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85 ゴミ屋敷ダンジョンの魔王の弱点

 大袈裟に痛がるのは演技か? いやそれとも魔王アバドンは本当に物理攻撃に弱いのか?

 俺はそれを確かめるべく飛び上がって魔王アバドンを回し蹴りした。


「ぎゃああああ」


 大袈裟に叫びながら吹っ飛ぶ魔王アバドン。


「わやあーだがね、痛いがね、何故我が物理攻撃が弱点だと見抜いたがねえええ」


 魔王アバドンが叫んだ。

 こいつ今自分で弱点って言ったぞバカなのか?

 俺はボットハンドで壁を掴んで空中で九十度姿勢を傾けて踵落とし。


「痛い痛いがねええええ」


 そして飛び上がりながらのアッパーカット。

 俺はフェミニスト無視のポリコレ無視で女性の魔王アバドンを蹴りまくった。

 魔王アバドンがフラフラとよろけた。

 おいおいガチのマジで本当に物理攻撃が弱点なのか?

 この痛がりようは演技には見えない。

 暴食系のスキルは攻撃を受ける前に全て食べちゃうから防御力が弱い?

 幸運なことに俺にはゴリマッチョの黒牛守がいるから、その弱点は相殺済み。

 これからはボッチのターン。

 とにかくこのまま殴り倒せ、蹴り倒せ。

 気を良くした俺がボッチドライビングシュートを放とうと足を大きく後ろに引いて――。


「って嘘だがね」

「え?」


 魔王アバドンが瞬時に起き上がり、俺の蹴ろうとした足を掴んで、そのまま俺を床に叩きつけた。


「グフ、いってえ」


 今度は俺が叫んだ。

 何だこの馬鹿力は? それに嘘だと?

 視界が回り、思考が混沌とし、一体今何が起きているのかまるで理解できない。

 嘘だと? それに魔王アバドンの動きが速すぎて見えなかった。

 なんだこの動きの変化は?


「てめえぇ、物理攻撃が弱点じゃないのか?」

「そうだがや。勿論嘘だがね。我は魔王アバドンだがね。魔法も物理攻撃も無効。攻撃自体が無意味。これは大食い対決と最初から言ってるがね」


 魔王アバドンが俺をぼろ雑巾のように投げた。

 俺は床に叩きつけられ、転がり、呼吸が止まり、遅れて激痛が全身を襲う。

 くっそいてええ。

 頭にきた俺は反射的にボットガンを何発か放つも魔王アバドンの手前で全て消失する。


「さあ、もっとよこせ、腹が減って減ってたまらんがね」


 ヨロヨロと立ち上がった俺を見た魔王アバドンが両手を広げた。

 くっそ。遠距離攻撃はまるで意味がない。

 暴食タイプが敵に回るとこんなに厄介だとは――。

 魔王アバドン――こいつは俺と相性が悪い。ボッチとリア充ぐらい悪い。

 最悪の組み合わせだ。

 物理無効の上に遠隔攻撃も無効。

 なんてことだ。完全に俺の上位互換じゃないか。

 俺が勝てる要素が一ミリも、一グラムもない。勝率はマイナス越え。

 調子に乗っていた。増長していた。

 絶望が俺の肩に圧し掛かる。


 木曽三川警護団が俺と戦った時に受けた絶望感が分かったような気がした。

 勝てる要素がまるでないのだ。

 魔法を放っても喰われる。

 質量弾を放っても喰われる。

 剣で斬りかかっても喰われる。

 何をしても喰われる。


「……」


 俺の戦意が完全に消失し、ボッチアイから光が消えた。


 生まれてボチません。

 調子にボッチました。

 ボチなんかいなくってしまえ。

 ボッチの俺がイキってたらこんなもんだ。


「ギョーリ」


 ミルフィーのその声で俺のヤル気メーターが数ミリだけ復活した。

 そうだ。こんなところで諦めたらダメだ。

 相手が魔王だろうがリア充だろうが、俺は負けない。

 立て、立つんだこのポンコツボッチ野郎。


 ミルフィーが見ているボッチよ。使い魔に恥ずかしい格好は見せられないボッチよ。

 ボッチ君が叫ぶ。

 ああ、確かにこのまま不甲斐ない姿を見せ続けたらミルフィーに見捨てられてしまう。

 クロガウのようになめられてしまう。


「だがら、大食い対決だがやって言っとるがや」


 さっきから何言ってんだこいつは? 大食い対決だと?

 いいだろう。やってやろうじゃないか。

 最大秘匿兵器をお見舞いしてやれ。

 俺の宇宙ボッチ物語の艦長がファイエルと叫ぶ。

 そして俺も叫ぶ。クロミズ、やっておしまいなさい。

 まかせんしゃいと俺の中のクロミズがサムズアップした。

 俺の体からメンタル霊が溢れる。


「ほほう」


 そしてその膨大なメンタル霊は魔法に具現化――変換しない。

 魔王アバドンがやったように、見様見真似でそのまま攻撃特性を持たせる。

 クロミズ、キンミズ、黒牛守。全力でいくぞ。

 後のことは考えない。後のことなんか考えたら悩み過ぎて死んじゃう。

 俺は今この瞬間だけを生きている。

 後のことなど後の祭りだ。

 そして俺は諦めない。

 これまでは諦め続けた人生だったがこれからの人生は違う。

 諦めても諦めなくても時間がくれば試合は終了するのだ。

 だったら、思いっきり、悔いのないようにやり遂げるだけだ。

 俺がこれまで溜め込んだありったけの怨念、呪怨、呪いをお見舞いしてやるぜ。


「さあ喰らうがいい……」


 俺はメンタル霊を凝縮させた。

 それは縮退され、膨大なメンタル霊が一つに凝縮され、固まった。


「むむ?」

「これが俺の全力攻撃だ」


 ダンジョンの床や天井がその圧倒的なメンタル霊によって引っ張られ、剥がれる。

 これはノスフェラトゥフレイムの要素も持っていた。

 ダンジョンの床が焼ける。消失する。

 これはボッチプロミネンスの特性も持っていた。

 ダンジョンの壁が凍る。割れる。鳴く。

 そしてそれはボッチアイスワールドの性質も兼ね備えていた。

 俺が持っている全ての属性を兼ね備えた最強の攻撃を喰らうがいい。

 そしてこの世の全てを否定し、全てを拒絶する。

 俺以外、死ね。


「始まりは光の音から、終わりも光の風から――全ての揺らぎの根幹カオスの中の主観よ。誰にも許可されずに存在する素粒子の根幹達よ。空間の久遠の叫びよ。俺はここに全てを否定も肯定も答えも出さない。従ってオメガにしてアルファ。アルティメット始原魔法――ラストスターメイカー」


 俺は全ての意味がない言葉の羅列、真意もない呪文を唱えた。


「喰ってやるがね」


 俺の最大攻撃がボス部屋を蹂躙し魔王アバドンに直撃した。

 物理法則が悲鳴を上げ、精神世界が崩壊し、俺の意図を誰も理解することなく、全てが解けた。法則が消え、意思が消え、世界が灰色となって割れた。

 閃光が迸り、何億もの認証不可能の衝撃波のリングが弾け飛ぶ。

 たった一つの思考すら糸が解れるように瓦解し、感情を鑑賞することなく干渉されない。

 感動すら覚える無秩序と秩序の境界を越えた音階を超えた朱色の特異点。

 世界から光が消え、カオスが消え。法則が、音が消えた。

 全ての常識が、意識が、景色が、公式が、不確定性原理が、宇宙の絶対法則が悲鳴を上げ、弾け飛ぶ。


「ギャアキャアアアア」


 魔王アバドンの叫び声が閃光の中からこだまする。

 遅れて埃や塵が爆発する。

 遅れて俺の短い髪を揺らす。


「ギャッタカ?」


 ミルフィーの細い髪を乱す。


「まあまあだがね」


 だが、色っぽい声が俺の心を乱す。

 そこには魔王アバドンが腹を撫でながら立っていた。


「なんだと」


 俺の渾身の攻撃が消えた。

 俺のメンタル霊を全部喰ったのか?


「ゲフッ」


 魔王アバドンの胃袋が破れた兆候はない。


「くっそおおおおお。ダメだ。勝てない」


 最大攻撃が喰われ、俺の心が完全に折れた。

 膝から崩れ落ちた俺はそのまま床に手を着いた。

 能力が平均以下のコミュ障ボッチの俺が勝てるはずがない。

 ヤオロズの加護を持っているが俺の基本スペックはカス。

 敗者。弱者。ゴミ屑。ボッチ野郎。

 このまま戦っても絶対負ける。負け戦。ボチ負けするだろう。

 魔王とボッチ。戦うまでもない。

 最初から敵う相手ではなかったのだ。

 相手は正真正銘の魔王なのだ。


 それに引き換え俺はボッチの魔王――ボ王なのだ。

 ボ王が魔王に勝てるわけがない。

 何がボ王だよ。ボッチボッチと現実逃避して、ふざけている場合ではない。


「は!」


 待てよ?

 そうか、そうだよ。

 こいつは魔王。魔王なのだ。

 当たり前だが魔王なのだ。

 俺の中のボッチンコンピューターがある一つの解を返した。


 だが勝率は三パーセント以下ボッチよ?


 ボッチ君が怪訝な声を出した。

 その勝率、どんな式で、どっから弾いた計算結果だよ。

 でも三パーセントもあるじゃないか?

 海の塩分濃度も三パーセントでも充分塩っ辛いのだ。

 俺はボッチ君の声を無視して立ち上がる。

 だが、立ち眩みを覚えふらついた。

 俺の中のメンタル霊が底を尽き、身体強化がうまく機能してないのだろうか。


「くっそおおお、これで最後だ。喰らええ」


 俺は大袈裟に棒演技でやけくそ気味に叫ぶ。

 推しタレントが声優をやったような棒演技。

 だが誇張されたアニメ、舞台演技よりも、日常会話に近い棒演技こそが演技の神髄だという説もある。

 日常すらまともに演じきれていない俺には関係ないがな。


「ほほう。良い目をする。流石に腹をくくったかね? でも何をしても、どんな心境の変化でも無駄だがね。我がその全てを丸ごと、ごっそり、全ていただくがね」


 俺は魔王アバドンの嘲笑を無視して両手を前に突き出した。


「ボットガン」

「だからそんな攻撃は無駄だがね」


 だが俺の両手から放たれたのは河原の石でも粗大ごみでも偉人達の武器でもない。


「な?」


 それは長い物体だった。

 ボス部屋に閃光が迸る。

 それは光り輝いていた。

 暗黒ボッチの俺に似つかわしくない光り輝く剣だった。


「ギョーリ。ソゲハ?」

「まさか? それはそんな馬鹿なアアア、なぜおみゃーが持っている? それはあああああ」


 魔王アバドンが叫んだ。


「聖剣アロンダイトだ」


 ボットガンから高速で射出されたのは勇者の剣。

 そう俺が暴走勇者君から寝とった聖剣アロンダイトちゃんだ。


「そんな、勇者の剣を何故おみゃーがあああアアアアア。おみゃーは何者だがや? まさか勇者?」

「……いやボッチだ」


 俺の決め台詞と同時に聖剣アロンダイトちゃんが魔王アバドンの豊満な胸に突き刺さった。


「ギャアアアアアアア」


 魔王アバドンが絶叫する。

 魔王は暗黒属性だろう。

 そして聖剣は光属性。

 以前、俺が勇者の聖剣に手を触れた瞬間、手を焼かれたのだ。

 従って俺よりも強い魔王の弱点は絶対に光属性のはずだ。

 何でも食べちゃう魔王でも光属性の聖剣は食らうわけにはいくまい。

 俺のボッチンコンピューターが絞り出した勝利への道。

 それは魔王に向けて勇者の聖剣を放つことだ。


「ギャッタカ?」


 ミルフィーが不吉なワードを叫んだ。

 だが流石にこれはやっただろう。勇者の聖剣が魔王に突き刺さったんだぞ?

 フラグの神様、今回ばかりは思い通りにさせんよ。


 そのまま光属性に焼かれろ。

 消えろ、そのままメンタル霊となって消えろ。

 フラグの神の絶対的なマーフィーシステムを超えろ。


「ガアアアア」


 魔王アバドンがもがき苦しんでいる。

 そうだそのまま消えろ、消えろ、消えろ。


「……グアアアアって嘘だかね」


 魔王アバドンが聖剣アロンダイトを根本までガッツリ吸収した。


「え?」

「ギャニ?」

「聖剣の味は格別だがや」


 魔王アバドンが美しい腹をさすった。


「まさか光属性の聖剣を残さず全部喰ったのか?」

「喰ったがや」

「聖剣だぞ?」

「旨かったがや」

「光属性だぞ」

「そうだがや」


 泣きそうな俺の声とは正反対に魔王アバドンは嬉しそうにそう言った。


「くっそおおおお。俺の最後の技が喰われただとおおお」


 俺は床にへたり込み、拳で床を叩く。


「我は魔王アバドンなるぞ? 弱点の光属性などとっくに克服済みだがね?」

「クソオオオオ」

「さあ、おみゃーの負けだがね」

「クッソオオオックックッ」


 俺の口から笑いがこぼれる。


「何がおかしいがね?」

「クックックッ。お前、聖剣を全部喰ったのかあ? ええ? 全部?」

「ああ。全部喰ってやったがね」

「そいつはおかしいなあ」

「何がおかしいがや?」

「ギョーリ?」


 ミルフィーが心配そうな声をあげた。


「くっくっくっくっくっあーはっはっはっ」


 俺の馬鹿笑いに魔王アバドンとミルフィーが眉をしかめた。

 ボッチでコミュ障の俺でも気分がいい時は喋るし笑う。

 こんな愉快痛快な気分は久しぶりだ。


「何がおかしいがや?」

「お前が聖剣アロンダイトちゃんを喰うことは想定済みだ」


 俺はゆっくりと立ち上がる。


「なに?」

「ギャニ?」


 お前が喜んで喰ったのは聖剣だけではないのだよ。


「魔王アバドンよ。聖剣アロンダイトを取り込んだお前は既に魔王ではない……」


 俺は半身をひねり片足を前に突きだし魔王アバドンに指をさした。

 これは司法試験に合格した者だけに許される異議ありのポーズだ。


「なっ?」


 魔王アバドンの美しい顔が焦りに曇る。


「お前は俺のものだ」

「ぬ?」

「お前に名をやろう。お前の名は聖魔王アバロン。俺の使い魔となれ」


 俺は魔王アバドンに名付けした。

 アロンダイトちゃんの名とアバドンの名を合わせた名前を名付けしたのだ。


「! 体が勝手に……これは? 何をしたあああああ」


 魔王アバドン、いや聖魔王アバロンが頭を垂れた。


「な? 我は何をしておるがや。何故人間なんかに頭を……貴様あああ、何を喰わせたがやあああああああ?」


 聖魔王アバロンが信じられない目で俺を見る。


「ギャサカ?」


 そうミルフィーの想像通りだ。

 俺は聖剣アロンダイトの豪華な模様の隙間にあるものを隠して射出した。

 それは小さく、黒光りするもの。


「ギョロミズサマノ?」


 そう、クロミズのコア核の破片だ。

 クロミズのコア核の破片を食べたクロガウとミルフィーは俺の使い魔、眷族となった。

 そのクロミズの破片を聖剣に忍ばせていたのだ。


「まさか聖遺物を喰わせたのきゃあ?」


 魔王アバドンがミルフィーを見て俺を睨んだ。


「頭が高い。控えろ」


 俺は上から目線で偉そうにそう言った。

 生徒会長を真似、テンドー君の口調を真似た。


「くっ。体が勝手に……」


 魔王アバドンが床に手を着いた。


「お前はクロミズのコア核の破片を自ら望んで食べた。それ即ち、自らクロミズの眷族……俺の使い魔となったのだ」

「そんな馬鹿な。何故人間が神の聖遺物を持っている?」

「聖遺物? コア核の破片のことか?」

「そ、そうだがね。人間が持っているなんてあり得ないだがね。おみゃーさん、まさか神を殺したのがや?」


 くっ。ボス部屋の扉で挟んで殺したなんてミルフィーの手前で、はいそうですなんて言えない。

 それにクロミズは今ではボットモだ。

 殺したなんて言えない。


「ボットモだからだ」

「それは何だがや?」


 聖魔王アバロンが首を傾げた。


「……ボッチの友と書いてボットモだ」

「お前、いくつだがや? 恥ずかしくないだがね?」


 聖魔王アバロンが床に手を着きながらも冷たい目で俺を見た。

「くっ……」


 俺は目を背けた。


「ぷっ……」


 ミルフィーの笑え声が噴出した。


「……」


 ボス部屋に沈黙の帳が下りた。

 そんなことよりも俺のクレバープランを賞賛しろよ。

 コア核を喰ったのは事実だ。

 こいつは俺の使い魔という事実は変えられない。


「ええい。とにかくお前は俺の使い魔だ。分かったか?」


 俺は両手を振りながら叫んだ。


「くっ。ははー分かりました……って嘘だがや」


 魔王アバドンが綺麗な舌をペロリと出した。


「え?」

「確かに我は自ら聖遺物を口にした」

「ああ、そうだ」

「だがおみゃーを認めたわけでも負けたわけでもない」

「え?」

「尊敬もせずに使い魔になることはないがや」

「え?」

「あーはっはっはっ。かなりウケるだがや。てっきり我の演技に騙されたがね。ヒヒヒヒヒ。腹がよじれるがやああ。あーはっはっはっ」


 魔王アバドンが腹を抱え、床を転がった。

 俺は回る巨乳と白い太ももに目が釘付けとなる。

 コア核を食べさせれば勝手に使い魔になるんじゃねえの?

 なにその条件? そんな設定聞いてない。聞いてないよ。

 クロガウは俺がボッチDEヒールで癒し、ミルフィーは牢獄から救った。

 確かに魔王アバドンには何もしていない。

 仲間になるフラグを一つも消化してない。

 無駄だった? 無意味だった? 誤算だった?

 貴重なクロミズのコア核の破片を無駄にした?


「我が貴様を認めぬ限り、我が使い魔になることはないがね。我は魔王だがや。大魔王様でもない限り我は誰にも屈せぬがね」


 聖魔王アバロン、もとい魔王アバドンが俺を睨んだ。

 そんな――失敗した。

 俺の最後の手段がいとも簡単にあっさりと失敗した。

 練りに錬った作戦が失敗した。


「……なんてことだ」


 俺は再び力なく床に膝を着いた。

 ボッチの俺が調子に乗った罰が当たったんだ。

 ボッチの俺なんか所詮こんなもんだ。

 背伸びして調子に乗っていた。

 圧倒的戦力差の前では作戦も意味がない。


「あー久しぶりに笑ったがや……」


 魔王アバドンが立ち上がり、笑いながら俺に近づいてくる。


「……ということで死ぬだがや」


 そしてどこからともなく禍々しい巨大な鎌を取り出し、俺の首に向けて振りかぶった。


「ギョーリ、ギゲテエエ」


お読みいただきありがとうございました。

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