聖剣
沢山の時空へ繋がる、暗い空間。
落ちて行く、戦艦や戦闘機。
その中を2機の戦闘機が、飛び回っていた。
「ジュード!僕たち2人だけが争っている場合じゃない!」
ロランは、この現状を見て、ただ事では無いと思い、ジュードへ通信をする。
「そんな事を言って、また逃げるつもりかっ!ロラン!!」
ジュードは、ロランの言葉を聞こうとはしなかった。
「…く、ジュード。許してくれ…」
ロランの機体は、急旋回しジュードの戦闘機へと向かって行く。
それを見たジュードは、仕掛けて来ると悟り、戦闘機のミサイルを全弾発射する。
その発射と同時に、ロランの戦闘機からも、複数のミサイルが発射される。
ロランとジュードが放ったミサイルが、ぶつかるとロランのミサイルは、眩い光を放つ。
「何っ!」
ジュードは、その光に目を奪われる。
ロランは、戦闘機のハッチを開け、腰から剣を抜く。
「…ジュード。逃げてくれよ…」
そう言って、ジュードの戦闘機の上へと、飛行して来るロラン。
そしてロランは、戦闘機から飛び降り、ジュードの戦闘機の上へと着陸する。
「我は、絶対中立都市ニュートラルの騎士団長ロラン!!今、フォルヒックトゥーナの名の元に、聖剣エクスカリバーを解放する!」
ジュードもハッチを開けて、腰に携えた銃をロランに向ける。
「死にに来たのか!ロラン!!」
そして、その引き金を弾いた。
銃弾が、ロランへと向かって飛んで行く。
その時、ロランの聖剣エクスカリバーは、眩い光を放ち、ロランはそれを高速で振り回す。
そしてロランは、剣を鞘へ収めて、空へと飛ぶ。
ジュードの放った弾丸は、真っ二つに割れ、戦闘機の翼は切り落とされる。
爆発するジュードの機体。
「くそっ!」
ジュードは、避難用シュートで離脱する。
ロランは、空から落ちながら指笛を吹く。
すると自動操縦の愛機ペガサスは、ロランの下へと戻って来る。
それにロランは乗り込み、都市ニュートラルへと帰還する。
その横に、魔竜騎ズルワーンとフォルも並ぶ。
「見てたわよ!あんたヤルじゃないっ!!」
「…あなたのお陰ですよ。魔導ノ君人フォルヒックトゥーナ様…」
ロランは、少し寂しげな表情でそう答えた。
「おセンチしちゃって。フォルでイイわよ!また会いましょ!先行ってるわ!」
そう言ってフォルは、ズルワーンとサトゥルーナ、そして魔竜騎ギルバートとサランの元へと急ぐ。
その時、灰色に一筋の光が、ニュートラル城へと向かって行くのを、フォルが確認する。
「ん?何よ…あれ…」
しかし大きな戦乱の後だと言う事と、これからについて、早く話し合う必要があると思い、フォルは合流を優先した。
「ママ!パパ!」
「フォル!」
「え?!フォ、フォルなの?!ミアかと思ったわ!」
ズルワーンとサトゥルーナは、フォルを迎え、サラン達にこれまでの事を話す。
「そんな…事が…その、グレイって人は、今は何処に?」
サランが、サトゥルーナへと尋ねる。
「もう1人の私が、グレイを何処かの空間へと、押し込めて行ったらしいのだけれど…そうよ!ヒック達が!何処?!何処なの?!ヒックは!?」
「安心して、ママ。私の…この世界に居たフォルが、しっかりと守って…ああ!!」
フォルが、サトゥルーナへと説明してる途中、先程の光を思い出す。
すると直ぐに魔竜騎ズルワーンを動かし、ニュートラル城へと向かって行く。
「どうしたんだ!フォル!!」
「グレイよっ!!」
それだけ言って、魔竜騎ズルワーンを前にして、ニュートラル城へと突進して行く。
しかし、その瞬間、ニュートラル城から灰色の光が空へと舞う。
後から追いかけていたズルワーン達は、それと鉢合わせになる。
「やぁ、どうも皆さん。お揃いですね」
グレイだった。そしてヒックの首を持ち、片手でぶら下げていた。
「ヒック!!」
サトゥルーナの顔が一気に、怖い顔になり、魔人を出現させグレイへと向かう。
「おっと…」
グレイは、ヒックを前に出す。
するとサトゥルーナの魔人は、ピタリと動きが止まる。
しかし、その後ろにサラン達が移動し、後ろから攻撃を仕掛けるが、避けられてしまう。
上へと逃げたグレイを、ズルワーンが捕まえようとするが、グレイはそれも避ける。
ニュートラル城から、ロズウェル一同が走って出て来る。
「こらぁ!グレイ君!!何をするんだ!ヒックちゃんを返しなさぁい!!!」
ラケシスが、グレイへと向かって叫ぶ。
ニュートラル城へと突進したフォルと、魔竜騎ズルワーンも飛び出して来る。
しかしグレイは、ラケシス達に向かって魔法を放つ。
それを防御壁でフォル達は、受け止める。
ズルワーン、サトゥルーナ、サランに魔竜騎ギルバートは、グレイを取り囲む。
ズルワーンとサトゥルーナは、魔人で攻撃し、サランは魔竜騎ギルバートで攻撃する。
しかし、それをグレイは魔法壁で防御し、周りに灰色の魔法を一気に放つ。
それにズルワーンと、サランが当たってしまい、落下して行く。
「ズルワーン!」
「サランちゃん!」
サトゥルーナは、ズルワーンを、魔竜騎ギルバートは、人間型へと戻り、サランへと向かう。
その間を魔竜騎ズルワーンとフォルが、駆け上がる。
しかしグレイは、時空に穴を開けて、ヒックを掴んだまま入ろうとしていた。
「ズルワーン!リンクフレアを使うわ!」
「分かったよ!フォル!!」
詠唱を開始するフォル。
時空間へと、入って行くグレイ。
しかし。
時空間から、押し戻されて来るグレイ。
「くそっ!な、なんだお前は!またぁっ!!」
仮面の少女は、グレイからヒックを引き離すと、空から放り投げる。
「…私が、抑えます…あとは…お願いします…ヒックと…ロッシー姉様を…」
そう言って、グレイを時空間へと引きずり込んで行く。
「くそう!なんだこのチカラはっ!!ぐぅ!」
そう言ってグレイは、何かを手から放つ。
そして2人は、時空間へと消えて行く。
落ちるヒックをフォルが、抱きかかえ受け止める。
「…あの子、なんなの…」
そして幾つも開いていた、時空の穴は全て閉じて行く。
そして惑星グランに、静かな空がまた、戻って来ていた。
それを一同は、ただ黙って眺めていた。





