幼馴染
- エリア88消滅まで あと1時間-
時空フィールド内。
「おっはよぉ!ヒック!グレイ!」
「よぉ!ロッシー!おはよう」
「やぁ、おはよう。ロッシー」
3人は制服に身を包み、登校している。
<聖天翔学園 高等部 2-B>
3人は、後ろの席、窓側から横並びだ。
順番はグレイ、ロッシー、ヒックとなっている。
聖天翔学園は、海外からの学生が多く、日本名が無くとも困らないようになっている。
この3人は、昔から幼馴染で、幼稚園の頃からエスカレーター式で、この高等部まで上がって来た。
3人バラバラや、2人が同じクラスというのは、今までにあったが、3人同じクラスというのは初めてだった。
時期は6月、梅雨に晴れた空の日の事だった。
「ねぇ!ヒック!グレイ~!帰りに何か食べていきましょうよー!甘いヤツ~!!」
制服姿のロッシーが、2人の席へとスカートを靡かせ、勢い良く迫る。
するとヒックは、頭を掻きながら苦虫を噛み潰したような顔で、ロッシーを見つめる。
「お前な、、、毎日、毎日、甘いヤツ甘いヤツって、、、太るからな。絶対にっ!!!」
その後ろでグレイが優しく笑い、ヒックの肩に手を置く。
「まぁまぁヒック。ロッシーちゃんだって女子だよ?その辺は晩御飯を抜くとか、夜な夜なジョギングするとか、陰ながら努力してるんだよ。ね?ロッシーちゃん?」
そう言われロッシーは、白目を剥きつつ、顔面からは大量の汗を吹き出している。
「も、ももももっちんろんそうよっ!!!ほんっとヒックはそういう所デリカシー無いわよね!!!ほんっと無いわー!ないない!!」
「…お前、絶対ウソついてるよね」
ロッシーの叫びにヒックは、冷静に対応した。
「んもうっ!ほら、二人とも!早くしないと置いてっちゃうからね!!」
そう行ってロッシーは、1人で教室を飛び出して行った。
「お、おいっ!待てよ!!」
「ちょ!ロッシーちゃん!!」
2人は、直ぐに追いかけようとしたが、まだ帰り支度をしていないので、追いかけられない。
慌てて用意していると、廊下を慌ただしく走る音が聞こえて来る。
そして泣き顔のロッシーが、教室の扉口で叫ぶ。
「なんで追いかけてくれないのよぉ~!!裏切り者~!!!」
ヒックとグレイは、顔を見合わせて笑った。
いつもの3人、いつもの風景。
彼女は、いつもこうだった。。。
「美味しいわね!コレ!なんて名前だっけ…えーと、ふわふわスポンジイチゴスフレたっぷりチョコのバニラアイスパフェね、、、長っ!名前、長っ!」
グレイが、メニューを見ている。
「コレ1つで1538kcalあるね。凄いな…」
「おい、お前。聞いてんのか、そこのアホ」
美味しそうにパフェを食べていたロッシーは、口をあんぐり開けたままヒックを睨む。
「聞いてるわっ…よよよよ、わー!?」
突然、大きな地震が辺りを揺らす。
「大きい!二人とも机の下に!」
グレイが、叫び、ヒックとロッシーは、直ぐに机の下に潜り混んだ。
ロッシーは、パフェを持ったまま、怯えながらパクパクと食べている。
(コ、コイツ…)
ヒックは、もう諦めたようだ。
グレイは、外の様子を伺っている。
しばらくすると揺れは無くなった。
各テーブルの上から、カップや食器が落ちて割れている。
3人は、ゆっくりとテーブルの下から出て来て、辺りをただ見ていた。
ロッシーは、まだパフェを食べている。
慌ただしく掃除をする店員や、帰りを急ぐ客。
3人は、席に戻り、落ち着いていた。
「最近、地震多いよね…」
窓から外を見ながらロッシーは、呟いた。
そして空を見ると、夕暮れから夜に変わろうとしている。
- 東京 現在 -
「ああん!もう!キリが無い!!何なのよ!この灰色の奴ら~!!!」
時空フィールドへ、体当たりを止めない灰色の魔竜騎達。
それを阻止し、破壊するフォルやギルバート、サラン。
戦艦ロズウェルも加勢する。
艦橋で手を取り合い、ただ見守るだけのズルワーンとルーナ。
「私達は…何も…」
「そう言わないで…祈ろう…」
「そうね…」
2人は、7色に輝く時空フィールドと、その周りで戦うフォル達に祈りを捧げた。
- 時空フィールド内 -
3人が住む町の駅に到着していた。
駅の改札を抜けた時、グレイがロッシーに小声で話しかける。
「この後、少し時間ある?聞きたい事があるんだ。ヒック抜きで…」
「え?ああ~、いいわよ…?」
またヒックと喧嘩でもしたのかしら、くらいにロッシーは思い、了承した。
「んじゃまた明日な!」
「またねー!」
「じゃあね!」
分かれ道まで来ると、3人はバラバラに別れる。しかし、今日は、ロッシーとグレイだけ、しばらくすると戻って来ていた。
「ごめんね、ロッシー。急に、こんな…」
「ううん、いいよ!どうしたの?」
「あ、ここじゃ何だし、公園の方にでも行こう。あ、コンビニ寄ってこ。何かお菓子でも奢るよ」
「え?!ま、マジ?!やったぁー!グレイ大好きー!」
「…」
2人は、コンビニで何を買うか迷っていたが、先程大量にパフェを食べたロッシー。
パピコで良いと言って、グレイと半分こするのだった。
「…こんなので良かったの?」
「良かったのー!2人で分けれるし、美味しいでしょ?!」
「う、うん、、、美味しいよ」
2人は、公園のベンチまでやって来た。
時刻は、夜の八時。
公園は、静かで、2人以外は誰も居なかった。
「それで、話って何?ヒックと喧嘩でもしたのかと思ってたけど、今日、そんな風でもなかったもんね。他に何か、悩み事?」
「ありがとう。ロッシー。いつも僕の事、心配してくれて。あ、まぁ、君は僕だけじゃなく、誰の事も自分の事みたいに心配するよね。そんな君が好きなんだよ。僕は」
「え?!あ、う、うん!ありがとう!!」
「ロッシー、僕と付き合ってくれないか?!」
グレイは、突然ベンチから立ち上がり、頭を下げて右手を出している。
突然の事なので、ロッシーは固まっている。
(え?!え?!どっしぇー!どどどどっしぇー?!何これ?何これ?!マジなやつ?!ドッキリとかじゃなくて?!ヒックならともかくグレイはそんな事しないよね?!え?!ええ?!何故?!何故イキナリ?!何故私?!どっからどーなってどーなの?!え?!何何何何?!パニックゥ~~~!!!!!!)
呆然としてるロッシーに、頭を下げてたグレイは、顔を上げてロッシーに向かって微笑む。
「予想通りだな…ごめんね。困らせてしまって。でも、今ので僕は確信したよ。嫌では無いって事だよね?ロッシー」
「え?嫌では、ないかな…」
「今後は、そんな気持ちが僕にあると思って接して欲しいな。少し難しいかもしれないなら、今のままでもいいよ。今日はありがとう。それじゃ、おやすみ!」
そう言ってグレイは、走ってどこかへ行ってしまった。
「…えーと、、、帰ろう、かな…」
立ち上がりながら、無くなりかけのパピコを、上を向いて啜るロッシー。
その目の先には、綺麗な三日月と星が輝いていた。





