仲間(幼女)が増えました
「お嬢さん、僕たちは遊びに行くのではありませんよ??」
シンとした空気に御互い耐えれなくなった頃、ノアが小さな子をあやすような言い方と声色で少女の頭を撫でた。これからモンスターを退治しに行くのだから小さな子を連れて行くわけにもいかない。
しかし少女はキッとノアをにらみ上げ、パシンッと自分の頭を撫でる手を弾き飛ばした。
「私も冒険者よ!!」
バッと少女は討伐ギルドのバッジを掲げた。彼女と目線を合わせるように膝を突いてたノアは吃驚したように口を閉じた。まさか同業者だったとはとノアもグレンも驚いている様子だ。それほどまでに彼女は幼い容姿をしている。
「もちろん私が行けば貴方たちも楽よ。なんてたって私は前に旧神殿に入った事があるの!!道案内が出来るは!!」
彼女は旧神殿へ入りたいが一人では心細いので、道案内はするから同行させてくれ言うのだ。三人は顔をあわせ、彼女と少し距離をとるとどうするか相談し始めた。と言っても鈴は二人の決めた事に従う気でいるので話の流れを聞いているだけで会話には参加しない。
「何か裏がありそうですね」
ノアは彼女を疑っているようで、少し離れた先でこちらを伺う少女に視線を一瞬向け難しい顔をした。
突如現れた幼女、彼女は討伐ギルドのバッジを持っており旧神殿に行く鈴達に声をかけた。彼女がギルドから連絡を受け、たまたまここで遭遇したとしても、同行したいというパターンは珍しいそうだ。
ギルドにはブロンズ・シルバー・ゴールドの三階級あり、年間の討伐数や難易度で昇級したり降格したりする。世の人からすればゴールド階級は英雄で老若男女にもてはやされる、地位も名誉も手に入るというわけだ。だから、協力して戦うというより、誰よりも先に倒す!!という人の方が多いらしい。
「といっても、九割は男性ですけどね」
熱い男達が、女の子にモテたい一心でゴールド階級を目指す。不純な動機だが、そういう人たちは成長しそうだなとノアの話を聞き終わり鈴は空を仰いだ。
「裏があるないにせよ、断っても撒いてもついて来そうだな」
グレンは腕を組み、チラリと少女に向けた視線を鈴と同じように空へと移した。飛んでいる鳥を目で追う。
彼の言った事と同じ事をノアも考えていたようで、苦虫を潰したように顔を歪め肩を落とした。彼女が純粋に敵か味方か分かる情報が何一つないが断った所で素直に引いてくれそうにもない。
悩みに悩んだ結果、彼女についてきてもらうこととなった。グレンもノアも少女を監視するように様子を伺っているが、彼女は何処吹く風と腰に手を当てた。
「私の名前はレルムよ」
よろしくしてあげるは!!と背後に文字が浮かび上がりそうなほどふんぞり返るレルム。鈴もグレンもノアも各自で自己紹介をし、よろしくと一言添えた。
「そこの貴女!!」
レルムはビシッと鈴に指を指す。え??私ですか??と首をかしげ固まる鈴にレルムは歩み寄ると手を差し出した。小さなもみじの様な手をジーッと不思議そうに見ていると痺れを切らしたレルムはブンブンと手を振った。
「手をつなぎなさい!!」
強気というかもはや命令。目をぱちくりさせる鈴が、オズオズと手を差し出すとギュッと握り満足そうに歩き始めた。どういう事だ??とSOSの視線を二人へ向けるが、視線が交わる事はなかった。オイコラッ!!
「さぁ行きましょうか。日が落ちてしまいますからね」
ノアが先を歩きグレンがそれに続く、その後ろを鈴とレルムが歩いた。太陽はまだ天高い位置にある。何の問題もなければ、旧神殿には日が沈むまでには着くとノアから聞いていたので、とりあえず何も考えずに歩く事に集中した。




