4話 魔王様の願いは。
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「はぁ〜……めんどくさ。」
名前も覚えてない冴えない顔の男
今回の、117人目の勇者が消えたあとに女神は長いため息を吐く。
目の前には、魔王アダリアの魂。
本来ならいつものようにこのまま次の“魔王”として軽く作り替えるだけだった。
何度もそうしてきた。しかし今回は違う。
アダリアの話しなんて聞く必要なんてない。聞いて良い事なんてない。
――けど。
「はぁ、”コレ”ばかりは逆らえないからなぁ〜。」
アダリアが、魔王アダリアとして死んでいく瞬間を何度も観ている。退屈が少しだけ紛れる。今回もそうだった。
『魔王の願いを叶えてやってくれ。』
あの冴えない顔した勇者が言った。
しかもあの発言、かなり色々と気づいていた。
気分が悪い。
「えーと。何で彼を勇者に選んだんだっけ…??あ!!日本記載の名前が勇志で勇者っぽかったからだ!!」
そうだった。日本人は島国で人口が少ないから他の国や異世界の他種族より選びやすい。それに見た目は地味で似た背格好だが過酷な環境にも屈しない事が多い。そんなこんなで日本人は割と選ぶことが多かった。
「なーんか似たような奴に出会ったことあるって思ったらさぁ、みーんな似たり寄ったりだもんね。」
適当な理由で連れてきたんだと思い出し
腹を抱えてケラケラとわらった後 すぐに真顔にもどる
「……ほんと、嫌な勇者だった。」
ボクは仕方なく、魂へ声をかける。
「ほら、起きなよ」
「罪人、アダリアよ。」
目の前の魂を手繰り寄せ軽いキスをする
その瞬間魂は人の形を成していく。
美しい人の形。黄金の眼がゆっくりと開く。
同時に流れ込む
百十七回分の人生。
百十七回分の死。
人間の死体。血の匂い。仲間の死。
勇者に殺された記憶。何度も何度も。
全部。一気に。
アダリアの目が見開く。そして
「ヴゥ…。ア゛ァ…。」
目から大粒の涙を流し、その場に塞ぎ込み静かに嗚咽する。
「…。」
何も言わずしゃがみこみアダリアの長い髪を掴み 目線を合わせる
「どうせ直ぐに忘れるんだろ。ソレなら泣きやめよ。」
「ッ…。」
ビクッと肩を震わせる。目は怯えていた。それもそうだろう瞳に映るボクの顔は恐ろしかった。
「朗報があるんだよ。直近で戦った勇者がいるでしょ?その勇者からプレゼントがあるんだ。」
掴んでいた髪を離しニコッと笑ってみせる
「え…。」
「歴代の勇者には買った褒美に三つ願いを叶えるってルールがあるんだけどさ。117人目の勇者の三つ目の願いが “魔王の願いを叶えてやってくれ”だったんだよねー。」
「!! 」
「覚えているでしょ?最後の勇者。」
「うん…。相馬、ユウシ。覚えている。」
また涙を浮かべている。
それもそうだ
117代目
あの勇者は他のヤツらと少し違った。
信念強いって言うか、勘が鋭いって言うか。
だからホントは放置観戦するつもりだったけど何度かアシストした。
けどそれも変に勘付いてボクの話も聞かなくなった。
アダリアの最期だってそうだ。良い意味で最期まで寄り添った奴は見た事ない。印象深いに決まっている。
ポロポロ泣き出すアダリア。願いは何だろうか。魔王を辞めたいは正直無理だ。上が許してくれないだろう。アダリアも理解はしているだろうけど。
「ほら、魔王様の願いは?ボクの気が変わらない内に述べてね。」
ニヤッと笑って見せる。アダリアは覚悟が決まった顔でボクを見る。
「ワタシの願いは____________。」
数秒の沈黙。
願いを聞き驚いた、が
「あ。」
面白いことを思いついた。




