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雷銃

「ルミ先輩…!助かりました…!」


ルミのサブウエポン、銃での攻撃が炸裂し、雷の衝撃波が森原とその一帯を襲った。魔装が破れており、攻撃を受けられない岩屋を庇うため、翼で岩屋と自身を包み、防御に入った。


その隙に高石と静香が離脱。そして、ルミと交戦していた石井は3対1では分が悪いと考え、ルミとの交戦状態から離脱。森原と岩屋の前に立ち、攻撃の隙をうかがっている。


 今の状態は硬直状態だ。ルミの2丁の銃と空中のメイメイに岩屋を強襲されるのを警戒して動かないが、戦況は未だ蘭花の劣勢。いつ攻め込んできてもおかしくない。


「高石、魔装の調子はどう?」


「見ての通り、全身、ぼろぼろ、それに3カ所穴が開いてます。」


「静香は無傷だね。」


「はいっ!でも、メイメイが一度やられちゃいました。」


2人の状況を確認するルミ。高石の魔装はもう限界。これ以上攻撃を受けるのは不可能だろう。魔力自体の残りはまだまだあるようだが無理に攻めさせるのは難しいかもしれない。それに光盾を突破する手立ても無い。一方静香は無傷。メイメイも今宙を飛んでいるもの含め、あと2,3はストックがあるくらいの残魔力量か。だが、こちらもその攻撃が決定打にならないのは、先ほど確認済みだ。

 

 「ルミ先輩の相手はどうですか?」


 「強いね。私ほどじゃないけどね。でも、性格悪い攻め方をしてくるんだよ。」


 「?」


「ほら、私の左足の魔装、壊れているだろ?ここを狙って攻撃してくんだよ。」


「それって…!奴は、ルミ先輩の足、壊すつもりですか…!」


「壊されるつもりはさらさらないけどね。」


ルミが魔装の壊れた左足を見ながら言う。


 通常、魔装の壊れた部位を狙う意味はほとんどない。勝利条件は魔装を壊し、その中にあるバンクルを壊す事だ。魔装が壊れた部位を攻撃しても、魔装は削れないのだからいくら攻撃しても意味が無い。


それでも狙う理由があるとすれば、相手の魔装の壊れた部位を攻撃する事で、その部位を怪我させることだ。



だが、これは現実的でない。表層の魔装が破れてもバンクルの魔装は2層構造だ。表層の魔装は競技用で強度が低い。そして、これが壊れるとバンクルが露出し、バンクルの破壊が可能になる。普段、選手たちが魔装と呼ぶのはこの層だ。一方内側の層はバンクルよりも、体側、つまり、バンクルと体の間にある。この層は選手の体を守る安全装置の役割を果たしており、バンクルこそ守らないがその強度は表層の比ではない。



そしてその内側にも人間が生まれながらに張っている魔力のバリアが存在する。そして、この層もバンクル内側の層と並んで極めて強度が高い。つまり、表層を壊したからと言って、人間の体に到達するには、まだまだ先が長いのだ。これが、魔闘の安全性を確保しており、競技として成立している理由でもある。


確かに魔装はすべての衝撃を吸収するわけではないし、表層の衝撃吸収効果は内側の2層と比べても高いから、選手を怪我させることも可能かも知れない…がそんなことするぐらいなら、表層の魔装を壊したほうがよほど手っ取り早い。



そんなことを言うルミに、静香が言う。


「でも、それってファウルですよね!」



「ばれないようにやってるんだ、他の部位を狙うふりして、当てるつもりの攻撃だけ足を狙ってんだ。ありゃ相当やり慣れているね。」



ファウルになる条件は、故意に魔装の壊れた部位を狙うことだ。その故意がばれなければファウルにはならない。


「それで、どうしましょう…?僕の攻撃も、静香の攻撃もエンジェルには通らないですよ」


ルミと静香も考える。だが、アイデアが思いつかない。何かないかとルミがベンチを見る。


「…ベンチのサインは…『花』か。いけるかわからないけど…やってみるかね。」


「了解です。」


「はい。やってみましょう。」



花のサインは前衛一人。つまりルミが前衛に立ち、高石と静香が後方からサポートするということだろう。つまり正面突破だ。岩屋のバンクル破壊を目的にするには遠くなるが、現在やや優勢の前衛同士の戦い、つまりルミと石井の戦いに戦闘の主軸にすることで、なんとかチャンスをつかむのが狙いということだろう。高石のバンクルを守る目的もあるのだろう。


まだ逃げ回る訳にはいかない。なんとか一人、相手の魔装を壊せなければ、勝機は見えない。


「行くぞ!高石!静香!」


「「了解!!」」



3人が動き出す。ルミが前衛に駆け出し、それをカバーできるような位置に高石と静香のメイメイが移動する。



それに応戦するように相手の前衛石井が迫る。そして後方の森原が翼を開き魔力を高める。


「ブライト・ボール!!」



無数の光球が生成され、そのすべてがルミに向かう。



「雷弾ッ!!」



ルミの雷銃の銃口から、雷の弾が放たれる。ルミのサブウエポン、雷銃だ。基本、遠距離への対応策を持たない近接職のルミが、己の攻撃の自由度と選択肢を高めるために覚えた武器だ。


複数の武器、特に近接武器と遠距離武器を組み合わせるのは、攻撃の選択肢が広がり、極めて有効だ。先ほど、また今回のルミのように、近接職なのに遠距離からの攻撃もできれば、それだけで打開できる状況というのは数知れない。


反面、複数の武器を扱えば、それだけ一つの武器の練習にかけれる時間は少なくなる。そして、その結果、どちらも上手く扱えない、どっちつかずの選手になりがちだ。それを可能にしているルミ、そして軍神がどれほど優れているかは想像に難くない。



雷弾と光弾が交差した瞬間、雷弾が強い衝撃波とともに破裂する。



威力は雷銃が圧倒的に上。たった2弾で数えきれないほどあった光弾が全て吹き飛ぶ。



そして二丁の銃の尻を合わせると、銃が変形し一本の薙刀になる。



「おらあああっ!!!」



石井とルミの武器が衝突する。やはりパワーはルミが上だ。ルミの薙刀がじりじり押し込む。



だが、今は森原の攻撃を守る手立てがない。森原が次の攻撃に移る。


「ブライト・レイッ!!」



「くっ!!」


森原のレーザー光の攻撃だ。威力は無いが、視力が奪われる。



高石と静香には使用していない。ルミを潰すことに専念するつもりだ。


「ブライト・ボール!!」



「メイメイ!回雷弩!!」




ブライト・ボールとメイメイが衝突する。トップスピードでは無いが、威力はややメイメイが上か。メイメイの体が少し削れるが、光弾はほとんど消滅する。とはいえ、やはり妨害するくらいが限界だろう。


高石が大きく跳ね、石井の隣に槍を投げる。


「氷牢の槍!!凍れッ!!」



氷の槍が変形し、石井の隣から襲い掛かる。


これを石井がさっと振り払う。やはり遠距離の攻撃では厳しいか。



だが、片手が塞がった。


「おらああっ!!」


「くっ!」



ルミに石井が押し込まれる。そしてその隙にルミの薙刀が銃に変形。そして、バンクルの壊れている岩屋を狙い撃つ。



「光盾っ!!!」



森原の盾が銃に打たれ少し揺れる。だが無傷だ。



「もう一発っ!!」




再びの雷銃。少しひびが入ったか。やはり、近距離から攻撃したいが…



態勢を立て直した石井が再び切り込む。



それに対して、即座に薙刀に変形し打ち合う。



「ブライト・レイッ!!」




「くっ」



再びルミの視界が奪われる。だが、来るのが分かっていれば対応できる。ルミが目を瞑りながら敵の位置を予想しながら切り込む。



(…空振り?)



視界が戻る。石井がいない。



「まさか!」





「があ!!」



高石が石井に切られている。


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