火の玉
その日からルーナとズルワーン達は、魔法を学ぶ事になる。
「わぁ!見て見て!ズルワーン!私の手!火が出てる!火が!!」
そう言うルーナの人差し指から、マッチの火くらいの火が出ていた。
「ル、ルーナ…それどうやってるんだい?僕にはさっぱり…」
「わ!パパ見て!私も出てる!」
そう言うフォルを見ると、手から焚き火程の炎が出ている。
固まるズルワーンとルーナ。
何故、ルーナたちが魔法を学んでいるかと言うと。
「うーん、分からん。ワシには全く理解出来ん…その科学というのは、すぐに理解出来るものではなさそうじゃ。そんな理屈で、子供の魂をそんな小さな板みたいなものに封印出来るとは思わん!」
「封印…って…別に封印してる訳じゃないんですよ?ラケシスさん。悟は…ここに、居るんです…」
「あのルーナさん、そのいちいち哀愁漂わすの、やめてもらっていいかね。見る度切なくなるんで…ワシ…」
「ルーナは、本気なんですよ?!」
「あんたも…ちょっと、視野を広げて物事考えた方がいいよ。ワシ、あんたらのチカラと、想いは凄いと思うけど、これはヤリ過ぎだろ」
2人は胸が痛む。
「まぁ…やっちゃったものは仕方ない。それに、この子達に罪がある訳でもあるまい…自分の尻は自分で拭くのが1番だ。あ!お前達が魔法を学んで、そこからヒントを貰う方が早いんじゃないか?!」
と、いう事があったのだった。
「この魔法って、本では見た事あるけど…実際使うとなると、僕は怖くて…わ!フォル!こっちに手を向けるんじゃない!」
フォルの手からは、炎ではなく星屑の様な光が、シャワーの様に流れ出していた。
「…花火みたいね…私にもそれ、教えてよ、フォル!」
ルーナとフォルは、2人でそのキラキラした魔法を使う。
空は、暗くなり、辺りも暗くなっていた。
そのキラキラした光を眺め、ルーナとフォル、悟にズルワーン。
ラケシスにヒックまでもが、笑っていた。
ラケシスは、
「こんなのもあるぞ!」
そう言って、空に大きな星の輝く花を打ち上げる。
それは大きな音を立てて空で破裂し、大きな光の円を作る。そして、細かな光を放ちながら消えて行く。
「…花火みたいね…ズルワーン」
「そうだね、ルーナ」
そう言って2人は、手を握る。
「あ!あたしも」
「僕も」
2人の間にフォルが座り、ルーナの膝には悟が居た。
みんなは、手を繋いでいた。
次の日の朝だった。
「ラケシス!ラケシスはいるか!!我々はルーンシティ騎士団である!ラケシス!禁止魔法研究の罪により、貴様を確保しに来た!出てこい!」
ルーナ達は、固まっていた。
「あ、昨日の空に放った魔法で、場所がバレたんだ…ワシ大失態…」
「魔法で追い払っちゃえば?」
フォルが、ラケシスにそう言うも、ラケシスは困った顔をする。
「お嬢ちゃん、物騒な事を言うな…そうしてもいいんだが、ヤツらは魔法を無力化する鎧を着とる。そんじょそこらの魔法じゃ効かん。ワシは戦闘に特化しとらんし…」
するとヒックが、空間に穴を開ける。
それを外で聞いた騎士団は、
「何か割れる音がしたぞ!ラケシス!逃げれると思うなよ!」
そう言って、ドアを破壊しようとしている。
「早くしろ、お前ら!こんな所で終わりにする気かよ?!」
「…わ、分かったわ…」
「行こう、ルーナ、フォル…」
ルーナは、ノートPCを、フォルとズルワーンは手を繋ぎ、黒い空間にへ向かう。
「ラケシスおじさんも早く!」
フォルが、ラケシスに声をかける。
「嬢ちゃん、そいつはダメだ!次の世界に行けば分魂しちまう!」
「何?分魂って…」
「魂がバラバラになっちまうんだよ!!アッチの許容範囲内に、そのオッサンがもう1人居るんだ!」
「そんな!ラケシスおじさん!」
その時ラケシスは、フォルに1冊の魔法書を渡す。
「お嬢ちゃん!これを…」
そう言ってフォルは、黒い空間に引きずり込まれてしまう。
最後に残ったヒックは、ラケシスを見つめる。
「心配すんな。あんたは世界を支えるのを手伝った。悪いようにはならねぇさ!拷問とかあっても挫けんじゃねぇぞ!自分の信じた事を言え!じゃあな!!」
そして黒い空間は、閉じて行く。
それからラケシスが、どうなったのか、知るものは居ない。
黒い空間を歩く4人。
「ねぇ、ブンコンって何なの?ラケシスさん、大丈夫なの?」
「あのオッサンは、分かんねぇけど…多分!大丈夫だろ。分魂ってのはな、んー、まずだな。お前達は地球って所の魂だ。それが違う世界に行って、何でも出来ると思うか?!」
「どういう事よ…」
「お前らの魂が、違う世界に行ったとしても、その許容範囲。そうだな…行動範囲は決まってんだよ!」
「なんだい?それ?」
「かー!まだ分かんねぇのかよ!!違う世界で!お前らが移動出来る活動範囲は、せいぜい30km圏内って事だ!」
「まぁまぁ、あるじゃない…」
「バカか?!お前ら!デッカイ星のせいぜい30kmだぞ?!」
「そ、それもそうね…日本からドイツにも行けない…ううん。日本だって…」
「それと、ブンコンってのは何が関係してるんだい?」
「その許容範囲内に、同じ種類、要はお前らのドッペルゲンガーが居る場合。同じ世界に魂が2つもあるって事で、その魂達はバラバラになって、この世界から消えるんだよ!」
「…それって…じゃ、じゃぁ…悟は…」
「さあな。でも2つとも消えてないって事はよ!そんな顔すんなよ…ほら、着いたぜ。それにこの許容範囲内には、また…」
そう言って何も無い、黒い空間にヒビを割り、穴を開けるヒック。
一同は外に出る。
するとそこは、洋風。ファンタジー物語の中に出て来る、田舎の村の様だった。
目の前には、ラケシスに似た人物が道で倒れていた。
ズルワーンは、走って、そのラケシスに似た人物を抱き起こす。
「だ、大丈夫ですか?!ラケシスさん!」
ズルワーンは、思わずそう口走ってしまった。
するとラケシスに似た人物は、
「あら、いい男…私の名前を知ってるなんて…運命の…出会いかしら…ガクッ」
そう言ってズルワーンの頬を撫で、気を失う。
ズルワーンは身震いした。
その人物を、木陰に移し井戸から水を分けてもらい、飲ませる。
「あ、ありがとう…あなた達。あらイケメンが2人も…私の名前はラケシスよ。なんか急にリンゴが飛んで来て、頭に当たったのよね…ぶっとびよぉ」
「…。」
「…。」
「…。」
ルーナ、ズルワーン、ヒックは固まる。
そこへ。
「そう言えば、ラケシスおじさんも家のツボが突然、頭に当たったって言ってたね。てか、ねぇ…この人、男なの?女なの?」
フォルが一言放つ。
「こ、こら!フォル!す、すいません…それじゃ私達はこれで…」
ズルワーンが、フォルの口を抑えて、一同はその場を去ろうとする。
「ちょっと!ヒック!なんなのよあれは!ラケシスさん、こっち来てたら、あれと分魂してたってワケ?!」
「そ、そうだよ!ヒック!それはあんまりじゃないか!」
「だ、だから置いて来たんだよ!!」
(いや、俺もコッチのオッサンが、あんなだとは思いもしなかったけどよ…)
「ちょっとぉ~!待ちなさいよぉー!子持ちパパも良いけど!そこの白いツリ目のぉ!!」
そう言って、ラケシスは走って来る。
「げ!アイツ、ターゲットを俺に絞って気やがった!!逃げろ!!」
その時、ラケシスが言う。
「あんた達、匂うわよ…」
一同の足は、止まる。
― 空間 ―
「それでは行きますね!異世界転…。あ、異世界…んー。未来世界転生!ほほいのほいっ!!」
そう言うとギルバートの姿は、女神アルテアの前から消えた。
「私、神様だけど…祈りますね。あなたに加護があらんことを…」
そう言ってアルテアは、ゼウスに向かって祈っている。
「アルテア…この管轄、やめとく?」
「きききききいいいいいやあああああああ!!!」
― 未来 ―
ギルバートは、空にふわふわと浮かんでいた。
自身を見ると、黄色い火の玉のようになっていた。
(な、なんだ、これは…?!僕は…一体…それにここは…)
そこは全てが白く、背の高い建物が並ぶ。見たこともない世界だった。
そしてアチコチに、ギルバートと同じ様な火の玉が漂っている。
(こ、これが…未来の、世界…?僕は死んだままなのだろうか…こんな状態で何をしろと…)
すると目の前の、緑と黄色い火の玉が、近寄る。そして2つは、クルクルと周り、螺旋を描き、ひとつになって行く。
すると炎の色が、黄緑色へと変化する。
(な、何なんだ…ここは…あれは…人、なのか?)
そこへ、ひとつの紫色をした火の玉が、ふわふわと、ギルバートへ近寄って来る。
〖あなた…私とひとつになりましょ…私の火が弱まってるの…〗
(わ!び、ビックリした。喋るのか…じゃ、じゃあ僕も…喋れるのだろうか…?)
〖あなた…少し変わってるわね…他を探すわ…〗
ギルバートは、心で思った事が外に漏れているのだと気付く。
〖は、恥ずかしいじゃないか!何なんだ!ここは?!サランちゃああああああああああん!〗
そして、その叫びを聞いた火の玉たちの動きが止まり、ギルバートから離れて行く。
〖ほんと、なんなんだ。ここは…〗





