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第二十二話 脅威の影

異世界転生に勢力争いの要素を加えた作品の第二十二話です。

最初の冒険を乗り越え、美少女と美女に囲まれるマサキだったが、街に迫る脅威を知る。

初めまして方はどうぞ第一話から読んで下さい。お願いします!

読んでくれたら、なんでもするかもしれません!

「ああ、なんだかんだで、二人は仲がいいなぁ!」

 ネイリーンと冒険者らしいやり取りをしていると、ルシェラがやってきて俺達を冷やかす。今日の彼女は銀髪をポニーテールではなく、幾つかのお下げにして更にそれを纏めて後頭部で結っていた。動きやすさとお洒落を両立させた、なかなか魅力的なヘアースタイルだ。

 アリサも可愛いがルシェラも捨てがたい、そんな気持ちが見ているだけ湧いて来る。

「そうでもないよ。たぶん俺とネイリーンはお互いに、ルシェラの方ともっと仲良くなりたいって思っているさ!」

「ええ! も、もうマサキはそんなこと言って! からかわないでよ!」

 俺は本心を伝えただけだが、ルシェラは照れた仕草を見せる。実年齢はともかく精神年齢は一番俺に近いと思われるだけに実に初々しい。俺が求めているのはこういう甘酸っぱい青春的恋愛なのだ!

「いや、ほんと・・・」

「ああ、皆、もう揃ってるね!」

 なおもルシェラと積極的に絡もうとした俺だが、その鈴の音のような声を聞くと言い掛けた台詞を飲み込む。アリサがやって来たからだ。

 アリサに会ったのは昨日の夜以来だが、やはり彼女は実に綺麗だった。癖のない金髪を顔に掛からないよう切り揃えて、ただ後ろに流しているだけなのに、それだけで絵になる美しさである。特に俺は今しがたルシャラに浮気心を抱いていたのと、昼に一号と秘密を分けあったこともあり、なんとなく疾しい気持ちになって更に眩しく見える気がした。

「大変だ! 今、掲示板に張られたばかりのニュースを見て来たけど! ゴルゾディーンが目撃されたらしい!」

 そんな俺の気持ちを知るはずもないアリアはいつもの左隣に座ると、彼女にしては珍しく興奮気味にそう告げた。


「あ、あのゴルゾディーンが!」

 いち早く反応を示したのはネイリーンだ。その顔には不安だけでなく、よりはっきりした恐怖の感情を浮かべている。俺としては彼女がそんな弱気な顔を他人に見せるなんて思っていなかっただけに、驚きとともにそのゴルなんとかとやらの詳細が気になって仕方がない。

「確か・・・前に現れたのは十年前だったかな?」

「そのくらいらしいね。その頃私はエレンディアにはいなかったけど、被害の噂は聞いているよ」

「私は・・・当時十一歳でしたが、この眼ではっきり見ましたよ。あの化け物を・・・」

「目撃されたのはどの辺? まさかトリムの近くではないよね?」

「ああ、南の秩序勢力との国境線近くで、遙か遠くを飛んでいるのを目が良い冒険者が見つけたみたいだ。詳細はまだ不明だけど、ギルドの掲示板には要警戒と結んでいたね」

「ところで・・・・そのゴルゾなんとかってどんな化物なんだ?」

 緊迫した会話が一段落したところで俺は、持て余していた疑問をアリサとルシェルに問い掛ける。ネイリーンは思い詰めたようにテーブルの一点を見つめており、彼女は会話を出来ない状態になっていた。

「ああ、悪い。マサキは知るわけがないんだよね。ゴルゾディーンは秩序に属するドラゴンの名前だよ。こいつは以前にトリムの街に攻めて来たことがある。それが目撃されたんで、ギルドが大慌てで私達冒険者に警告を発したってわけ」

「ドラゴン? そ、それはやばい奴なのか?!」

 アリサ説明に俺自身も慌てて問い返す。ドラゴンといえば大概の伝説や物語で最強クラスの敵として登場するモンスターである。聞かずにはいられなかった。

「もちろんやばい! その身体は四頭立ての馬車よりも一回り大きく、純白の堅い鱗で護れていて、自在に空を飛びまわり、口からは灼熱のブレスを吐く。おまけにこいつは秩序に属しているので回復魔法を高レベルで使用し、そのくせ自身の魔法耐性は高くてこちらの魔法は効き難いという怪物、それがゴルゾディーンだ! まあ、これはあくまでも伝え聞いた話だから、誇張があるかもだけど」

「・・・残念ながら、それは全て事実です。十年前の襲撃でトリムは大きな犠牲を払ってこの怪物をやっとのことで追い払いましたから」

「そんなやばい奴が、目撃されたのか・・・」

 アリサの説明を放心状態から回復したネイリーンが肯定する。この手の話はわりと尾ヒレが付くことが多いが、実際に目撃している彼女が証言をした以上、真実として受け入れるしかないだろう。今度は俺がショックを受ける番だった。

「トリムに攻めて来るのかな?!」

 ルシェラは不安というよりはやや興奮した面持ちで会話に参加する。射撃スキルを持つ彼女としては空飛ぶ敵は自分の担当と思ったのかもしれない。今の説明を聞いて怖気づかないとはかなり豪胆である。ルシェラの思いがけない一面を見たような気がした。

「それは現時点ではわかりませんが・・・過去の戦いではトリムの英雄達の犠牲と活躍によってゴルゾディーンを辛うじて退けています。それ以来、トリムの街は物見の塔も高くし、冒険者の育成にも力を入れて防衛力を高めています。ゴルゾディーンは並の人間より遙かに高い知能を持っているはずですから、単純な力押しを再び挑むとは思えません。しばらくは様子を窺うのでは・・・」

「そっか! なら、その時に備えて腕を上げないと!」

「うん。これからギルドもゴルゾディーン対策に乗り出すのは間違いないだろうね。冒険者の成長を奨励してくるだろうし、依頼も報酬も増えると思う。この街が陥落してしまえば。私たちも路頭に迷うから、出来るだけ協力するべきだろう・・・そんなわけで少し早いけど依頼を見繕って来たよ」

 アリサがそれまでの会話を締めくくって本題を告げる。俺達に異存があるわけがなく、彼女が説明する新たな依頼の詳細に耳を傾けた。

ご愛読ありがとうございました。一日一回、三千字程を目標に更新しますのでこれからもよろしくお願いします。

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