたかった。


「わ、分かりました。教えましょう」


 ミールルアは、詳しい経緯を教えてくれるようだった。

今回も、読んでくださりありがとうございます。


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