↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
55/58

第五十五話 二章第十九話 お礼計画

異世界を舞台としたハーレム冒険小説の通算第五十五話です。

メーゼレに帰還したマサキ達は、ヘイズルへの報復とランスの妹を救出するために動き出す!

初めまして方はどうぞ第一話から読んで下さい。お願いします!

読んでくれたら、作者のやる気が出て頑張れます!

「偶然に近かったけど、この魔道具の正体を知れたし、私達に掛けられていた呪いも解くことが出来た。この魔道具をヘイズルに渡したら・・・悪用するのは目に見えている。何しろ、あらゆる効果を発揮する魔法の薬を発現出来るわけだからね。使い方次第では、このエレンディア世界の脅威になるのは間違いない。・・・例えば、私達に盛った呪いの毒よりも強力な、飲ませた相手を完全服従させる毒や、不老不死の薬も作り出すことも可能のはずだよ!」

 恐ろしいほどの苦さに耐えて解毒剤で呪いを解いた俺達だったが、それに浮かれることなくアリサは魔道具とそれを渇望しているヘイズルに対する危惧を口にした。

「不老不死だって?!」

「うん。この魔道具なら可能だと思うよ。・・・いや、止めといた方がいいぞマサキ! 今飲んだ解毒剤であの苦さだったんだ。たぶん、この魔道具が作り出す液体は効果が劇的になるほど、なんらかの副作用が発生するのだと思う。魔法効果のない酒や水なら問題ないが・・・不老不死となるとどんな副作用が出るかは想像出来ない・・・。もしかしたら吸血鬼のようなアンデッドにされるかもしれない!」

「ええ、その通りです! 効果が判明した以上、これほどの力を秘めた魔道具を軽々しく悪用するべきではりません!」

「うん、これをヘイズルって人間に渡すくらいなら、もったいないけど今ここで海に捨てた方が良いくらいだね」

 本気で不老不死を願っていたわけではないが、アリサを筆頭に仲間達が揃って俺を窘(たしな)める。

 彼女達は完璧な善人や常識人というわけではないが、こういった場面では常に懸命な判断を選択する。さすが天秤の使者と言うべきだろう。

「そうだな・・・下手に欲を出しても、破滅しそうだしな。これはルシェラの言うとおり、いっそのこと捨ててしまうか・・・」

「いえ! 待ってください! それがないと私が困ります!!」

 仲間達の意見に頷く俺に、それまで傍観者の立場を示していたランスが慌てて懇願の声を上げる。俺達は既にヘイズルに付けられた首輪を外してしたが、彼には人質に捕られた妹がいるのだった。



「なるほど、そういう事情があったわけか。・・・ならヘイズルにこれまでのお礼をするのは、ランスの妹さんを助けた後にことにしよう! とりあえず、妹さんの安否がわかるまではこの魔道具を処分するのは保留だね」

 ランスから事情を聞かされたアリサは、納得すると魔道具の扱いについては先送りにすることを告げた。

 彼は俺達の正式な仲間ではないが、魔道具を手に入れて呪いを解除出来たのは彼の尽力があったからこそである。それを蔑(ないがし)ろにするほど俺達は非情ではないのだ。

「あ、ありがとうございます・・・」

「しかし・・・あの男、ヘイズルはとんでもない悪党ですが、表向きにはメーゼレの有力者です。下手に殺すと我々は殺人犯になってしまいますね・・・」

「問題はそこなんだよな・・・」

 俺はネイリーンの指摘に頷く。今更だが、ヘイズルに落とし前を付けさせるのは俺達の決定事項だ。ランスも妹のことを保証されたことで、俺達を止める様子は見せなかった。口に出さないが彼の胸にも溜まっている恨みがあるのだろう。

「うむ、ヘイズルの本性を暴いて失脚させるか、もしくは目立たないように暗殺する必要があるね。でも暗殺は最後の手段かな・・・」

「それでしたら、ウリクス卿に相談してみてはどうでしょう? 彼はヘイズル卿・・・いえ、ヘイズルとメーゼレの盟主を争う立場にいる人物です。それにヘイズルは成り上がったばかりの頃に、ウリクス卿の娘との結婚を望んで断られた過去があります。もしかしたら、今回の魔道具もウリクス卿を出し抜くために入手しようとしていたのかもしれません!」

「なるほど、そんな過去の遺恨があったのか・・・その娘は他の有力者と結婚しウリクス卿はメーゼレでの地盤は固めたわけだね」

「ええ、メーゼレ海軍との関係が深い家門に嫁いだそうです。もっとも、それは二十年前の話で、今では亡き夫の後を継いで海軍の船長になったとか・・・・良い家の令嬢とは思えない面白い人物ですね。仮にヘイズルが彼女との結婚が認められていたとしても上手くいかなかったでしょう」

「ん? 海軍で船長をやっているって?!」

 ランスとしてはウリクス卿なる人物への本題に入る前置きだったに違いないが、直感を得た俺はその娘について掘り下げる。

「ええ、・・・ミゼリアという名前の方で、今は海軍の白き翼号の船長をやっているはずです・・・何か心当たりでも?」

 ウンディーネ退治で世話になった船〝白き翼号〟の名前を聞かされた俺達は互いの顔を見つめ合う。

「ふふふ、どうやら私達はそのウリクス卿とコネを知らずの内に持っていたらしい!」

 俺達の様子に不思議がるランスにアリサは苦笑を浮かべて、その理由を説明するのだった。



 メーゼレに帰還した俺達は船上で練った計画を素早く実行に起こした。まずは目立たないように海賊から盗んだ船を漁港に乗りつけ上陸を果たす。

 続いて別の任務を帯びたネイリーンと分かれて、残りのメンバーで街内の水路を使わずに、街中の路地を通りヘイズルが屋敷を構える〝山の手側〟に移動を開始する。

 メーゼレに辿り着いたのは海賊の本拠地から脱出してから丸一日近く立っているので、時刻は宵の口が始まったばかりである。人目を避けて行動するのには丁度良い時間だった。


 結局のところヘイズルが用意していた船とは合流しなかったので、いずれ奴は俺達が裏切ったか、海賊に殺害されたと判断するだろう。そうなればランスの妹に人質の価値はなくなる。

 当然ながら、あのいけ好かない成金男が素直に人質を解放するはずはなく、口封じのために殺されるか、下手をすればそれ以上のことをされるに違いなかった。

 船が帰ってくる時間は、はっきりしないが予定では朝まで戻らなければ作戦は失敗と取り決めていた。待ち惚けをさせた分、俺達の方が先行しているはずだが、大目に見ても数時間程度に過ぎないだろう。

 そんな一刻も争う事情もあり、俺達は人質救出班とヘイズルのライバルであるウリクス卿になんらかの協力を要請する交渉役のネイリーンと二手に分かれたのである。

 ウリクス卿との交渉はウンディーネ退治で知り合った船長ミゼリアと面識があったので、その伝手を頼めば面会までは辿り着ける可能性が高い。そのため、この任務はメーゼレのしきたりにも詳しいネイリーンが一人で担当することになった。

 残りはランスを含めて救出作戦に従事する。ヘイズルの屋敷構造は彼が詳しく知っており、既に妹の監禁場所が三階の部屋であることまでは突きとめていた。

 やはり、ランスもヘイズルを出し抜く機会を虎視眈々と狙っていたのである。



「そこの裏門の見張りは二人で、交代は三時間おきです。この時間帯ですと次の交代は二時間後だと思われます」

「予定どおりだね。・・・眠りを司る精霊よ、かの者達に安眠を授けよ!〝スリープ〟」

 ヘイズル邸の裏門に辿り着いた俺達は、早速とばかりに行動に移す。

 俺も〝スリープ〟の魔法を扱えるが魔術士としてはアリサの方が優秀であるし、何より精霊魔法の〝スリープ〟は標的に接触しなくても発動が可能なのでこの場は彼女に任せる。

 同じ効果を発揮する魔法でも体系ごとに習得レベルや細かい差異があるのが魔法スキルの特徴だ。

 アリサの魔法はしっかりと二人の見張りを眠らせ、俺達はヘイズルの屋敷へと侵入を果たした。まずは第一段階の突破である。


「屋敷の中にもヘイズルに雇われた傭兵や女中がいますから気を付けて下さい。特に側近の女中には魔術士もいるようです!」

 屋敷の勝手口の開錠に成功させたランスは、改めて警告を俺達に告げる。

 メーゼレに到着するまでは充分な時間があったので、既に俺達は救出作戦には詳しい計画を立てているのだが、妹の安否が掛かっているランスとしては、細かく説明せざるを得なかったのだろう。

「わかった。気を付ける!」

 今更ではあったが、俺は仲間を代表してランスに頷く。何しろ彼とは海賊の酒場で一緒に飲んだ仲でもあるのだ。

「ええ、お願いします」

 その対応にランスも落ち着いたのか、ドアを開けると先頭をきってヘイズルの屋敷へ入って行った。

ご愛読ありがとうございました。二章からは一日ごとの更新を予定しております。

よろしければ感想や評価をお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。