ルーンシティ
ヒックは、ルーナの前まで来る。
そしてルーナを片手で持ち上げ、ノートPCを取り上げる。
「返して!悟!?悟!!」
ルーナは、暴れるがヒックに軽く投げられる。ルーナを、ズルワーンとフォルが受け止める。
「じゃあな…」
そう言ってヒックは、また空間を割り、ノートPCを持ったまま、その闇の中へと消えて行こうとする。
しかし、ルーナは叫んだ。
「本当に!本当に、その方法しかないの?!なんでもするわ!!方法があるなら!私!!だからそれを絶対に壊さないで!!!」
それを聞いたヒックは、動きを止める。
「僕も協力する!なんでもしよう。本当だ!」
「私もよ。私は悟のお姉ちゃんになったの!悟を守るわ!」
ズルワーンとフォルも、ヒックへ叫ぶ。
それを聞いて、ヒックは振り返る。
「着いて来いよ…」
そう言ってヒックは、割れた空間へ消えた。
ズルワーンとフォルは躊躇した。
真っ暗で、何も見えない空間。
そんな不気味なモノに、入る事が出来るのだろうか?
そう考えていた。
が、ルーナはすぐに飛び込んで行く。
「…ルーナッ!?」
それを見たズルワーンも、後を追い飛び込む。
「え?!パパ!」
そして、フォルも続く。
中は暗く3人は、近くに居る筈なのに、その存在は遠かった。
「おい…マジで来たんだな…」
目の前に明かりが灯る。
ヒックの手が、強い光を放っていた。
ヒックは、ルーナにノートPCを手渡す。
「着いて来な…」
そう言って、暗い、何もない空間を進んで行く。
ルーナは、ノートPCを、強く抱きしめる。そして、ヒックの後を追う。ズルワーンとフォルもだ。
「…お前は、何なんだ…どうして、僕達に危害を加える?!」
ズルワーンが、ヒックへと質問する。
「俺はヒック!別に俺は、お前達を狙ってる訳じゃない!さっきも言ったが、バランスを正したいだけだ!その為に存在してる!この世界が作り出した、修正プログラムみたいなもんだ!俺は…」
「君は、人じゃないのか?」
「そうだな…微妙なとこだ。いや、死なないって点で、人じゃねぇのかもな…」
「死なない?!不老不死と言う事か?」
「ま、そんなとこだ…着いたぞ」
ヒックが、目の前を、また割ると、光が差し込んで来る。
ヒックは、そこへ何も躊躇わずに入って行く。
ルーナは、少し冷静になったのか、まずは手だけを入れてみる。
すると、全身が引っ張られる様に光の中へと引きずり込まれる。
ズルワーンとフォルも続く。
そして。
出た先には、今まで見た事も無いような、世界が広がっていた。
ホウキに跨った人が飛び交い、巨大な鳥や、指から火を出す人も居る。
「…な、なんなのよ…これ…」
「…驚いた」
「…絵本の中みたい…」
3人は、今までの事を忘れるほど、その見た事もない世界を観察していた。
― 惑星グラン ―
ロズウェル一同は、陸地にたどり着いていた。
「連邦…の領地では、なさそうだが…」
ラケシス艦長は、辺りを見回す。
クロートーが、何かを発見する。
「この石像って…確か…」
モイラも気付く。
「絶対中立地域…の…。私たち…入って大丈夫かしら?」
「ホーラぁ!パルカ怖いんだけどぉ?!」
「大丈夫よ、パルカ…ここは争いを好まないと聞いた事があるわ。いにしえから続く生活と、精神を守っている。らしいけど…連邦や帝国は、入れてもらえないみたいだけれど…」
「ふにゅう…」
ヒックは、目を覚ましていない。
「あら?何かしら…この感覚…ズルワーンちゃん、少し寄り道してもいいかしら?」
「どうしたの?フォルヒックトゥーナさん?」
白装束のフォルと幼いズルワーンは、森を歩いていた。
そして、森の道から横へと反れて行く。
― 空間 ―
ギルバートは、気付くと何もない空間にいた。目の前には、見知らぬ女性が、大きな杖を持って、白い衣装を着て立っている。その横には大きな体格の男が居た。
「ようこそ、ギルバートさん。大変、苦しい想いをしましたね。お心、お察し致します…」
「うむ。まさか…こんな事になるとは…」
2人が、ギルバートへと語りかけている。ギルバートは、何がどうなったのか理解出来ない。
「あ、あの…ぼ、僕は…ここは、いったい…?…!サラン!サランはどうなったのですか?!」
それを聞いて2人は、少し残念そうな顔になる。
「サランさんは、無事です。ですが…」
女性の方は、何か言いづらそうにしている。しかし意を決して続ける。
「あなたは…死にました…」
「えっ?!」
そしてギルバートの頭には、666という数字が表示されていた。
― 過去 ルーンシティ ―
ルーナ、ズルワーン、フォルは、映画の様な世界を歩いていた。
「…な、何なの、ここは…」
「すっごーい。フォル、ここ好きだわ!」
「離れるんじゃないぞ、フォル…」
そう言ってズルワーンは、フォルと手を繋ぐ。
3人の前を歩くヒックは、止まり、3人の方を向く。
「着いたぞ、ここだ…」
そう言って、小さな家を指差す。
「な、なんなの?ここ?」
「ここに居る奴に事情を説明してみろ。何か解決策が分かるかも知れない…」
「…あなた…」
「ルーナ、何か罠かも知れない。言いなりになるべきじゃない。気をつけて…」
そう言っているズルワーンを、黙って見つめるルーナ。
「私は、ヒックという青年を信じるわ…」
そう言ってルーナは、家のドアをノックする。
「すみません。誰かいらっしゃいますか?」
しかし返事は無い。
ルーナは、振り返りヒックを見る。
「ねぇ、ここで合ってるの?」
ルーナにそう言われ、ヒックは前へ出る。
「おっかしいなぁ?おい!誰か居ねえのか?!」
そう言ってヒックは、ドアを開けて中を覗く。
「ちょっと!ヒック!」
ルーナは、その素行の悪さに驚く。
そして中を覗く。
「…ッ!!」
中には、人が1人。
うつ伏せになり、倒れていた。
― 虹之町 ―
朝、ロッシーとニアは、朝食を食べていた。
「…ロッシー姉様、この鮭、美味しいですね…」
「えへへ、昨日、お給料日だったから、少し良い鮭買ったんだぁ~、ニアちゃん食通!」
「…えへへ、ニアは食通…」
食べ終わったロッシーとニアは、食器を洗う。
「…でも、良かったです…ロッシー姉様のシフトが、夜から昼になって…」
「そうね!ニアちゃんのゴハンも心配だったし、昼間寝てると、生活逆転しちゃうしね。これも店長のおかげかなぁ?」
「…店長…?」
「そうそう!なんか急に、現れて…ん?前から、居たのよね?ん?あれ?」
「…ロッシー姉様…?」
「あの人って…何なのかしら…」
そして、ロッシーの長い一日、いや。
長い長い、旅が始まる。
無限 ― ∞ ― の旅が。





