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時空魔竜騎アースガルンプロット.  作者: 一ノ元健茶樓
アースの章
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38/129

突撃

 



 ヒックが叫び呆然としていると、目の前の魔竜騎ズルワーンとフォルが下を向き、人型のヒックを確認する。


 ヒックと、フォルの目が合う。


 すぐに魔竜騎ズルワーンの巨大な手が、ヒックへと迫って来る。


「うわあああああっ!」


 ヒックはまた叫び、後方へと走り出す。

 しかし、目の前にはズルワーンが立っていた。


「うわわわわわわわんっ!!」


 悲鳴は、泣き声に変わる。


「ロッシー!!ロッシー!!!たずげでぇ~!!!」


 しかしヒックの足は早かった。

 意外とズルワーンとズルワーンに追いつかれない。


(お、意外とイケんじゃん…)


 そしてヒックは、泣くのをやめて走る事に専念し、横の見つかりにくそうな茂みの中を爆走する。


 ギルバートとサランは、空で魔竜騎ズルワーンが動き出すのを見ていた。


 すると目の前に、赤い小さな光が飛んで来る。

 それは目の前で高速に移動して、光の線を描く。矢印だ。


 ズルワーンの方へ向かうように、矢印を描いている。


 2人は顔を見合わせ、手を繋いでズルワーンの方へと高速飛行する。


「ねぇ、ギルバート…」


「なんだい?サランちゃん…」


「好きだよ♡」


「僕は大好きだよ♡」


「んもう!私は大大大好きなんだから!」


「僕はウルトラスーパーグレートビッグ好きだ!!」


 赤い小さな光は思っていた。


(なんなの…コイツら…)



 ギルバート達と、ズルワーンの距離が縮まる。

 ギルバートは飛ぶのをやめて、手を光らせながら空を全力疾走している。

 その後にサランも続く。


 フォルは後方の輝きに気づかないが、魔竜騎ズルワーンがそれに気付く。


「フォル!後ろ!」


 フォルは慌てて振り返るが遅かった。

 ギルバートの拳が、魔竜騎ズルワーンの顔へヒットする。

 その弾けた閃光で目の前が見えなくなるフォルに、サランが飛行体制から回転して、そのままの勢いでキックをお見舞いする。


「チョベリバキィィィィィィイック!!」


 ズルワーンは森へと沈み、フォルは勢いよく茂みへと蹴り飛ばされ姿が見えなくなる。


 ギルバートとサランは微笑み、ハイタッチをしている。


 無我夢中で茂みの中を逃げていたヒックは、茂みが途切れ、勢いで少し開けた場所へと出てしまった。


 そして、そこに居たのは青白髪の男だ。


「ほんとに君は変わらんな…走りで飛行に勝てる訳がないだろう?」


 ヒックは聞いていない。何処かに隠れる所か、逃げ場所がないか探している。


 やれやれと言った感じで溜息を漏らし、ヒックの方へと手を向ける。

 するとヒックの動きは止まる。

 動かす事が出来ない。足が動かないのだ。踏ん張って動かそうとするが動かない。ヒックの顔は真っ赤である。


「まさか、こんな所でこんなチャンスが来るとは…」


 遠くで何やら大きな物体が、勢い良く倒れる音がする。


「フォルと奴らが交戦中か…まぁ良い。お前が最優先だ。魔竜騎の心を貰い受ける…」


 そう言いながらヒックの目の前まで来るズルワーン。

 ズルワーンはヒックの胸に手を近づける。


「これでフォルヒックトゥーナは…本当に…」


 ズルワーンがそう呟くと、ヒックの胸が輝き出す。

 その時だった。


「待ちなさいよ…」


 そう言ってズルワーンの手を掴む者が居る。何の気配も無く現れた人物に、ズルワーンだけで無く、ヒックも驚いて手の方を見る。


「私のヒックに手出しはさせないわ」


「なっ!なんだと?!サ、サトゥルーナ!!お前、なんで此処に!!」


「黒髪の女!!!」


 ヒックは驚いて叫んだ。

 そしてズルワーンも、かなり狼狽している。


「気が付かなかったの?時空フィールドは誰が作ったと思っていたのよ。自然現象かしら?」


 ズルワーンは、サトゥルーナの手を振り払い、空へと高速で飛び出す。

 空で一旦止まり、先程まで居た場所へと目をやるズルワーン。


「待ちなさい…話はこれからよ」


 ズルワーンの真後ろに、サトゥルーナが居た。またズルワーンは驚いて距離をとる。


「な、なんだ貴様!どうやって出てきたんだ!」


「出て来てなんかいないわ。ちょっと考えれば分かるでしょうに。貴方なら」


 苦虫を噛み潰したような表情でズルワーンは、両手を前に出して詠唱する。


「汝!厄災となり滅びの精霊!」


 続けてサトゥルーナも詠唱する。


「滅べ!その厄災を汝の精霊へ!」


 そして2人は同時に魔法を放つ。


「ガルディ・カルッツァ!!!!」


「ルカディ・ルガッツァ!!!!」


 ズルワーンからは蒼炎が、そしてサトゥルーナからは黒炎が放たれる。


 それは巨大な魔人となり殴り合う。


 が、強さは圧倒的にサトゥルーナの黒い魔人であった。一方的に殴り続けている。


「貴方に魔法の才能は無いわ。諦めなさい。それに私は話をしに来たのよ」


 すると後方から赤い閃光弾が飛んで来るが、サトゥルーナは振り向きもせずにそれを手で止める。

 それから振り向き怖い顔をして叫ぶ。


「こんのっ!バカ少女!!」


 一緒ビクッとするフォルだったが、防御魔法で盾を作り、ズルワーンの近くへと飛んで来る。

 フォルはズルワーン前で、盾を構えて停止する。


「あら?少しは学習したのかしら?ちゃんと広範囲じゃなくて、集中型魔法壁を張るなんて驚きだわっ」


 サトゥルーナは微笑みながら、フォルに語る。

 しかしズルワーンとフォルは厳しい表情を崩さない。


 そして今度はサトゥルーナの後ろから、魔竜騎ズルワーン、ギルバートとサラン、そして赤い光のフォルが追いかけて来る。


「あら…賑やかね。というか…あの二人は、何かしら?この世界に魔法は無さそうだけど、飛んでるわね…」


 魔竜騎ズルワーンは少し浮くと、ドラゴン形態へと変形する。

 目の前で突然、変形を始めたズルワーンにギルバートとサランは、驚いて空で停止する。


 変形したズルワーンはそのままスピードを上げ、サトゥルーナへ突進してくる。

 それを避けたサトゥルーナは舌打ちをした。


「…ッチ」


 振り返ると案の定、ズルワーンとフォルの姿は無い。

 そしてフォルが詠唱する。


「時を超えし龍の叫びよ!今!この時を揺さぶり転空の輪を生み廻せ!」


「リンク、フレアァァァッ!!!」


 ズルワーンは空に円を描くように飛び、その中がヒビ割れ、青い炎が渦巻く空間となる。


 恐らく、ズルワーンとフォルは魔竜騎ズルワーンの口の中に移動しているだろう。




「艦長!!時空流気を感知!!」


「こちらもレーダに異変物質振動を感知しました!!」


「このままでは時空壁に衝突します!どうしますか?!」


「構わん!このまま時空の壁を突き破れぇっ!!!」




 その青い炎の渦の中へ、ズルワーンが入ろうとした時だった。

 魔竜騎ズルワーンが作った輪の真横に、魔竜騎の5倍はありそうな、巨大な銀色の戦艦が凄まじい音と共に、割れた空の黒い空間から勢いよく飛び出して来た。


 そして、その中から出てきたのは銀色の巨大な空飛ぶ戦艦であった。


 そして戦艦は、艦の船頭でズルワーンへと突撃し、ズルワーンが時空の輪へと侵入するのを防ぎ、その勢いのまま世界に全貌を晒す。


 そしてゆっくりと勢いを落とし、空中に停止する。


 1人、森の中で様子を伺っていたヒックは、口をあんぐりと開け、目が点になり


 叫んだ。


「…な」


「なんじゃ、ありゃああああああああああああああああああっ!!!!!」



 そして


 ギルバートとサランも、驚いて抱き合いながら叫ぶ。


「な」「な」


「何あれマジ卍いいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!」


「なんなんだあれはああああああああっ!!!!」



 サトゥルーナも驚きを隠せない様子で、ただその巨大な戦艦を眺めていた。


 そしてズルワーン達は、船に押された勢いで、バランスを崩し


 森へと堕ちた。



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