↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/58

第四十六話 二章第十話 メーゼレ帰還そしてグルメ三昧

異世界を舞台としたハーレム冒険小説の通算第四十六話です。

依頼を成功させたマサキ達はメーゼレの美食を堪能する。

初めまして方はどうぞ第一話から読んで下さい。お願いします!

読んでくれたら、作者のやる気が出て頑張れます!

「うわぁあああ!!」

 意志を持った海水に襲われる現象は、陸生動物にとって悪夢でしかないだろう。

 特に俺は海で一度溺れ死んでいる。全身に纏わり付き、鼻と口から体内に入り込もうとする不定形の存在に、俺は悲鳴を上げながら無我夢中で抗った。

 窒息への恐怖と焦燥感に満たされた俺だが、未だにウンディーネが顔の辺りでまごついている事実に気付くと、何かの天啓を受けたかのように冷静になる。

 そう、アリサは『これで、私の魔法が効いている限り決して溺れることはないよ!』と確かに俺に請け負っていた。その約束どおり、俺の身体と水の精霊はまるで磁石の同極の如く見えない力で反発し合っているのだ。

 アリサの魔法加護によってウンディーネが体内に入れないことを理解した俺は、自身を覆う水の膜を突き破るため前方に飛び込んだ。


「マサキ!」

 海面を転がる俺の耳と目の端に横なぎに剣を振るうネイリーンの声と姿が映る。彼女は俺を取り込んだウンディーネへの攻撃をこれまで躊躇し、飛び出た絶妙のタイミングで斬撃を放ったようだ。

「風の精霊よ、その力で我が敵を抱け!〝ブレードストーム〟」

 更にアリサの魔法が加わり、ウンディーネの身体を激しい突風が襲う。

「〝エナジードレイン〟!」

 新鮮な潮風を浴びつつ体勢を整えると、俺も振り向きざまに再び〝エナジードレイン〟を放つ。

 仲間達の攻撃によって、その身を人の背丈まで縮めていた水の精霊は、俺の反撃を受けるとそれまで保っていた人型を崩しながら海の中に溶け込むように姿を消した。


「大丈夫・・・もう〝狂ったウンディーネ〟の力は感じられない。マサキの一撃で倒したよ! やったな、マサキ!」

「そうか・・・ふう」

 先程のネイリーン戦で見せた動きもあって、警戒を続けた俺にアリサが告げる。精霊魔法スキルを持つ彼女が保証するのだから間違いないだろう。俺は大きな溜息を吐くと緊張を解いた。

「勝てましたが・・・マサキがウンディーネの身体の中に捕らわれた時は驚きましたよ! アリサの加護を信じていましたが、それでも見ていられない光景でした・・・」

「ああ、俺も本当に焦った・・・でもアリサとの約束は間違いなかったよ!」

 ネイリーンに言葉に俺自身も頷くが、アリサへの感謝も忘れない。

「うん! でも、私の〝コントロール・エレメンタル〟が効いていれば苦戦しなくて済んだけどね・・・」

 一度は笑みを見せたアリサだが、決定的な場面で魔法を失敗させたことを自嘲気味に答える。

 魔法の成功確率は術者と標的との相対的な強さによって変化するが、格下相手でも100%の確率で成功するという保証もない。こればかりは責めても仕方ないのだが、彼女としては気になっているようだ。

「ううん、私もほとんど何も出来なかったし・・・マサキはもちろん、アリサも頑張ったよ!」

「アリサもルシェラもそんなことはありませんよ、皆で手に入れた勝利です!」

「まあ、確かにそうだね! ふふふ」

 ネイリーンとルシェラに励まされたアリサが再び笑みを浮かべると、俺はウンディーネ討伐に成功したことを実感するのだった。


「やってくれたね! 大した冒険者だよ、あんた達は!」

 俺達とウンディーネの戦いは〝白き翼号〟の船員たちも固唾を飲みながら観戦していたのだろう。船に戻ると船長が代表して俺達の勝利を讃えてくれた。

 しばらくは歓喜に沸いた船内だが、日暮れが近づいていることもあり、船長の指示で再び帆を張りメーゼレへの帰路に移行するため船体を動かし始める。

 依頼内容の〝狂ったウンディーネ〟討伐は成功させていたが『港に着くまでは、海は魔境と思え!』という船長の警告は俺達も含めて船の乗員全員が賛成を示した。


 やがて〝白き翼号〟は勝利に奢ることなく船長の言葉を守ったおかげか、翌日の昼にはメーゼレへ何事もなく帰還する。

 まあ、俺とルシェラは酷い船酔いとそれによる寝不足で限界に近かったのだが、それは余談である。

「じゃ、短い間だったけど、あんた達と航海を出来て良かったよ! 達者でな!」

「ええ、あの薬を貰えたことでかなり楽になりましたよ!」

 港に降りる直前、別れの言葉を告げる船長に俺も本心から礼を告げる。

「そうかい! 用意した甲斐があったよ。また手に負えない化物が現れたら、あんた達のパーティーを指名して頼むかな! ははは」

 それを最後に俺は〝白き翼号〟を降りると二日ぶりの大地を噛みしめる。もっとも、まだ足元が動いているように錯覚し、真っ直ぐ歩くのは難しかった。



「明日はどこに食べに行こうか?!」

 それまで話していた雑談が片付くと、ルシェラは新たな話題とばかりに俺達へ問い掛ける。

 ちなみに現在はギルドで夕食を兼ねた飲み会を行なっている最中である。彼女はメーゼレの食事を相当に気に入っているようだ。


 ウンディーネ退治を成功させてから二日が経過していたが、俺達は未だメーゼレに滞在していた。

 表向きには船酔いで弱った俺とルシェラの体力回復のため、事実上はメーゼレで評判の良い飯屋を食べ歩くためである。

 何せ、せっかく港町までやって来て報酬の高い依頼を成功させたばかりなのである。冒険者ギルドの食堂も充分に美味いが、トリムで味わえない評判の料理があるのなら食べてみたくなるのが人情だろう。

 ちなみに今日の昼は、往路でネイリーンが話題にしていた魚のフライが好評の店に出向いて、鱈(たら)に似た白味魚のフライを堪能した。

 食に拘ったことない俺だが、サクサクの衣の中にある微かな甘味が特徴の魚肉は麦酒にも良く合い、二皿もおかわりしてしまった。日本人である俺は米だけでなく新鮮な魚料理にも飢えていたようだ。


「夕食を食べながら、明日の昼飯が気になるとは・・・ルシェラは凄いな!」

「だって、色々食べてみたいじゃん!」

 アリサの指摘にルシェラは億面もなく答える。一時は船酔いに苦しんだ彼女だが、回復してからはそれまで細くなっていた食を取り返す勢いで海の幸を摂取している。

「まあ、確かにそうですね。明日は、海鮮スープが有名な店に行ってみましょうか?」

「おお、良いね! そこにしよう!」

 ネイリーンの提案にルシェラが嬉々と賛成を示す。この世界の海鮮スープとすると、ブイヤベースのような料理だろうか?

「うん、今日はフライだったから、明日は趣向を変えてスープで良いかもね。マサキはどうする?」

「もちろん、賛成!」

 アリサに問われた俺は、まだ見ぬメーゼレのスープ料理に思いを馳せながら頷いた。

ご愛読ありがとうございました。二章からは一日ごとの更新を予定しております。

よろしければ感想や評価をお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。