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弱小調査団の大口団長とシゴデキ副団長  作者: 水津希理
大富豪からの挑戦状
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26/33

「森の悪夢」

 「しかし、よりによってブロンズ地区まで呼び出されるとはな」

 人気のない乗合馬車の停留所で、ジョナサンはぼやいた。

「おそらく確実に土地が確保できたのが、ブロンズ地区だったのでしょうね。

ケントルム市内でも、西の端となれば地価は安いですから」


 そう答えたアリーナに対して、ジョナサンは頭をかいた。

「ま、金持ちの考えることなんて、俺にはわかんねぇよ」

「珍しく同意です」

 そんなふたりの会話を聞いて、ユキナリとグロリアは今回もただでは済まないだろうと思い、顔を見合わせた。


 ほどなくして、馬車がやって来た。

馬車は途中でいくつもの停車場に停まり、一行がブロンズ地区にたどり着いたのは、午後11時少し前だった。

辺りを見回すと、のどかな郊外の景色が広がっていた。

挑戦状に同封されていた地図を見て、アリーナは言った。

「こっちですね。

おそらくあの、森が広がっているあたりでしょう」


 一行は地図の指示通りに進み、森の中に入った。

森と言っても手入れはされているようで、石畳の道が整備されていた。

木々もきちんと剪定されているようで、うっそうと茂っているというわけではなかった。

むしろ心地よい木漏れ日が差し込んでいた。


 道沿いに森を進むと、唐突に大きな屋敷が現れた。

ただ屋敷全体は極彩色に彩られており、およそ森とは似つかわしくなかった。

「ここ、ですかね。

少なくとも、地図によればそうです」

 アリーナは地図と屋敷を見比べてそう言った。


「なんだ、こりゃ!

まるで『森の悪夢』だな」

 思わずそう漏らしたジョナサンに、グロリアが応じた。

「団長、そんなフレーズ、よく出てきましたね。

でも気持ちはわかりますよ。

なんだか色遣いが気持ち悪いですもん」


「顔料を適当にぶちまけたような感じだな。

秩序と言うものが、およそ感じられない」

 ユキナリがそう同調すると、アリーナがその場を締めた。

「とりあえず、中に入りましょう。

ここであれこれ言っていても、なにも動きませんよ」

「それもそうだな。

よし、みんな行くぞ!」

 ジョナサンはそう掛け声をかけると、屋敷のドアを開けた。


 一行が屋敷に入ると、ドアはひとりでに閉まり、カチリと音を立てた。

最後尾にいたユキナリが、ドアノブに手をかけたが、ドアはびくともしなかった。

「閉じ込められたみたいだな」

 ユキナリが表情ひとつ買えずにそう報告すると、ジョナサンはひと息吐いた。

「からくりを解かないと、出られないってことか。

しゃあねえ、やってやるよ!」

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