ボタンとレバーの部屋
「なんだかここ、やたら殺風景だな。
風情がないというか、なんというか」
ジョナサンは新しい部屋を見渡してそう言った。
「そうですね。
無機質という表現がぴったりです」
アリーナは怪しいところがないか見回しながら、彼に応じた。
「あの、また立札がありますよ。
『左から高い順』?
なんのことでしょうか」
グロリアの言う通り、彼女の視線の先には立札があった。
書かれていた内容もその通りで、それ以上の情報はなかった。
「レバーとボタンがあるな。
これでなんとかしろということか」
ユキナリはそう言いながら、向かって右の壁にあるレバーを動かそうとした。
しかし次の瞬間、彼は顔をゆがめて利き手を振った。
「どうした?」
ジョナサンが尋ねると、ユキナリは顔をしかめたまま答えた。
「レバーに電流が流れた。
どうやら、動かしてはいけないようだな」
「困りましたね。
あっ、よく見てください。
レバーの脇に数字が書いてあります」
アリーナのその言葉通りレバーはそれぞれ、赤は7、青は2、黄色は3、緑は5の位置で止まっていた。
どのレバーの脇にある目盛りも、最大数は10だった。
「素数か。
なにか意味がありそうだな」
ジョナサンはそう言いながら、反対側の壁に目をやった。
右と同じ金属製の壁に、赤いボタンが4つ横に並んでいる。
「押してみますね。
あっ、青になりました」
グロリアの言葉通り、一度押されたボタンは色が青に変わっていた。
彼女がさらにボタンを押すと、緑、そして黄色へと色が変わり、次に赤に戻った。
「痛いっ!
こっちも電流が走りました」
「大丈夫ですか?」
そう尋ねたアリーナに、グロリアは顔をひきつらせたまま答えた。
「我慢できないレベルではないです。
でも、ここも押し間違えられないみたいです」
「どうすりゃいいんだ?」
ジョナサンはそう言って頭を抱えた。
平静を取り戻したユキナリは、しばらくレバーとボタンを交互に見比べていた。
やがてなにかに気が付いたように、突然ボタンを次々と押し始めた。
ボタンの色は最終的に向かって左から、赤、緑、黄色、青になっていた。
するとまた、どこからか鐘が鳴り響き、奥のドアがガチャリと音を立てて空いた。
「うまく行ったな」
そう言って満足そうなユキナリに、グロリアが尋ねた。
「どういうことですか?」
「レバーは固定されていて、変えられるのはボタンの色だけだった。
そしてレバーはそれぞれ違う位置で固定されていた。
それでレバーの高さ順に、ボタンの色を揃えたというわけだ」
そう語るユキナリは、いつもの無表情に戻っていた。
「すげぇな。
ま、とにかく先を急ごうぜ」
ジョナサンはそう言ったものの、内心では自分が活躍できるときが来るのだろうかと危惧していた。




