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弱小調査団の大口団長とシゴデキ副団長  作者: 水津希理
大富豪からの挑戦状
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27/33

絵画と枠の部屋

 「なんかこの部屋、絵がいくつかかかっていますね。

それと、立札」

 グロリアはあたりを見回してそう言った。


彼女の言う通り、部屋の中には5枚の絵が飾られていた。

キャンバスの大きさは同じだが。美女、静物、街並み、大樹、猫など、描かれているものは様々だった。

そして、部屋の中央には立札が立っていた。


「『Sの右左、Fの左とDの右にあるものを枠に入れろ』?

なんだ、これ?」

 ジョナサンは立札に書かれた文言を読んで、首をかしげていた。


「枠って、これですかね?」

 部屋の奥で、アリーナが声を上げた。

ジョナサンがそちらを見ると、ドアの脇の壁に絵画が額ごと収まりそうな枠が取り付けられていた。

彼はアリーナに呼び掛けた。

「おそらくそれだな。

そこに絵を入れろということか」


「立札の指示を理解する必要がありそうです。

でも、まるで検討がつきませんね」

 アリーナはそう応じたが、ピンと来ていない様子だった。


「試しになにか入れてみますか?

例えばこの猫の絵なんか」

 グロリアはそう言うと、猫の絵を壁から外し、枠に収めた。

その途端、ガシャンと音を立てて、天井から金属製のたらいが降ってきた。

グロリアはかろうじてたらいを避けて、無事だった。

「びっくりした―。

間違えちゃダメなんですね」


「天井を見てください。

残るたらいは3個。

つまり間違えるたびに、たらいが落ちてくるようです」

 アリーナは、天井を見上げてそう言った。

ジョナサン、ユキナリ、グロリアがその言葉に従って上を見ると、確かにたらいが3個、手錠からぶら下がっていた。


「あの高さだと、たらいを外しに行くこともできないな」

 そう言って思案顔をしているユキナリを、ジョナサンはたしなめた。

「やめとけ。

このからくり屋敷、なにがあるかわからねぇよ。

罠を外そうとすると、返り討ちに会うかもしれねぇぜ」


「Sの右左、Fの左とDの右……。

あっ!」

 アリーナは突然声を上げたかと思うと、取り出したメモ用紙を壁に押し当て、ペンで一心不乱になにかを書き始めた。


「なんだ、どうした?」

 そう尋ねて近づいてきたジョナサンに、アリーナはメモ用紙を差し出した。

「これです。

そういうことだったんですよ」

 差し出されたメモ用紙には、アルファベットが横一列に書かれていた。


「あー、なるほど。

Sの右左はそれぞれT、R、Fの左はE、Dの右もE。

つまり『TREE』。

大樹の絵を枠に入れればいいんだな」

 ジョナサンはようやく合点がいった。


「じゃ、入れてみますね」

 グロリアは猫の絵を枠から出し、大樹の絵を枠に入れた。

するとどこからか鐘が鳴り響き。ガチャリと音を立ててドアが開いた。


「正解ということか」

 ユキナリは真顔でそう言い、ジョナサンはアリーナに参事を浴びせた。

「アリーナ、お前、やるなあ!」

「初歩的な言葉遊びにすぎませんよ。

さあ、先を急ぎましょう」

 塩対応のアリーナに対して、ジョナサンは少し不満だった。

「ちぇっ、やっぱりアリーナには敵わねぇな」


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