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覇王と覇王と覇王

覇王顕在まであと約35秒、高石と静香はその内に岩屋を倒しきらなければならない。


高石が静香に叫ぶ。



「行くよっ!!」



「了解!!」



 高石が再び岩屋めがけて氷の床を展開。そしてそれに飛び乗る。岩屋はその射線から離れてしまえば、最高スピードでの攻撃は回避できるだろう。だが、避ける気配はない。



 あくまで岩屋の目的は後ろの2人の覇王展開までの時間を稼ぐことだ。蘭花の2人の狙いが後ろの2入でないとしても、彼らを守るのをやめれば、真っ先に覇王の展開を妨害するのは間違いない。その方が優位に立てるのは明白だからだ。だから、岩屋はすべての攻撃を受け止めるしかない。


 だが、残り30秒。如何に人数や状況で劣勢であろうと、稼げばいいのはたったそれだけの時間だ。



「氷撃突き!!」



岩盾(がんじゅん)!!」



最高スピ―ドの高石と岩屋が衝突する。衝撃で岩盾は砕け、だが同時に、反動で氷の槍も砕ける。


反動で飛びあがった高石が即座に槍を生成し、そして追撃する。



「氷槍三段突きっ!!」


「くっ!!」


岩屋は片手だけ岩拳を生成し、攻撃を凌ぐ。だが、二撃は魔装に浅く命中。小さなひびが入る。


高石の強みはトップスピードからの一撃だ。だが、スピードの乗っていない攻撃も一撃必殺とまではいかないまでも、十分強力だ。



残り20秒。




後方の静香が叫ぶ。



「メイメイ!!回雷弩(かいらいど)!!」


メイメイが回転しながら岩屋に突っ込む。既に高石は距離を取っている。


「!!」


これを回避しようとする岩屋。だがその足元が氷の床に変わっていた。


「しまっ!」



バランスを崩しかけるが何とか跳ねる。だが、躱しきれない。



「があっ!!!」



遅れた左足の魔装があっさり吹き飛ぶ。



高石も静香も多少の違いはあれど、圧倒的なスピードと強烈な一撃で勝負するタイプだ。限られた時間での速攻はこの上なく得意だ。だから、最終戦のメンバーに選ばれた。



残り13秒。


左足の魔装が吹き飛ぶも、態勢を立て直そうとする岩屋。だが、追撃のては緩まない。


「氷槍三段突き!!」



再びの三段突き。次は岩拳の生成すら間に合わない。3カ所の魔装に重い一撃が入る。特に右手の魔装は既に大きなひびが入っている。


残り10秒。


(くっ、このままじゃ間に合わないな…大技に賭けるしかないね。)



メイメイが再び上空を舞っている。




最初に当てたメイメイの雷鳥落としなら、十分に魔装を破壊しきれる。残り時間で打てる大技はそれしかない。


静香はきっとそれを理解している。やるしかない。




「はああっ!!」



無造作に氷槍で岩屋を突く。それを岩屋の左手に生成された小さな岩拳がすんでのところではじく。岩拳というより石のかけらといった方がいいかも知れない。そこを容赦なく押し込み岩屋を槍で地面に差す。


残り6秒。


「メイメイ!雷鳥落とし!!」



メイメイが急降下する。




 雷鳥の衝突まであと推定4秒。魔装は壊せてもバンクルまで破壊するのは困難だろう。雷鳥の直撃直後、即座に追撃できればいいが、高石はギリギリで離脱しなければならない。メイメイに巻き込まれれば、高石の魔装もただでは済まない。このあと19分。1人でも生き残るため、逃げながら戦わなければならないのだ。ルミ先輩なら、19分逃げ切ることも不可能ではないかも知れないが、戦力は少しでも温存したい。それにだいいち、自分も雷鳥の攻撃を受ければ追撃は不可能だ。



そして残り3.5秒。高石が離脱。



 だが、バンクルまで壊せれば圧倒的に勝利は近づく。直撃後残り2秒、高石は追撃するための態勢を整える。



残り2秒。雷鳥が直撃する。

 




 衝突の衝撃の陰から吹き飛んだ岩屋が見える。高石が咄嗟に動く。




即座に、吹き飛んだ岩屋が止まる地点を予測。急速に加速し、高石が突っ込む。



「氷撃突き!!」














「翼…。」





白く光る魔力の翼。その厖大な魔力に高石の強烈な一撃が弾かれる。やはり、吹き飛んだ相手を追撃するには時間が足りなかった。



覇王が顕在した。 







 岩屋のいた位置を守るように巨大な翼が包み込んでいる。この姿は見覚えがある。



「エンジェルだね…森原選手覇王か。」




 天の使い 天使 エンジェルだ。森原選手がこれまで使っていた覇王だ。光の玉をフィールド全域に放ちながら、敵の魔装を削っていく能力だ。



 だが、高石の一撃を防いだ翼の防御力をみるからに、防御にも優れた覇王なのだろう。




 その後方、もう一人の覇王。石井の覇王だ。



 黒い魔力で顕在する鎧を纏った巨人。




「黒帝 ナガマサ」




そう一言呟く石井。能力は分からない。だが、即座に形成した刀を見るに、近接戦闘を主とすることは間違いないだろう。



 そして自陣後方、ルミから紫電が放たれる。そして漢服を纏った魔力体の男性が現れる。



 「雷星 彦星」




そして、同時に雷で薙刀を形成する。ルミのメインウエポンは薙刀、サブウエポンは銃だ。形成したのは薙刀。つまり、近接戦を仕掛けるつもりだ。



それを見た静香と高石がこれからの作戦を察する。ルミは敵陣後方から前衛に上ってきている石井のナガマサを抑え込むつもりだ。覇王と十分に戦えるのは覇王を持つ者だけだ。


『彦星』のルミと『ナガマサ』の石井が相対する。


ルミがニヤリと嗤い、いう。


「行くぜ。」



一言も答えない石井。だが、既に臨戦態勢だ




ルミ先輩ならば確実に覇王を抑え込んでくれる。そして1対1ならば、確実に勝ってくれる。ならば、2人がやるべきことは1つ。



「「行くよっ!!」」




2年生の静香、高石が動き出す。彼らの狙いは岩屋を守る天使エンジェルだ。




 「氷床!!」



 「メイメイ!!」



高石が弧を描くように氷床を生成し、滑りながら接近する。静香のメイメイもスピードを上げながら接近する。


エンジェルは恐らく防御型だ。その潤沢な魔力で味方を守るのが本領なのだろう。予選で見せた範囲攻撃は、一見厄介だが、攻撃対象の魔装の強度が高まると攻撃が減衰してしまい、ほとんど意味をなさなくなる。言うまでも無く蘭花の選手には通用しない。だから、同格以上との戦いでは別の戦法を取ることが予想されていた。


そして、防御型なのは蘭花にとって極めて幸運だ。覇王がどうしようもなく強力なのは、その増えた魔力量を活かした暴力的なまでの攻撃力で敵を粉砕するからだ。2戦目の佐々木も、今大会屈指の実力者にも関わらず、覇王 『炎帝 スス』を召喚した軍神の前では、何もできることは無かった。それほど絶対的な魔力量なのだ。


だから、それを攻撃に回されたとき、2人の覇王に対しる1人の覇王や、覇王を持たない選手は成すべなくやられる。だから、それを防御に回してくれれば、まだ、勝機はある。


勿論防御型の覇王は圧倒的な防御力だが、高石も静香も超攻撃型。残り時間をふんだんに使えば十分突破可能だ。




そして、恐らく翼の中の岩屋の魔装は破けている。だが、バンクルは破けていない。防御を解かないのは 岩屋を守るためだ。


そして、岩屋の魔装さえ破壊できれば、勝機は見えてくる。時間はかかっても構わない。そして、もしバンクルを破壊できなくとも、ルミが石井を倒すまで、時間稼ぎができれば十分だ。



高石と静香の魔装は破れてもいい。最悪、ルミさえ残ればいい。



高石が進路を直線に変え、トップスピードに乗る。そして、氷の槍に魔力強化を乗せる。


静香のメイメイもトップスピードだ。




「氷槍一閃!!」



「メイメイ!!回雷弩(かいらいど)!!」




そして直撃する。





(やっぱり効いてないね…)



流石に防御型の覇王だ。



(だけど、僕たちの魔力もまだまだ余裕だ。我慢比べと行こうか。)



そして一瞬ルミ先輩の方に目をやる。





(!?…あの覇王使い、ルミ先輩とまともに戦えているのか…!)



ルミ先輩と石井はどうやら互角のようだ。ルミ先輩についていける選手がいるなど予想外だが、やることは変わらない。



「もう一回!!」




再び天使を見る。そして氷の床を滑り、接近する。



メイメイも再び空を旋回し、突っ込む。




「氷槍一閃!!」



「メイメイ!!回雷弩(かいらいど)!!」




その瞬間、天使エンジェルが強く光った。


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