別れ
(ズルワーン!いいか、君が魂の片鱗と、ユニリンクすれば、私の因果が働き、君の肉体は、未来の姿に変身する。しかし、魂の片鱗。君の心の半分を預けられる魂に心辺りはあるか?!)
「魂の片鱗…心の…半分…」
その時、ズルワーンの頭には、フォルと花畑で楽しく食べた、サンドイッチの事がフラッシュバックする。
「あ、あるよ!フォルだよ!フォルが僕の心の半分だ!」
「え?!わ、私?!あ…もう1人の方ね…」
フォルは、走りながら、1人納得する。
森の中を、走るフォルとズルワーン。
「ねぇ!大きいフォルさん!小指を出して!あなたでも大丈夫そうなんだって!」
「え?!なに?こんな時に!?」
「いいから!小指出して!」
走りながらフォルは、ズルワーンへと小指を出す。
するとズルワーンは、フォルと小指を繋ぐ。
「ちょっと!走りにくいんだけど!」
「僕の魂が言うには、このままユニリンクって叫べって言ってます!」
「え?何それ?!遊んでる場合じゃないんだけど?!」
「お願いします!行きますね!せーの」
「仕方ないわね…せーの」
「ユニリンク!」「ユニリンク!」
すると2人の身体は、光り輝き、空へと舞い上がる。
ズルワーンは青く光輝き。
そしてフォルは赤く光輝く。
ズルワーンは、青い巨大な騎士の様な姿になり、フォルは、赤い帽子に赤い服、そしてミニスカート姿へと、変身する。
「わ!な、何これ!私どうしちゃ…わー!う、浮いてる!」
(フォルさん!ホントはあなたじゃ無かったんだけど、協力してください!)
「え?!どっから声が聞こえてるの?」
そう言ってフォルは、隣を見て驚く。
巨大な、さっき襲って来てた灰色の騎士の、色違いが居たからだ。しかも大きい。
フォルは、手から火炎放射を出して、魔竜騎ズルワーンを攻撃する。
(わ、あ、あたたか~い)
「え?!これ、あんたが喋ってるの?!」
(そうみたいです…ど、どうしましょう?)
「あなたは、味方なのよね?」
(そうです!僕を動かして戦えって言ってます)
「動かすって、どう…?てか…もう、あの灰色のヤツら…居ないわ…」
(え?)
街では修繕が始まっていた。
騒ぎを聞きつけ駆けつけたズルワーンは、ルーナ、フォル、悟を探していた。
ラケシスもロランを探す。
この村のフォルの母親も、フォルを探していた。
魔竜騎を解除し、森から帰って来るフォルと幼いズルワーン。
「パパ!」
ズルワーンに向かって叫ぶフォル。
「フォル!無事だったのか?!ルーナ達は?!」
「次に行っちゃったの!」
「なんだって?!」
ラケシスの家に帰り、事情を説明するフォル。幼いズルワーンと、この村のフォルの母も居た。
「そ、そんな!フォルが…フォルが…信じられないわ…」
この村のフォルの母親は、娘が違う世界へ行ってしまったと聞き、動揺する。
ラケシスは、フォルの母親をなだめている。
幼いズルワーンとズルワーンは、胸を痛めた。
そこへフォルが、2人のズルワーンの元へやって来る。
「ねぇ、パパ。ちょっと話があるの…」
「フォル、今、大事な話があるから…ママたちが心配だ…」
「今、ここに居るのは私よ。私も大事な話があるの!」
フォルが叫ぶので、一同はフォルを見る。
「ズルワーンさん、僕の魂も話があるって言ってます。外へ…」
「すみません、ラケシスさん。フォルのお母さまを頼みます…」
「分かったわ。ルティナの事は私に任せて…」
そう言ってラケシスは、フォルの母親をなだめている。
ズルワーン達は、外へ出て、森の中の広い場所へと来る。
「あの…ズルワーンさん。フォル達を追う手段が1つあるんです」
「え?!な、なんだって?何故、小さな君がそれを…」
「パパ、見てて…」
そう言って、フォルとズルワーンは小指を繋ぎ、叫ぶ。
『ユニリンク!!』
「…その言葉は…」
すると2人は、魔竜騎と操縦者へと。
変身する。
ズルワーンは、驚き、尻もちを着く。
「な、なんだこれは!!フォ、フォル!!」
するとフォルは、空からズルワーンの元へと降りて来る。
「良く聞いて…私たちは…」
― 惑星 グラン ―
白装束のフォルの後ろを、幼いズルワーン。そして、ロズウェル一行が森の中を歩いていた。
ズルワーンとフォル、そしてヒックは、光に包まれ宙をプカプカと浮いている。
一行は、森を抜ける。
するとそこには、大きな街が広がっていた。
「お疲れ様です。皆さん、申し遅れました。私は魔導ノ君人フォルヒックトゥーナ。この絶対中立都市ニュートラルを守護する者。そして、この国の巫女です」
ラケシス達は驚く。
「えええ!あ、あなたが、あの噂に聞く魔導ノ君人様なのですか?!」
「は、博士が会いたがってた人じゃ無いですか?!」
「ひ、1人で謎の術を使い、この街を帝国と連邦の争いから、守ってるって人っすよね?!」
「その正体は、絶対機密。ミステリアスよね…」
「パルカ、サインもらいたーい!」
「そ、そんな凄い人なんだ…」
ロズウェル一同と、幼いズルワーンは驚く。
すると木の影から、沢山の兵士達が出て来る。鎧を装着した者と、ローブを纏い杖を持った者達が、フォルの後ろへ整列する。
そして、1人の男が近づいて来る。
それを見て幼いズルワーンは、驚く。
ロランにそっくりだったからだ。
「フォルヒックトゥーナ様…私、肝を冷やしました…」
そう言って、膝を着き頭を下げる。
「ロラン…やめて下さい。あなたは、もう私の婚約者なのですよ?」
「いえ、それでは、あなたを護るべき騎士団の長として示しがつきません。この者達はどうしますか?牢獄へ閉じ込め、即刻処刑しましょうか?」
「なんて事を言うのです!大事なお客様達です。御無礼は許しません!」
「…で、ですが…。分かりました。ですが、拘束はさせていただきます」
「分かりました。でも、この小さな少年と、あの気を失っている少女、それと青白髪の男の3人とは、話があります。回復次第、私に知らせて下さい…」
「何故そんな…?いえ、わ、分かりました…」
そして一同は、絶対中立都市の中央に置かれている、ニュートラル城へと招かれて行く。
― 過去 ―
ズルワーン達は、幼いズルワーンの家へと向かって居た。
別れの挨拶をする為だった。
「何を言ってるんだ!そんなの認められる訳はないだろう!」
いつも本を読んで、物静かだった父親が、声を荒らげている事に、幼いズルワーンは驚いていた。
「父さん!これは凄く大事な事なんだよ!僕たちだけの問題じゃないんだ!」
「そんなの関係あるか!私はお前の亡くなった母、リーンと約束したのだ。お前を立派に育てると!」
「お、お気持ちは分かります…ヨルダさん…しかし、これは…。それにフォルちゃんも連れて行かれました…。助ける為には、このズルワーン君のチカラが必要なんです…」
その時ズルワーンの父、ヨルダはズルワーンを睨み、胸ぐらを掴みに来る。
「お前か?!お前はなんだ!?うちの息子に何を吹き込んだ!!」
するとフォルと幼いズルワーンは、お互いの顔を見合わせ、頷き合い外へと出て行く。
「こら!お前ら、何処へ行く!ズルワーン、帰って来なさい!」
そう言ってヨルダは、追いかけて外へ出て行くが、すぐに尻もちを着く。
「な、なんだ!これは!!」
そこには魔竜騎ズルワーンと、宙に浮くフォルが居た。
そして魔竜騎ズルワーンから、幼いズルワーンの声が聞こえて来る。
「父さん…僕だよ…」
そう言って、巨大な身体をしゃがませ父を見る。
「…なっ…?!お、お前、何をした?!」
ヨルダは、異世界から来たズルワーンを睨む。
「僕は何もしていませんよ。子供ってのは親の知らない所で、勝手に大きく成長するものです…」
「ば、馬鹿かお前は!でっかくなり過ぎだろ!!」
ズルワーンは、村の入口の方を見る。
ラケシスおばさんとフォルの母ルティナが、歩いて来ていた。
先に話を聞いていたラケシスは、ズルワーンの方へと走って来る。
「ま、待ってぇ!妻子持ちのイケメンパパのズルワーンちゃぁん!奥さんが居なくなって寂しい時は私、オッケーよぉ!」
ズルワーンは一瞬、逃げようとする。
しかし、留まった。
ラケシスは、ズルワーンの傍に来る。
「今、逃げようとしたでしょ…。って、もう冗談よォ!オホホホホッ!(半分は本気よ)…もう、行っちゃうのね…。これを渡そうと思って来たの…」
そう言ってラケシスは、青い宝石の付いたペンダントを、ズルワーンに渡す。
「これはね、我が家に伝わる伝説、伝説の!伝説なのよ?!凄くないっ?!あ、ごめんなさい。伝説のペンダント。魂の一部を収めておくことが出来ると言われるペンダントなの…きっと何かの役にたつわ…持って行って…」
そう言って青いペンダントを、ズルワーンへと渡す。
「そんな大事な物を…」
「良いのよぉ!」
と言ってラケシスは、ズルワーンにウインクする。
ズルワーンは、それを無視した。
振り返るとヨルダが、魔竜騎の指にしがみついて泣いている。
その開いた手の平に、ズルワーンは乗る。
「頼んだぞ、フォル!」
「分かったわ!パパ!」
そう言ってフォルは、呪文を唱える。
「時を超えし龍の叫びよ!今!この時を揺さぶり転空の輪を生み廻せ!」
「リンク、フレアァァァッ!」
すると魔竜騎ズルワーンは、騎士から竜へと変形し、空に輪を作るように飛ぶ。
ズルワーン達は、魔竜騎の口へと入って行く。
手と膝を着いて、魔竜騎を見上げるヨルダに、ラケシスとルティナが寄り添っていた。
そして空には、青く渦巻く炎が生まれ、その中がヒビ割れ空間が出来る。
そして、そこへ魔竜騎ズルワーンが入って行く。
「行って来ます!父さん!」
そう言い残して。





