第三十八話 二章第二話 贅沢な悩み
異世界を舞台としたハーレム冒険小説の通算第三十八話です。
気が付けばハーレムパーティーを築き上げたマサキだったが、窮地に追い込まれてしまう?!、
初めまして方はどうぞ第一話から読んで下さい。お願いします!
読んでくれたら、作者のやる気が出て頑張れます!
「そんな不機嫌な顔をしないでよ。あたしはいつでもお兄さんの味方だよ! さっき水を汲みに行った時にちらっと見たけど、お兄さんは強かったよ! もう私じゃ抵抗出来ずに簡単に押し倒されちゃうね!」
仲間にやり込められた俺を慰めるように、いつの間にか黒髪の美女が現れて耳元で囁くように告げる。
この女性は紆余曲折あって今では冒険者ギルドのウェイトレスとして働いているサキュバスで、通称一号である。
「褒めてくれるのはうれしいが、その言い方だと俺が何度も襲っているみたいじゃないか」
この頃になると一号の突然の闖入は俺だけでなく仲間にとって当たり前になっており、特に焦ることなく真実を指摘する。
むしろ、数日に一度彼女から〝エナジードレイン〟受けて精神力を融通している俺の方が襲われているといっても過言ではない。
「・・・うふふ。ではご注文は?」
「ん、とりあえず、麦酒を人数分貰おうかな」
「はーい。かしこまりました。じゃ、またね、お兄さん!」
一号は俺の指摘を笑って誤魔化すと、アリサから注文を受けて奥のカウンターに戻って行った。
「一号の奴、いつまでここで働いているのだ。もう充分な金を得ているはずだが・・・」
ネイリーンが一号の背中を見送りながら疑問を漏らす。彼女がギルドで働いている理由は自陣営である混沌の拠点に戻るための旅費を稼ぐことにあったので、未だにギルドで働いているのは不自然と言えた。
何しろ一号は街を襲ったゴルディゾーンと秩序の使者の討伐にも参加して、特別報酬を得ているはずなのだ。
「・・・それはもちろん、マサキがこの街にいるからだろうね」
「まあ・・・そうですね。わかっていましたが、なんとなくそれは認めたくなかった・・・」
アリサの指摘に仕方がないように頷くと、ネイリーンはこちらに顔を向けながら困っているようにも、怒っているようにも見える表情を浮かべる。
「そんな目で見られてもなぁ。あっちが勝手に迫ってくるだけだし・・・」
「その気がないなら、断ればいいじゃない!」
俺が満更でもない様子で困ったフリをしていると、ルシェラが正論とも言える突っ込みを入れてくる。その口調からすると彼女もややお怒りのようである。
「そ、それはそうなんだけど、一号は暗黒魔法スキルの相談相手でもあるし。いなくなると、もったいない、いや寂しいし・・・」
「もう! 本当にマサキは! ネイリーンの気持ちも考えてよ! 気になる男の子が目の前で他の女の子、それもサキュバスとイチャイチャしていたら怒るのも無理がないよ!」
「え!!」
俺のはっきりしない意見にルシェラは更に声を荒げ、ネイリーンも驚きの声を上げた。
「ネイリーンも、え! じゃないでしょ! このままだとあのサキュバスにマサキを取られちゃうよ!」
「・・・いや私にとってマサキは戦友であって、他の女性と付き合っても文句を言う立場には・・・相手が混沌の使者であるサキュバスなのが問題なのであって・・・」
ルシェラの矛先はいつの間にか俺からネイリーンに移る。
「そう・・・なら、私がマサキと付き合ってもいいのかな?!」
「「「え!!」」」
このルシェラの発言にはネイリーンだけでなく俺と、それまでは成り行きを苦笑しながら見守っていたアリサを合わせて三人で驚きの声を上げた。
「あ、いや! これは! そのネイリーンをその気にさせるための・・・」
自分が何を口走ってしまったのか理解したルシェラは、その小麦色の肌でもわかるほど顔を赤くすると身体を縮ませる。
どうやら、俺がドラゴンとの戦いで立てた彼女とのフラグはまだ健在だったようだ。・・・やばい、嬉しくて顔がマジでにやけてしまう!
「・・・で、どうなんだマサキ? そこでにやにやしていないで、この際、誰と付き合うかはっきりさせた方が良いんじゃないかな?」
「・・・」
本命であるアリサに促されて俺は答えに詰まる。このタイミングで当の本人に言えるわけがない。それに正直に言うと、俺はネイリーンとルシェラそして一号のことも控えめに言って大好きだ。
アリサやルシェラのような美少女に関心があるわりに、たまに俺を意識するネイリーンの豊かな胸とお姉さん属性はどう考えても捨てがたい。
更に同級生感覚で接することが出来るルシェラは、いつかその綺麗な銀髪の中から突き出る長い耳を抱きしめながら甘噛みをしたいと思っている。
一号の滑らかな肌と濡れたようにしっとりした黒髪、そしてバランスの良い肢体は見ているだけで生唾が沸いて来るほどだ。
そしてアリサに至ってはもう全部が良い。白く細いうなじ、ネイリーンとは正反対に控えめな胸、指先の真珠のような爪、どこをとっても最高である!
おっと、思わず妄想を走らせてしまった。そろそろ、俺の反応を待つ三人に何かしらの解答を示さなくてはならない。
「俺は・・・」
「「「俺は?」」」
俺の言葉に三人の娘達は反芻するように言葉をなぞる。
「ちょっと! 用事を思い出した!」
もちろん、誰か一人を選ぶとしたらアリサなのだが、それを口にする度胸は俺にはなく椅子を立ち上がると出口を目指して走り出す。やはり四人全てが捨てがたい!
「ああ! マサキ! この男、ここまで引っ張って誤魔化しました! 私がせっかく御膳立てしたというのに!」
「いや、ルシェラ・・・このまま逃がしましょう。ま、万が一ですよ・・・私の名前を言われても困りますし・・・」
「私はマサキのことだから、てっきり皆が好きって言うと思ったけどね。ふふふ」
背中で三人の声が聞きながら俺は、どこでほとぼりを冷まそうかと考えていた。
ご愛読ありがとうございました。二章からは一日ごとの更新を予定しております。
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