第4話 看板、王国へ
「つ、着きましたよ」
魔力を広げるのを一旦やめ、ミールルアに俺を転送してもらい、その声で、もう一度魔力を空気中に広げた。
……おお、ここが……王国……。
……私が知っている王国より、随分発展している……。やはり、この世界はもう、少なくとも数百年は経過しているのか……?
いや、な、何かしら、技術の革命が起こっただけかもしれない。
俺はそう信じる事にした。
『ミールルア……ありがとう』
「い、いえいえ……その……これから、ど、どこかに向かうとかありますか……?」
『どこか……か……』
俺は言葉に詰まった。無い訳では無い。国王の事を調べるために、城に行くだとか、取り敢えず歴史について調べるとか、人間を転生させる魔法について調べるとか……調べたい事ばかりだな。
……だからとにかく、今すぐ何かしら調べられる場所に行きたいのだが……。
やっぱり難しいな……どこか行きたい所があるか……と聞かれると。
「もしよければ……わ、私の家にこ、来ない?」
返答に迷っていると、ミールルアはそう提案した。
家に? ……まあ、それも悪くない選択ではあるが……しかし、そうした所で、何かわかる事はあるのだろうか。
城に行った方が手がかりが……いや、でもそれにはミールルアの力がいる訳だし、一旦お邪魔させていただくというのも……。
歴史の本が家にある可能性もあるからな……。
『……じゃあ、そうさせてもらおうかな』
私は、迷った末にミールルアの提案を受ける事にした。
「……やった、じゃあ、と、飛びますね……」
『うん……』
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気がつくと私は、おそらく魔法……で、拘束されていた。
『うん……!?』
「す、すみません、マルィさん! でも、き、気になるんです仕組みとか……ちょっと! ずっと不思議だったんです! ずっと確かめてみたくて……!
不思議なオーラは感じていましたが、まさか意識があるだなんて……!
い、いきなりこんな事するつもりは無かったんですが……まさか、こんな簡単に王国に連れて行けるだなんて、思ってなくて……チャンスだ……とか、思っちゃって……」
ミールルアは、目をキラキラと輝かせ、様々な角度からこちらを眺めていた。
……確かに、よく考えてみれば、転移の魔法が得意だとしても、わざわざ村に毎日観察に行くくらいだ……こうなる予測は立てておくべきだった。
……まさかお互いチャンスだと思っていたとは……。
こんなに興味を持たれているとは思わなかった。
まずいな、少々身の危険を感じる……。
「看板に意識があるだなんて……今までに無かった……! 一体どういう仕組みで……!」
『あっ……ああ……その』
……私は迷っていた。
私が元々人間だった事を言うか言わないかでだ。
今、ミールルアは、おそらく、私の存在を看板に意識が芽生えた者、と考えているのだと思う。
ミールルアに話しかける前、ここは私が魔王を倒してから、どのくらい後の世界なんだ、とか考えていたが、ミールルアに伝わってなかったり、そもそも前世が人間だと思われていない可能性もある。
今、私が元人間である事を伝えたら、流石に拘束を解いてくれるのでは無いだろうか。
もう話が大きくなるとかどうでもいい。身の危険を回避するためだ……!
……もしミールルアが、私が元人間だった事を分かってこんな事をしているなら、その時はもう無理だ。運命を受け入れるしかない。
『実は、私は、人間だったんだ……』
私は覚悟を決めてミールルアにそう伝えた。
「……えっ?」
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