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第四十話 二章第四話 新しい依頼

異世界を舞台としたハーレム冒険小説の通算第四十話です。

仲間と合流した新しい依頼内容を聞かされるのだが・・・。

初めまして方はどうぞ第一話から読んで下さい。お願いします!

読んでくれたら、作者のやる気が出て頑張れます!

 ギルドに戻った俺は、柱の影から仲間達の様子をこっそりと窺(うかが)う。

 アリサは席を外していたが、ネイリーンとルシェラがいつものテーブルで隣り合って楽しく談笑している姿が見える。

 未だに不穏な空気が残っていたら、自分の部屋に直行するつもりでいたが、二人の機嫌が良さそうなので俺は何食わぬ顔で近づく。先程のことは、もう水に流してくれていると良いのだが・・・。


「あ、帰ってきた!」

 だが、俺の姿に気付いたルシェラがやや呆れた調子で呟いた。口に出してはいないが、その顔付きからすると、どの面下げて帰って来たと語っている

「もう、許してくれよ。誰か一人なんて選べるわけないよ。皆、大切な仲間なんだからさ」

 俺は素直にルシェラに謝りながら定位置に座る。さすがにいつまでも逃げ回っていられないし、歓楽街を通ってきたことで、彼女達が恋しくなっていたのだ。

「そうですね・・・アリサは冗談であのようなことを話題にしただけですから、お互い変に意識するのはもう止めましょう」

「・・・まあ、ネイリーンがそう言うのなら」

 ネイリーンが俺の味方というか、これ以上の詮索はパーティーとっても害悪と判断したのだろう。ルシェラを説得し溜飲を下げさせる。

 彼女はたまにこういった頼りになるお姉さん的な行動を取るので、俺も好きになってしまうのである。

 もっとも『マサキの本当の気持ちはわかっていますよ』とばかりに俺に向って微笑むのは、ちょっと自信過剰ではないかと思う。まあ、今回はネイリーンに助けられたのは事実なので、俺はさりげなく笑みを返した。


「ああ、戻って来たね。実はマサキがいない間に次の仕事を相談していたんだよ」

「ただいま。おお、どんな仕事かな?」

 ルシェラの機嫌が直り、ネイリーンの理解を得てしばらく三人で雑談をしていると、アリサが帰って来て俺に告げる。

 彼女にしてみれば先程の騒動はちょっとした余興に過ぎないだろう。既に気にするそぶりも見せていない。

 それはそれで少しだけ寂しい気持ちもするが、俺はぶれることのないアリサの淡泊な性格に魅力を感じているので先を促した。

「何でも、港街メーゼルの近くの海で暴れているウンディーネがいるらしい。それを退治するか鎮めて欲しいという依頼なんだ。これは精霊魔法スキルを高レベルで所持していないと出来ない仕事だからね、かなりの高報酬が約束されているよ! ふふふ」

 アリサはやや興奮気味に依頼内容を語った。



 その翌日、俺達はさっそくとばかりにアリサが選んだ依頼を受諾するとメーゼレに向けて旅立っていた。

 彼女の指摘した通り、今回の依頼は成功報酬が金貨三十枚と破格とも言える待遇だった。これは予想される脅威が水の精霊という極めて限定的な内容のためである。

 通常の怪物なら戦力さえ整えれば、どのようなパーティー編制であっても打倒は可能だ。だが、相手が精霊となると当然、精霊魔法スキルの保持者が最適任である。

 特に泉や川ならともかく、そこら中が水である海で〝狂ったウンディーネ〟と戦うには〝ウォーター・ウォーキング〟〝ウォーター・ブリージング〟等の水上や水中での活動を保証する魔法が要求される。

 そのようなわけで、高レベル精霊魔法スキルを持つアリサとしては、まさにうってつけの依頼と言えた。


「ふふふ、今回の依頼が成功したら新しい装備を購入しようと思っているんだ!」

 街道を進む俺達にアリサが話題を提供するつもりなのか、普段は冷静な彼女にしては珍しく声を弾ませながら呟いた。

「おお、ちなみにどんな装備を買う予定なのかな?」

 それに隣を歩いていたルシェラが合いの手とばかりに問い掛ける。

「うん、使っている杖をワンランク良い物にしようと思っていてね。これまで少しずつお金を貯めていたんだけど、今回の依頼を成功させれば目標金額に届くはずなんだよ」

「おお、やったね。でも、相談してくれればお金を融通することも出来たのに!」

「気持ちはありがたいけど、今使っている杖もそれなりに上等だからね。これ以上のモノになると、どちらかと言うと意地の領域だ。だから地道に貯めた金で買うつもりだったんだよ。ルシェラだって、お金があればもっと良い装備が欲しいだろ?」

「ああ、そういうことなのね。なら仕方ないか! 確かに、私も接近戦に対応するため、新しい小剣を買ってお金を使っちゃったし!」

「そういうこと、お金があると少しでも良い装備が欲しくなるんだよね。ふふふ」

「だよね! ははは」

 実年齢と内容はともかく、二人はまるで女子校生のように可愛らしい声を上げて笑い出した。

「それは冒険者のジレンマですね。冒険を通じてお金を稼ぐも、強力な武器や防具に投資して散財する。そして次の冒険に挑戦して報酬を得るも、また・・・堂々巡りに陥ってしまう」

「まあ、それで私達冒険者は少しずつでも強くなって、ゴルディゾーンのような災厄を倒し、人助けも出来ているのだから、良いことなんじゃないかな。お金があっても街の中だけでずっと暮らすのもつまらないし」

「ええ、確かにそのとおりですね!」

 ネイリーンが会話に加わり、アリサの言葉に力強く頷いた。それはおそらくパーティー全員の想いだろう。

 正義の味方を気取るわけでもなく、自分のために稼ぎながらも出来る範囲でどこかの誰かを助ける。それがアリサをリーダーとする俺達のパーティーのモットーなのだ。


「そう言えば、マサキが手に入れた情報ではテレニア海では海賊が活発になっているんだったね」

 一旦話が落ち着いたからか、ルシェラが俺に話を振る。

 既にこの話題はパーティー内で共有していたが、それまで会話に参加せずに見守っていた俺を彼女なりに気遣ってくれたのかもしれない。

 まあ、単にアリサとルシェラの笑顔に見惚れていただけなんですけどね。

「・・・ああ、なんでも俺達がゴルディゾーンを倒したことで秩序側に余裕がなくなって海賊の動きが活発になっているらしい。今回の依頼をアリサから聞かされた時は偶然かと思ったけど、ウンディーネが荒れているのも海賊の動きと関係あるのかもしれないな」

「うん、私もその可能性を少なからず予想していた。海賊が暴れたことでウンディーネを怒らせたか、または商船が航路を変えてウンディーネに限らず怪物を刺激しているかもしれない。高額報酬だからと言って油断していると痛い目をするかもしれないね」

 俺がなんとなく考えていた懸念を口にすると、アリサも同調し自分を戒めるように呟く。

 テレニア海で暴れる海賊の情報を仕入れて戻った俺からすれば、アリサ達がその海域を舞台とした依頼を受けようとしていた偶然はちょっとした驚きだった。

 だが、トリム周辺で最も情勢が不安定なのがテレニア海周辺なのである。アリサ率いるこのパーティーの実力からすれば、遅かれ早かれ港町メーゼレから発せられる依頼を受けていたに違いないのだ。

「ええ、もちろんです!」

「うん、そうだね!」

 ネイリーンとルシェラも同意すると、俺達は決意を新たに港街メーゼレ目指して脚を動かした。

ご愛読ありがとうございました。二章からは一日ごとの更新を予定しております。

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