第十二話 最初の依頼
異世界転生に勢力争いの要素を加えた作品の第十二話です。
新たな仲間(おっぱい担当)を加えてマサキは本格的に異世界での冒険を開始します。
初めまして方はどうぞ第一話から読んで下さい。お願いします!
読んでくれたら、なんでもするかもしれません!
天秤の拠点である城塞都市トリムへの到着とネイリーンとの出会いから三日後、俺達は再び街を離れていた。トリムから歩いて二日程の西に位置するレクサ村で起きた失踪事件の解決を依頼として受けたからだ。
これは仮加入であるネイリーンがアリサとの約束を守れるかを試すと同時に、俺が参加する本格的な冒険である。そのためリーダーであるアリサは戦闘を前提としたモンスターの討伐ではなく、比較的リスクの小さい捜索系の依頼を選んだのだと思われた。
もっとも、失踪の原因が誘拐である可能性もあり、その場合には誘拐犯との対決も考えられるため荒事が起きない保証はない。そのため俺は出発までの三日の間に最善の準備を整えていた。
まずはトリム到着で得た経験値を消費して武器戦闘(刀剣)スキルを1から2に上げた。現時点で戦士タイプを目指そうと、はっきり決めたわけではないのだが、やはり接近戦能力はある程度は必要と判断して、とりあえずは20レベルを目標に少しずつ上げることにしたのだ。
そしてもう一つ、新たなスキルである探索を3レベルにまで一気に覚えた。この探索スキルは、意図的に隠された罠や扉を始め、待ち伏せしている敵も見つける事が出来る盗賊系のスキルだ。
入手コストは200と低いわりにあらゆる場面で対応出来るスキルのため、アリサの薦めもあって、ギルドの盗賊系冒険者から金を支払い習得したのである。戦闘面で二人に劣る俺としては、まずはサポート能力で活躍の場を得たいと思っている。
ちなみにスキルを1レベル上げるには入手と同じ量の経験値を消費するのだが、20レベルからはその倍、さらに40レベルからは更に倍と、その後も20上がることに消費する経験値が跳ね上がる、そのため、やはり一人前とされる20レベルが一つの区切りとなっていた。
また、装備の方も新しく鎧を買い、これまでの服の上から革の鎧を身に付けている。本当はネイリーンのような金属製の鎧が欲しかったのだが、資金的な問題と金属鎧を装備するのなら、重鎧スキルを持っていないと重さで直ぐにバテると知って諦めた。
革の鎧は当然のことながら防御力では金属鎧に劣るものの、遙かに動きやすく音も発しないため、むしろ盗賊系のスキルとは相性が良い。それに俺が選んだのは頭から被って側面のベルトで身体にフィットさせるデザインなので、バイク用のジャケットに見えなくもない。色も黒をとしたので見た目もこれでかなりスタイリッシュになったはずである。
いずれにしても俺は現時点で出来る事をやり尽くして、トリムを出発したのだった。
「しかし、男性が立て続けにいなくなるというのは、あまりやる気の出ない事件ですね。幼い少女だったら、なんとしても解決しなければと奮い立つのですが!」
旅はほぼ順調に進み、もう少しで目的地のレクサ村へ着くという段階で、俺の右隣を歩くネイリーンが口を開く。その内容は旅の間でも何度か話し合った依頼についてだが、いくらか私情が含まれているように感じられた。まるで男ならいくら失踪しても構わないと言う意味にも取れる。
いや、取れるというか、そのままの意味なのだろう。この数日間、パーティーの仲間として生活を共にして気付いたが、ネイリーンは男よりも同性の方に気がある。薄々は感じてはいたが、アリサに拘るのもそのためだ。
どこかまでガチなのかはわからないが、男よりも女、それも年下の少女に多大な興味を持っているのは間違いない。そんなネイリーンからすれば、男が失踪する事件に興味を持てないのは当然だ。
もっとも、俺としても男と幼い少女の失踪、どちらかが大事と問われれば迷うことなく後者を選ぶ。当然だろう。なので、それを正直に口にする気はなかったが、ネイリーンを責める気にもならなかった。
「確かに被害者が子供の方が事件としては悲劇性があるけど、村としては貴重な働き手が突然いなくなったわけだから、そっちの方が大変なんじゃないかな? 実際、原因を突きとめて再発を防止したら金貨2枚、一人連れ戻すごとに金貨1枚を報酬として約束されているからね。本気で困っていると思うよ」
事件を解決する気はあるようだが、失踪した人間の性別や年齢には特に興味がないのか、アリサは冷静に事件の問題性と報酬額に言及する。こういったところは実に彼女らしい。
「もちろん仕事ですからね。最善は尽くしますよ。それにアリサに私のことを認めて貰いたいですからね!」
アリサの返答に爽やかな笑顔を浮かべながらネイリーンは張り切った声を出す。それだけを見ればなかなか素敵で頼もしいお姉さんなのだが、残念ながら俺はその正体を知っている。
力が全てのエレンディアで戦って来たためか、はたまた元の性格なのかは知らないが、彼女はわりと己の欲望に忠実でなおかつ行動的だ。だからこそレズっ気を隠すことなくアリサにアプローチしているわけだが、それが信念となっているのか他者の評価を全く気にしていない。我が道をただひたすらに進むタイプなのである。
だからと言ってネイリーンが本物のサイコパスかと言えば、意外とそうではない。俺達、美少女と美女を連れた男の三人旅は結構目立つ。特に俺は唯一の男とあって、旅の間に何かと冷やかしにあったのだが、その度に彼女に助けられていた。具体的には旅籠屋でちょっかいを出してきたチンピラをネイリーンが全て殴り倒してくれたのだ。
なので、俺としてもネイリーンの評価は難しい。〝腕は確かで頼りになるけど、二人きりでいるのは怖い〟それがネイリーンという女性だった。
「まあ、今のところは及第点かな」
そんな、どこか危なさを持つネイリーンではあるが、仲間に加える条件だったアリサにベタベタと触らないという約束はきっちりと守っていた。なので、アリサも公平に評価する。
もっとも、警戒は怠っていないのか、街道などで歩く際には必ず俺をネイリーンとの間に入れるようにしている。俺が真ん中でその右がネイリーン、左側がアリサという立ち位置が自然に定まっていた。
俺としてはまさに〝両手に花〟ではあるのだが、事情を知らない者からすれば平凡な男が綺麗どころを二人も従えているように見えるのだろう。それで何回か酔っ払いに絡まれたというわけだった。
「大丈夫! これからも自重します!」
アリサの肯定的な言葉にネイリーンは右手で握り拳を作りながら答えるが、その際に彼女の胸が俺の肩にぶつかる。なにせ彼女はアリサに少しでも近づこうとしているのか、いつも俺に密着するように歩いている。そのため、ちょっとしたことで彼女の身体がぶつかるのだ。
特にネイリーンは俺より頭半分ほど背が高いこともあって、肩と胸が当たることが多い。鎖帷子を纏っているので表面の感触こそ堅いが、その奥に隠された独特の弾力と質量は肩を通して俺に伝わる。
その度に俺は欲求不満な気分にさせられるのだが、ネイリーンを下手に注意すると怖いし、正直に言うとその感情ですら悪い気はしないので、彼女の好きにさせていた。何しろネイリーンの方から俺にぶつかってくるのだから不可抗力なのである。
「うん、そうしてくれ! マサキとも良い感じみたいだし、私に遠慮なく二人が付き合っても構わないよ!」
「「え!!」」
アリサの反応に俺とネイリーンは驚きの声をハモらせる。お互いがそんな関係を意識したことがなかったからだ。彼女からする俺達はそんなに仲が良いように見えたのだろうか?
いずれにしてもこれは由々しきことだ。ネイリーンの胸には凄く興味はあるが、俺の本命はやはりアリサなのである。誤解を解かなければならない。
「パ、パーティーメンバー同士で・・・・そ、そんなことするわけないじゃないか!!」
「そうです! その通りです!!」
ネイリーンも同じ考えだったのだろう。俺から距離を取ると顔を赤くしながら必死に相槌を打つ。
「なんだ、そうなのか。でも、二人とも私に気を使って我慢する必要はないからね。特にマサキ、ネイリーンほどの美人はなかなかいないと思うよ。それを見過ごすなんて勿体ないんじゃないかな?」
その芝居掛かったアリサの台詞によって、俺は意図を察すると彼女の顔を見つめる。その青い瞳には無邪気な笑みがあった。どうもおかしいと思っていたが、アリサは俺達をからかっていたのだ。
「・・・そうだな。ネイリーンは美人でおっ・・・落ち着いて頼りになるし彼女にしたら最高かもな!」
ついでとばかりに俺もそれに乗っかってみる。どうせネイリーンは男に興味がないのだから、これくらいは大丈夫だろう。
「あ、あれが目的地のレクサ村ではありませんか?!」
俺の発言を真に受けたのか、ネイリーンが誤魔化すように前方を指差した。確かに煮焚きと思われる白い煙の筋とその下にある建物がうっすらと見え始めている。
「ああ、どうやらそのようだね。じゃ、二人とも冗談はこれくらいにして仕事に入る心積りに切り替えよう!」
「わかった!」
「・・・じ、冗談! ああ、まんまと二人にしてやられたようですね! でも、了解です!」
アリサが冗談であること認めたこともあり、ネイリーンは冷静さを取り戻すと気合を入れた声で答えた。
ご愛読ありがとうございました。一日一回、三千字程を目標に更新しますのでこれからもよろしくお願いします。
次回も新たなキャラが登場します。どんな娘かは読んでのお楽しみ!
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