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弱小調査団の大口団長とシゴデキ副団長  作者: 水津希理
大富豪からの挑戦状
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最後の謎

 「やっと外が見えたな。

でもそう簡単には、出してもらえなさそうだ」

 ジョナサンの言葉通り、次の部屋には奥に壁と言っていいほど大きな窓があり、外が見えていた。

そこには極彩色の花々が咲き誇る庭園があった。

さらに植え込みは奇抜な芸術作品のような形に刈り込まれていた。

「イースターブルックさんって、本当に変な趣味の人ですね」

 庭園の様子を見て、グロリアはそう言った。


「見てください、立て札がありますよ」

 アリーナが指差す方を見ると、確かに窓の外に立て札が立っていた。

そこには「開いているものを読め。『STEP IN THE GARDEN!』」と書いてあった。

「開いているもの?

逆に閉じている文字の方が少なくないか?」

 ジョナサンは首をかしげた。

「多分、この部屋の中にヒントがあるんですよ」

 グロリアは部屋をキョロキョロと見回した。


 部屋の中には壁に燭台、部屋の隅にテーブルセットと、特に変わったところはなさそうに見えた。

だがテーブルセットの反対側に、意味ありげな白い布をかぶせたなにかがあった。

「なんかこれ、怪しくないですか?

よいしょっと!」

 グロリアが布を取り去ると、そこには16個の木箱が並んでいた。


「妙な並べ方だな。

それと蓋が開いているものと閉じているものがある」

 ユキナリは木箱を見てそう言った。

確かに彼の言うとおり、箱は以下のように並んでいた。

□□□□ ■■ ■□□ ■■■■■□■

□→開

■→閉


 「なるほど。

そういうことですか」

 アリーナはなにかを確信したような表情をしていた。

「どういうことだ?」

 疑問を口にしたジョナサンに、アリーナは答えた。

「この箱は、さっきの『STEP IN THE GARDEN!』という文の中にある単語と同じ並べ方なのですよ。

ということは、開いている木箱に対応する文字を拾うと、『STEPHEN』。

つまりスティーブンです」

「スティーブンって、つまりイースターブルックのおっさんのファーストネームか?」

「みたいですね」


 途端に鐘が鳴り響き、ギリギリと音がして天井の中央部分が下がってきた。

4人はそれぞれ、天井の下がってくる部分に当たらないように逃げた。

その部分はゴンドラになっており、恰幅のいい紳士が拍手をしながら乗っていた。


 「いやー、お見事だ、諸君!

私がその、スティーブン・イースターブルックだ。

まさかこのからくり屋敷の謎を解いてしまうとは」

 床に降りるなり、紳士はそう言った。

「謎解きだけじゃねえだろ。

バトルもあったぜ」

 ジョナサンがそう不満をあらわにしたが、紳士は笑顔を崩さなかった。

「そうだ。

諸君が実戦にも強いのかどうか、見させてもらった」

「そうですか」

 アリーナはそう言ったが、言葉尻には呆れが表れていた。


「では約束だ。

諸君らの願いをなんでも叶えよう。

金銀財宝、酒池肉林、どんと来いだ」

 自信たっぷりなイースターブルックに、ジョナサンは言い放った。

「じゃあ、正当な報酬を払ったうえで、俺たちをさっさと帰してくれ」

「そんなものでいいのか?」

 イースターブルックの声には、驚きが満ちていた。

だがジョナサンは平然と返した。

「俺たちはほかの依頼を放り出して、あんたのお遊びにつきあったんだ。

帰ったら仕事は山ほど残っている。

俺たちは忙しいんだ」

 あっけにとられたイースターブルックに、アリーナはメモを渡しながらさささやいた。

「1日がかりの調査費用が4人分でこの額、そしてここまでの交通費が往復でこの額。あとはバトルでの治療費をこのぐらいお願いできますか?」

「ああ……」

 イースターブルックは、あ然としたままうなずいた。

そしてアリーナの言い値を財布から彼女に渡した。

アリーナは礼を言った。

「ありがとうございます。

確かに確認いたしました」

「じゃ、イースターブルックさん。

約束だ。

俺たちをここから出してくれ」

 イースターブルックはわかったと言うと、テーブルセットに隠されていた扉を開けた。

ジョナサンは扉から出るとき、振り向いて言った。

「あと、執事をあんまり苦労させるなよ。

じゃあな!」


 4人がオレンジ地区に着いた頃、もう日は沈みかけていた。

「あーあ、結局夕方までかかっちまった」

 ジョナサンはそうぼやいた。

「青い空を仰ぎ見るのは難しかったか」

 ユキナリは真顔でそう言った。

「変なときにダジャレを言わないでください」

 アリーナはツッコミを入れた。

「観光どころじゃなかったですねぇ」

 グロリアは残念そうだった。


「あれ、事務所に鍵がかかっている」

 ジョナサンがそう言うと、アリーナが答えた。

「忘れたのですか?

メレディスは今日は早く帰ると言いましたよ。

彼に施錠を頼んだのは、あなたです」

「ああ、そうだった。

じゃ、今日はここで解散だな。

みんな、また明日!」

 ジョナサンがそう言うと、ほかの3人はそれぞれ手を振って家に帰っていった。

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