第95話 専属参謀への不正アクセス(ナンパ)と、管理者権限による完全排除
【担当:慎也】
僕の日常がこれ以上壊れませんように……。
本編スタートです。
4月。3年生の新クラスにも少しずつ慣れ始めた頃。
昼休みの教室で、花憐は困り果てていた。
「だから花憐ちゃんさー、生徒会の仕事なんて適当にサボって、放課後カラオケ行こうぜ! 俺が奢るからさ!」
「えっと、その……本当にごめんなさい。生徒会の予算編成がまだ終わってなくて……」
花憐の机の前に陣取っているのは、同じクラスになった軽薄そうな男子生徒、チャラ男の健太だった。
彼は顔が広く、女子にもそこそこ人気があるタイプだが、花憐の「隙のある優しさ」につけ込み、ここ数日しつこく言い寄ってきているのだ。
「あの堅物会長に付き合ってたら、貴重な青春が台無しになっちゃうって! もっと楽しく遊ぼうよ。ね?」
健太が、馴れ馴れしく花憐の手首を掴もうとした、その瞬間。
ガシッ。
健太の腕が、背後から伸びてきた「氷のように冷たく、万力のように硬い手」によって、空中で完全に固定された。
「……痛っ!? な、なんだよ!」
健太が振り返ると、そこには絶対零度の眼光を放つ生徒会長・齋藤慎也が立っていた。
「……私の専属参謀に対し、何らかの不正アクセス(接触)を試みているようだが」
キースラインは、健太の腕を掴んだまま、見下すように冷たく言い放った。
「貴様、私にアポイントは取ったのか?」
「は、はぁ!? なんでお前に許可取らなきゃなんねーんだよ! 俺はただ、花憐ちゃんをカラオケに……」
「……非効率の極みだな」
キースラインは健太の腕を乱暴に振り払い、花憐の机の前に立ちはだかった。
「貴様の直近の学力テストの偏差値は48。部活動は帰宅部。特筆すべきスキルも実績も皆無だ。
……そんな低スペックの貴様が、我が学園のシステムを支える最高頭脳(花憐)の『時間』という貴重なリソースを奪う? その見返り(対価)が、密室でのカラオケと安価な飲食の提供だと?」
「なっ……! 人を馬鹿にしやがって……!」
健太が顔を真っ赤にして食ってかかるが、キースラインの威圧感の前に、足は一歩も前に出ない。
「馬鹿になどしていない。単なる『投資対効果(ROI)の計算』だ。
貴様と行動を共にすることで、彼女に何らかのバフ(成長・利益)が付与されるという客観的データがあるなら、今すぐここに提示しろ。……できないなら、二度と彼女の視界に入るな」
キースラインは、眼鏡(伊達)をクイッと押し上げ、とどめとばかりに宣言した。
「彼女の時間、知力、そして未来の進路に至るまで。全ては私のプロジェクト(計画)に組み込まれている。
……つまり、彼女は私のものだ。貴様のようなウイルスが干渉していい領域ではない」
「……っ!!」
そのあまりにも堂々とした、そして独占欲にまみれた「所有権の主張」に、クラス中が静まり返った。
健太は完全に気圧され、「チッ……覚えてろよ!」と捨て台詞を吐いて、逃げるように教室を出て行った。
「……全く。セキュリティの甘いシステムだ」
キースラインは忌々しそうに呟くと、花憐を振り返った。
「花憐。ああいう無駄なポップアップ(ナンパ)は、即座にブロックしろ。貴様の時間は1秒たりとも無駄にはさせん」
「さ、齋藤くん……」
花憐は、顔を真っ赤にして俯いていた。
(『彼女は私のものだ』って……みんなの前で、そんな……///)
助けてもらった安堵よりも、キースラインのストレートすぎる独占欲に、心臓が早鐘のように鳴っている。
「……どうした? 顔が赤いぞ。熱暴走(風邪)か?」
「な、なんでもないっ! ほら、早く生徒会室に行くよ、会長!」
「おい、引っ張るな。歩行のバランスが崩れる」
花憐はキースラインの背中をグイグイと押し、そそくさと教室を後にした。
新クラスの生徒たちは、その二人のやり取りを見て「あ、この二人の間には絶対に入れないな」と、即座に悟るのだった。
【事後分析報告】
読んでくれてありがとうございます。慎也です。
また僕の体が物理法則を無視した動きをしていたようですが……楽しんでいただけたでしょうか?
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