↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱小調査団の大口団長とシゴデキ副団長  作者: 水津希理
大富豪からの挑戦状
PR
31/33

使用人とメイド

 ドアの向こうには、家具や調度品が一切ないだだっ広い部屋が広がっていた。

中央には使用人とメイドらしき男女が立っていた。

ジョナサンはあまりの異様な光景に警戒した。

ほかの3人も、表情を固くした。


「よくぞここまでたどり着かれましたね。

お待ちしておりました、リュシストラトス調査団御一行様」

 使用人は開口一番、そう言った。

ジョナサンは緊張を解かないまま、尋ねた。

「お前ら、一体何なんだ」


「わたくしたちはイースターブルック様にお仕えする、メイドと使用人でございますよ」

 メイドは満面の笑みでそう語った。

ジョナサンは彼女に疑問を投げかけた。

「なぜここにいる?」

「そうですね。

ご主人様に、あなたがたを倒すように言われたからです」

「倒す?」

「はい、わたくしたちは戦闘に特化した精鋭でございますので」


 メイドが相変わらずの笑顔でそう言い終わるが早いか、いつの間にか距離を詰めていた使用人が、ジョナサンに蹴りを入れた。

予想外の攻撃に、ジョナサンはふっ飛ばされた。

「なるほど、わかった。

そのケンカ、買ってやるよ」

 ようやく体勢を立て直しながら、ジョナサンはそう宣言した。

使用人はにこやかに応えた。

「一対一ではそちらが不利ですので、東洋人の彼も一緒に戦うので構いませんよ」

「ああ、じゃあ容赦なくボコボコにしてやるよ。

いいな、ユキナリ」

 ジョナサンがユキナリに目線を移すと、ユキナリは頷いた。

「決まりですね。

では戦闘開始と参りましょう」


 その様子をあ然として見ていたアリーナとグロリアの眼の前に、ピシリとムチが打ち付けられた。

見ると、メイドが笑顔でムチを構えていた。

「あなたがたはこちらです。

さあ、女同士手加減なしで戦おうではありませんか」

「わかりました。

こちらも二対一でいいですね」

「はい、どうぞ」

 メイドがそう言い終わるかどうかのうちに、アリーナはスカートをたくし上げて太ももに着けていたワンドを抜いた。

グロリアは力強く吠えた。

「手加減しないんだからね!」


 ゴッ!

すでに息も絶え絶えのジョナサンを狙い、使用人が蹴りを入れようとした。

しかしその前に満身創痍のユキナリが木刀で受けた。

ユキナリはそのまま押し返そうとしたが、使用人の力の方が強かった。

ベシリと音を立てて、木刀は真っ二つに折れた。

ユキナリは反動で体勢を崩したが、なんとか立て直した。

だがそこに容赦なく使用人の蹴りが決まって、ユキナリは飛ばされた。

ジョナサンは拳と蹴りで応戦していたが、使用人の方が一枚上手だった。

散々攻撃を食らい、ジョナサンは這いつくばった。

「チクショウ!」

「さあ、これで最後です」

 使用人はそう言うと、足を高く上げた。


 次の瞬間、使用人が吹き飛ばされていた。

ジョナサンが顔を上げると、丸腰のユキナリが使用人にタックルを浴びせていた。

「間に合ったな」

 ユキナリは立ち上がると、冷静にそうつぶやいた。

「サンキュー!」

 床に座り込んだジョナサンは、そう礼を言った。

「馬鹿なっ!」

 使用人はなんとか起き上がって、あえいだ。

「じゃ、俺たちの勝ちってことでいいな?」

「仕方ありませんね。

こちらも体力の限界ですので」

 使用人は渋々負けを認めた。


「魂を震わせる水、ウォータ!」

 アリーナがそう詠唱して水魔法を放ったが、メイドはたやすくムチで水を散らした。

「そのワンド、邪魔ですね」

 そう言うなりメイドはムチでアリーナの利き手を打った。

アリーナは思わずワンドを取り落としてしまった。

彼女は武器を拾おうとしたが、先にメイドがムチで遠くに飛ばした。

グロリアが敵討ちと言わんばかりに蹴りを入れた。

だがメイドは一瞬よろめいただけで、すぐにその脚をムチで打った。

「いったーい!」

 グロリアはそう叫んだ。


 「では、そろそろ決めさせてもらいますかね」

 メイドがそう言って再びムチを構えようとしたが、滑って転んでしまった。

「油断しましたね」

 アリーナはしゃがんだまま、不敵な笑みを浮かべた。

メイドの足元は一面ツルツルの氷に覆われていた。

アリーナは続けた。

「魔法使いはワンドがないと、無能だと思いましたか?

あなたがさっき散らした水を利用させてもらいました」

「なんてことを……」

 メイドはなおもムチを取ろうとしたが、グロリアがそれを蹴り飛ばした。

「完敗です」

 転んだ姿勢のまま、メイドは残念そうにしていた。


 「勝ちましたー!」

 グロリアは満面の笑顔で、ジョナサンにそう報告した。

 「おお、こっちもなんとかなったぜ」

 ジョナサンはそう応えた。

「では、私たちは先に進みます」

 アリーナはワンドを拾い、太ももにセットした。

「また作らなければな」

 さっき打ち捨てた木刀を見て、ユキナリは面白くもなさそうにそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。