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時空魔竜騎アースガルンプロット.  作者: 一ノ元健茶樓
アースの章
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58/129

未来

 


 倒れている人物を、抱き起こし水を飲ませ、事情を聞くルーナ達。


「だ、大丈夫ですか?」


「ああ…ありがとう…」


 倒れていた人物の名は、時空魔学士ラケシス。ルーンシティ、いや、この世界でも有数の魔学士だった。


「ところでよぉ!オッサン!」


「ちょっと、ヒック。あなたの話し方どうにかならないの?」


 ルーナは、ヒックを叱る。


「あ?話し方なんてどうでもいいだろうが?」


「そんな事ないわ。話し方1つで、相手へ伝わる気持ちも変わるものよ…?」


「知るかよんなもん!」


「もう…すいません、ラケシスさん。私たち少し困っていまして…」


 これまでの経緯をルーナは、ラケシスに話す。


「そ、そんな事が…可能なのかね…この世界で…いや、万物の法則の中で…」


 そう言って、フォルをまじまじと眺める。


「おじちゃん!こんにちは、僕は悟って言います。よろしくお願いします!」


 ルーナは、ノートPCをラケシスに向けている。


「へぇ、やっぱり、その中にいたんだな…たまげたぜ…」


 ルーナは、ヒックからノートPCを隠す。


「…安心しなって、取り敢えず今は、それをどうこうしようって気はねぇ…」


「…ありがとう。あなたを信じるわ…ううん。信じるしかないみたいだし…」


 ラケシスは、不思議な顔をしながら一同に問う。


「ところで、何故ワシの所に来たんだ?何が目的だ?」


「そ、そうだな、僕達も知りたい…」


 ラケシスとズルワーンは、ヒックの方を見る。


「い、いや…オッサンなら、何とか出来るんじゃねぇかと思って…」


「え?!ワシがか?!この状況をどうしろと言うんだ!」


「な、だいたい!き、君は何なんだ!」


「だから、俺はバランスを守る…」


「それは聞いたわ!もっと詳しく教えてちょうだいっ!あなたは何処から来たのよ?」


「いや、分かんねぇ…」


「え?」


 一同は、静まりかえる。

 そしてヒックが、口を開いた。


「俺に記憶や、存在する理由なんてない、俺はこの世界のバランスを正すだけのものだ。世界の全てを知っている。ただ何処に居て、誰が作って、いつ生まれたのかは知らねぇ。ただ異常を見つけ排除し、修正する。それだけだ」


「…概念、的な存在って事なのかしら?」


「あんたらの解釈じゃ、そうかもな…。そのPCってやつ。変なシステムが流れて来たら、それを直すプログラム流すんだろ?そんな感じだ」


「なるほど、君は世界のシステムに異常があった際の、修復プログラムという訳か…」


「だからさっきから言ってんだろ!!」


「ふむ…実に興味深い。なるほど。死して尚、この世に存在する、この悟という子。その魂の所在地が不明瞭になってしまった事により、小さなズレが、この世界、全てに大きなズレをもたらす。という事なのだね?」


「そうだ。あと、そっちのちっこい奴も…」


 そう言ってヒックは、フォルを見る。

 ズルワーンは、フォルの前へと出る。


「だから、何もしねぇって言ってるだろ!!」


 ラケシスは、お茶を入れる。


「さ、飲んでくれたまえ…疲れてるだろ。ここで良ければ、解決策が見つかるまで、居てくれてもいいぞ。私も研究が捗る」


「何だ、これ…うめぇな…」


「あなた紅茶も知らないの?」


「普段は、どんな生活をしてるんだい?」


 ルーナとズルワーンは、ヒックの反応に驚き、質問する。しかしヒックはまたイライラする。


「だから!知らねぇつってんだろ!!」


「そんなに怒らなくてもいいじゃない。ねぇ?」


「そうだよ、イライラするのは良くないよ?」


「…お前ら、自分たちが根源だって事、忘れんなよ…」


 痛い所を突かれた。というような表情をするズルワーンとルーナ。

 そして、その日から研究は始まった。


 手がかりが無く、何をして良いかも分からない研究だった。


「結局、何をどうすれば悟と世界は繋がるの?」


 ルーナは、ヒックに相談する。


「そいつはイレギュラーな存在だ。このままじゃ似たような事が、世界のアチコチで起きる。そして、そのうちにそれが普通なっちまう」


「人が死んでも、この世界に留まってしまうって事?」


「いいんじゃないのかい?悲しみが減るじゃないか…」


「いいか?お前ら。お前らは知らないだろうけど、この世界は魂の繰り返しで成り立っている。もし、そんな事が起こったら、この世界は最終的に魂だけの世界になっちまうだろうが!!頭良いんだろ?!ちょっとは考えろよ!!」


「な…」


 一同は、また静まりかえる。


「そ、それじゃぁ…この世界の、人はみんな、魂になって行くというのか?全てが…」


「そうだ…」


「そんなの、死者の世界じゃない!」


「そうなんだよ…だから、そいつを破壊して、元の流れに戻してやる必要がある」


「…そんな、私達は…ただ…」


「…ル、ルーナ…大丈夫かい?」


 頭を抱えて倒れそうになるルーナを、ズルワーンが支える。


「あ、あたしは、どうなるの?」


 フォルだった。


「あたしは、なんなの?」


「お前は、その中間って言うか…魂の融合体みたいな奴だけどなぁ…とりあえずは保留だ!!」


「ほ、保留…」


 ズルワーンは、何故かホッとため息をつく。そしてラケシスは、それを怪訝な顔で見ている。


「いや、しかし…これは参ったな…私は魂の研究はしていない。魔法と、時空の研究者じゃ。この世界以外にも、やはり世界があった事を確認出来ただけでも、私自身の研究は捗る…」


「オッサンを喜ばせる為に来たんじゃねぇんだよ!俺はコイツの必死さを見て、なんとかなるなら、何とかしてやろうと、少し…思っただけだ!!」


「…ありがとう。ヒック。でもあなたは話し方と、声の音量を少し調整する必要があるわね」


「うるせえっ!!」


「うるさいのは、君だよ…」


 ヒック以外は、笑っていた。


「あ、そうだ…言い忘れてたけどよ…このズレを直せるのは、1ヶ月だ。それまでに何とかしろよ。じゃなきゃ、俺は迷いなく、そいつをぶっ壊すからな!」


「なんでそれを早く言わないのよ!!ラ、ラケシスさん!!早く!!何とかして!!」


「ラケシスさん!!僕からも頼みます!!お願いします!!」


「私も、お願いするわ…」


 ルーナ、ズルワーン。そしてフォルまでもが頭を下げる。


「いや…そう言われても…困ったな…トホホ」



 ― 虹之町 ―



 ロッシーは、困っていた。


「ねぇ…ニアちゃん…私の働いてたコンビニ…潰れちゃうんだってぇ~」


「…そうなんですね。何となく、そんな気はしていました…」


「え?!な、なんで?!」



 ― 惑星グラン ―



 フォルとズルワーンは、森を抜ける。

 そこには、ロズウェル一同が居た。


「やはり、いらっしゃいますね…」


「…あ」


 白装束のフォルは、ニコやかに、ズルワーンはバツの悪そうな顔をする。


「わ!何か出てきましたよ?!…綺麗な人ですね…博士…」


「そ、そうだな…モイラ…」


「お、俺らを殺しに来たんすかね?」


「ホーラぁ!パルカ怖いんだけどぉ?!」


「大丈夫よ…悪意は、感じないわ…多分…」


 その時、白装束の後ろから浮いたフォルとズルワーンが、風船の様に森から出て来る。


「…?わ!わわ!ア、アイツらは!?」



 ― 空間 ―



 女神アルテアは、ギルバートへ語る。


「世界は、今、深刻な事態へと陥っています…ギルバートさん。あなたがここへ来る事も分かっておりました。残念な事ですが…しかし、この世界を守る為に…あなたのチカラが必要となります…」


「アイツらのせいなのですか?女神さま…世界。いいえ、サランを守れるのならば、僕は…」


 それを見て、アルテアとゼウスは柔らかく微笑む。


「だからワシらは君を選んだ。人の想い。それこそが、世界を動かす。世界を想う心などではなく、人、1人を想うその心こそが…」


「ギルバートさん。私たちの思惑に、あなたの運命を悪戯に使ってしまう事を、許してくださいますか?」


「…僕は…死して尚、サランちゃんの為に何か出来る事を、誇りに思っています…」


「ありがとう」


「ありがとうございます。ギルバートさん。この償いは致します。どうか、ご無事に帰って来てくださいね。今からあなたには…」


「未来へ、転生してもらう…」





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