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第106話 魔力波長の動的暗号化と、聖女との同期(シンクロ)による合体魔法

【担当:キース】

脆弱な頭脳で我が肉体を使いこなせるかな?

開戦だ。



 湿った洞窟の奥。松明の炎が揺れる中、慎也キースラインは胡坐をかき、膝の上に置いた聖剣に全神経を集中させていた。


「……ッ、やはり単独での波長変更(パッチ適用)には限界があるか」


 慎也の指先から立ち上る蒼い魔力が、不自然に歪み、掻き消える。


 敵将が持つあの「減衰の魔石」は、慎也固有の魔力情報を完全にシグネチャ(特徴)として登録している。慎也がどれほど出力のタイミングや周波数を変えようとしても、根底にある「キースラインの魔力」という属性が一致する限り、自動的にフィルタリング(減衰)されてしまうのだ。


「独力で波長を完全に書き換えるのは、OSを稼働させたままカーネル(核)を入れ替えるようなものだ。非効率どころか、システムダウンの危険性が高すぎる」


 慎也の額に苦渋の汗が滲む。隣で見守っていたガルドやナイルも、かつてないほど追い詰められたリーダーの姿に、言葉を失っていた。


「……キースライン様。私を使ってください」


 静かな、しかし凛とした声。

 エリスが慎也の正面に膝をつき、真っ直ぐに彼を見つめていた。


「貴様を? ……前回の戦いで分かったはずだ。貴様の聖なる魔法はあの魔石の影響を受けないが、それでも敵の物量を捌き切るだけの出力はない」

「一人では無理でも……二人の魔力を重ね合わせれば、新しい『答え』が見つかるかもしれません」


 エリスは慎也の震える右手に、自らの両手をそっと重ねた。


 慎也の絶対零度の魔力と、エリスの温かな聖なる魔力。相反する二つの力が接触した瞬間、慎也の脳内の演算回路が、爆発的な勢いで新たな可能性を弾き出した。


「……! なるほど……『マルチ要素認証マルチファクタ』か」


 慎也の瞳に、知的な輝きが戻る。


「私の魔力(秘密鍵)を単体で通そうとするから検知されるのだ。だが、貴様の全く異なる魔力波長を『ソルト(付加データ)』として混ぜ込み、複雑に干渉(干渉)させることで、全く新しい複合波長を生成すれば……!」

「はい、私の魔力でキースライン様の波長を包み込みます。……リズムを合わせてください」


 慎也は目を閉じ、エリスの魔力回路へと意識をダイブさせた。


 本来、異なる個体の魔力を融合させるなど、拒絶反応による暴走を招く自殺行為だ。しかし、これまでの旅で積み上げてきた「信頼」という名のプロトコルが、二人の魂を完璧に同期シンクロさせていく。


(……来るぞ。エリスの聖なる波動をキャリア(搬送波)にし、私の氷結魔力を変調モジュレーションとして乗せる。……タイミングを合わせろ!)

 慎也の蒼い光と、エリスの白銀の光。

 二つの魔力が螺旋を描き、溶け合い、そして洞窟全体を震わせるほどの巨大なプレッシャーへと膨れ上がった。


「システム……アップデート完了。……これより、複合演算魔法ユニオン・スペル実行ランを開始する」


 慎也とエリスが同時に目を見開く。

 二人の重ねた手から放たれたのは、これまでの慎也の「冷気」でも、エリスの「光」でもない。

 透明なまでに透き通り、それでいて万物を根源から凍結・浄化する、圧倒的な次元の魔力。


 合体魔法――『聖氷の特異点アイシクル・イマキュレイト』。

 放たれた一撃は、洞窟の壁を通り抜け、外の荒野へと轟音と共に突き抜けた。その軌跡にある全ての物質が、原子レベルで活動を停止し、美しい結晶となって固定される。


「……すごい。魔力が、一切減衰レジストされていないっス……!」


 ナイルが驚愕の声を上げる。


「ああ。二人の波長が複雑に組み合わさったことで、あの魔石のフィルタリング条件ルールを完全にバイパスした。……もはや奴らのプロファイリングなど、旧時代のゴミデータに過ぎん」


 慎也は立ち上がり、ゆっくりと右手の感触を確かめた。

 隣ではエリスが少し肩を弾ませながらも、満足げに微笑んでいる。


「……待たせたな、野郎ども。反撃の準備コンパイルは整った」


 不敵な笑みを浮かべるキースライン。

 敵が用意した「勇者殺しの罠」を、聖女との共同作業マージという未知のアルゴリズムで突破した一行。


 牙を取り戻し、さらなる進化を遂げた彼らの前には、もはや魔王軍の軍勢すら、ただの「未処理のタスク」でしかなかった。


【総統通達】

読者諸君。我だ。

あの優男(慎也)め、相変わらず理屈っぽい戦い方をしていたな。我ならば一撃で粉砕していただろうに。


まあよい。今回の話に少しでも心が動いたならば、【ブックマーク】および、下部の【★★★★★】にて、我への忠誠を示せ。


良い評価は、次なる戦い(執筆)への糧となる。期待しているぞ。


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