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依頼者と対面



アルデーテには、幾つもの水路が通っている。主に物資の運搬用の船や観光客を乗せた船を走っており、鈴が視線を向ける今も観光客を乗せた船が走っている。


澄んだ水は水路の底まで見えるほど綺麗で、そんな中に離されている金魚は尾びれを揺らし自由気ままに泳いでいた。


「主よ!!美味そうじゃ!!」


イナトはそんな金魚を、涎をたらしながら凝視している。心なしか今まで沢山いた金魚たちがイナトの前から離れていく。今にも飛び掛りそうなイナトをとりあえず捕まえた。


大通りの賑やかさは一本わき道に入ればゴロッと雰囲気を変えた。アルデーテに住む人たちの家があるエリヤへと着いた様で人気が少なくヒッソリとしている。


水路から離れたので、イナトを下に下ろと鈴の傍をピッタリと歩き始める。


「なんだか別の場所みたい」


「こっちもあれだけ賑やかだったら、住民は困る」


グレンの正論に、鈴は確かにそうだと頷いた。きっと夜になってもあの騒がしく賑やかな観光客は静かに眠りにつく事はしないだろう。夜中も昼間も煩ければ住民は心身困憊だ。


私だったら、四六時中あれだけ賑やかだったら発狂する。静かにしてくれーーーって叫ぶだろうなと遠い目で宙を仰いだ。


家が立ち並ぶなか一際目立つ教会。白い壁に瑠璃色の屋根、窓ガラスはステンドグラスをはめてあり清らかな洗礼された佇まい。


綺麗な教会だなぁと立ち止まる鈴。しかし、彼女が置いていかれる事はなかった。ノアもグレンも教会の前で足を止めたからだ。


「ここですね」


ノアが協会を見上げながら呟いた。てっきりここで一番偉い人の屋敷にでもいくのだろうと思っていた鈴は吃驚して思わず声を漏らした。


「協会からの依頼だったんですか??」


「はい、直接協会からの依頼は珍しいですけどね。大体は協会から領主に伝えられ、領主からの依頼と言う流れが一般的ではありますが」


コクリと頷くノア。その横で、グレンは考え込むように視線を漂わてから教会のドアに手をかけた。


「それだけ急を要するんだろう。とりあえず、入るか」






◆◇◆◇◆◇



「お呼び立てしてしまい、申し訳ありません。牧師をしております、チェスターです」


教会に入ると、可愛らしい好青年が出迎えた。チェスターと名乗る青年はノアと握手をし、身廊を通って祭壇の奥にある一室へと三人を案内した。


「早速ではありますが、モンスターが出現したと言うのは」


促され椅子に座った三人の前に御茶が用意される。ノアは早速と言う風に話を切り出した。


「……我々教会が管理しております旧神殿です」


チェスターは、アルデーテの大きな地図を取り出して机に広げた。地図の端の方に旧神殿と書かれている。今いる教会から歩いて三十分ほどの場所にあるらしい。


「教会に支えてくれているシスターが定期的な神殿の清掃へと出かけ、怪我を負って帰ってきました」


チェスターは苦虫を潰したように、顔を歪めた。シスターはただ怪我をしただけではなく、毒に犯され現在も生死をさまよっているそうだ。毒も吐くのかモンスターと鈴も顔を歪める。


これ以上被害者を出さないようにとギルドに討伐申請を出したと、苦しそうに話すチェスター。毒に犯されているシスターは、現在体のほとんどを侵食し始め医者も匙を投げたそうだ。


「この町には、医者しか居ませんので苦しむ彼女に私は何も……。回復魔法を使える方もお呼びしようにもこの教会にそんな大金もありません」


「回復魔法を使える魔術師は数少ないですかね」


回復魔法は他の魔法と違い、固有しているものらしく聖職者などが使える特殊魔法のようだ。聖職者を連れてこようと思えば、かなりの金額になるらしく金貨百枚はくだらないそうだ。


「その魔法って、呪文を唱えるんですよね??その呪文って分かりますか??」


鈴は静まる空気に臆することなく口を開く。シスターは今も毒で苦しんでいる、何とか持っているらしが時間がないのは明白だ。


「えぇ、残念ながら僕では扱えませんが」


「……あの、チェスターさん」


ノアが呪文を知っているなら話は早いと、鈴は向き直りチェスターに視線を戻した。


「そのシスターさんのところへ連れて行ってください」



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