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37 パーティー追放

「ギャハハハハ」


 ゴブリンが逃げ出すパーティーメンバーの背に向かって矢を放った。

 このままでは誰かに命中してしまう。

 うん。命中すればいい。助ける義理はない。

 このままゴブリンの矢で死ねばいいのに。


「……」


 だが俺はダンジョン部の部員だ。

 大いなる力には大いなる責任が伴うのだ――と生徒会長の可愛い真顔と揺れる胸元が頭に浮かんだ。

 トーリ君ダメよ――という副会長の声が聞こえた。

 カガッチ――と木曽三川警護団の期待と恐れに満ちた顔が浮かぶ。

 リア充と陽キャは皆殺しだボッチ――とボッチ君が笑った。


 俺は霊トレーサーになる為にここに来たのだ。

 ムカつくという理由だけで見殺しにする為に来たのではない。

 それに忘れてはならないのは、ここは霊トレーサーの試験会場ということだ。

 きっと、どこかでこの様子をモニタリングしている試験官がいるはずだ。

 ボレボレだぜ。俺の心の中で両手を天に広げた。

 俺はボットガンでその粗末な矢を撃ち落とした。


「ギャギャ?」


 ゴブリンが不思議そうに顔を傾げた。

 それはそうだろう自分の放った弓矢が消失したのだ。

 勿論、通路の奥に消えた元パーティーメンバーは俺に助けられたことを知らない。

 だがそれでいい。俺は人に感謝される為に生きているのではない。

 俺はボッチの俺の為に生きているのだ。

 ボッチこそ人間の進化形なのだ。

 リア充は他人を簡単に見下す。

 自分より下と判断した人間には容赦がない。

 俺は誰かを下に見たりしない。

 だがあいつらは下衆野郎だ。俺を置いていきやがって。


 おっと、戦闘中に心が乱れてしまったようだね。

 いかんいかん。キミ達のことをすっかり失念していたよ。

 俺はパーティーのしんがりを務める荷物持ちだ。


「ギョハ」


 ゴブリンが俺を見て笑った。

 武器も持たない俺はおかしいのだろうか?

 だが君達では俺の相手にならないんだなこれが。

 この雑魚が。俺は目の前の最弱のゴブリンを見下した。

 思いっきり見下した。

 そして俺はその醜いゴブリンの顔に無言で問答無用に無警告でボットガンを放った。

 数匹のゴブリンの首から上が消し飛んだ。

 ボットガン……これは俺の遠距離攻撃の一つ。

 俺の体内の液体を高圧で射出する必中攻撃。

 その威力は御覧の通りだ。


「ギョハ」


 隣りのゴブリンが何が起きたのか理解できずにキョロキョロと周囲を確認する。

 その間抜けな横顔に俺はさらにボットガンが放った。

 錐もみ状態で派手に吹っ飛ぶゴブリン。

 遠慮はしない。

 この三下が。

 この格下が。

 このゴミが。

 ゴブリンには悪いがこいつらリア充に似ているから気分が悪くなるんだよな。

 リア充達は無事に逃げたかな?

 俺は念の為、後ろを振り向くが誰もいない。

 元パーティーメンバーのリア充ウェーイ達は上手く逃げたようだ。

 よし。いいぞ。誰にも見られていない。

 ここには俺とゴブリン以外は誰もいない。


 俺は目を閉じて開いた。

 切れ長のボッチアイにはダンジョンの奥から迫るゴブリンの姿が写っていたに違いない。

 さて、目撃者もいなくなった今。

 本気を出してもいいよね?

 怒りのバロメーター振り切っているから発散してもいいよね?

 俺はダンジョン試験管理官に心の中で話しかけた。


「……」


 返事はない。

 つまり無言の肯定だね。

 つまりやっちゃってもいいってことっすね。

 お許しが下りました。

 生徒会長。今ここには目撃者も誰もいませんよ。

 ……いいですよね? 俺の加護ぶっ放しても?


「……」


 返事はない。

 つまり無言の肯定ってやつだ。

 いいだろう。見せてやろう。

 俺のボットモの力を。

 俺の最強の力を。

 ボッチの真骨頂、とくとご覧あれ。


「ヒトキレボッチモード」


 俺は叫んだ。

 何もモード名をわざわざ叫ぶ必要なんてない。

 無敵のクロミズの加護が俺を優しく包んだ。

 ヒトキレボッチモードのアシストレベルはA級霊トレーサーレベル。

 つまり木曽三川警護団レベル相当。

 それがどれだけ強いのかは分からない。

 一つだけ言えることはゴブリンには過ぎたモードだということだけだ。


 俺は満を持して背中のイマジナリーウェポン……阿形と吽形を抜いた。

 別名……大魔王の全殲滅剣と全絶滅剣。

 分霊箱という商店街のくじ引きのような箱から手に入れた俺専用の武器。

 俺のボッチ魂が分霊されたボッチ凝縮存在。

 俺の分身。俺専用イマジナリーウェポン。

 ボッチの魂の具現化。ボッチウェポン……略してチポン。

 ボッポンって言うと思っただろうが、そうは問屋が卸さねーぞ。

 俺はチポン取り出した。

 その瞬間、禍々しいオーラが充満し通路を満たした。

 大魔王の剣の呪縛が解かれ、本来の姿が解き放たれた。

 アニメなら紫のオーラが、紫煙の衝撃エフェクトがダンジョン内に走り、ダンジョン全体を揺らす派手な演出になっていただろう。

 突然。ゴブリンが泡を吹いて倒れた。


「え?」


 茫然とする俺の前でゴブリン達が次々と倒れていく。

 俺の剣を見てドミノ倒しのように失神していく。

 チョイ待ちー。まだ私何もしてませんことよ。

 剣を抜いただけですよ。

 大魔王の剣を抜いただけ……大魔王の剣……まさか本物?

 ハハハそんな馬鹿な。

 これは大魔王の剣という名だけで実は普通の剣だ。

 禍々しいオーラを噴出しているとしてもこれは普通の剣なのだ。

 見ただけで、失神ってどっかのハキかよ。

 まさか? これが伝説のボッチを極めし者のみが使用できるというハ気。

 ボッチのハキ……ボッチャハキか?


 俺は知らず知らずのうちにボッチャハキを出せるようになっていたのか?

 いやいや、そんなことよりもこれどうしよう。

 俺の目の前には無残な光景が広がっていた。

 ゴブリン絨毯。

 通路に倒れたゴブリンを見下ろしながら俺は頭を抱えた。

 こんなん誰かに見られたらなんて言い訳しよう。

 剣を出したらゴブリン達が気絶したよ。

 え? これ? これは大魔王の剣だけど何か?

 チポンのボッキで気絶してしまいました。

 ……言えない。

 言っても信じてもらえない。

 ボッチでコミュ障の俺に説明なんて無理。

 噛み噛み選手権シード選手の俺が流暢に説明できるはずがない。

 それにボッチがそんな大そうな名前の武器持ってたら盗んだとしか思われない。

 だったらやることは一つだけだ。

 そう証拠隠滅のみ。


 俺は失神したゴブリンに向けて、ノスフェラトゥフレイムを放った。

 真紅の炎がゴブリンを焼き、そのメンタル霊でさらに燃え上がり、更なる獲物を追い驀進していく。

 食らいつくす。

 まさに暴君。

 全てを食らい尽くすまで消えない暴食の魔法。

 暴君はダンジョンの奥に消えた。


 その後には何も残らない。

 全くの皆無。静寂と沈黙が交互にダンジョン内を支配した。

 ゴブリン達は一瞬で消えた。

 振るうことすらしなかった大魔王の殲滅剣。

 俺はそれを無言で背中に背負った。

 ゴブリンごときを気絶させたぐらいでは褒めてやらないからね。

 俺は旧型ツンデレのようにイマジナリーウェポンを背負った。

 阿形と吽形はそんなの分かっていると、いうように黙って俺の背に収まった。


 さてどうしようか。

 このままあいつらを置いて進むのもいいが、それだと減点されそう。

 俺一人でダンジョンを踏破しても褒められることはないだろう。

 仲間を見捨てたとか責められるだけだろう。

 それにあいつらが心配だ。

 ゴブリンごときで逃げ出すようなパーティーだ。

 ダンジョンの中なのに緊張感がない学生気分が抜けないヒヨッコなのだ。

 俺がいなければ死ぬだろう。罠にはまって死ねばいいのに。


「はあ」


 俺は相反する感情を抱え込みながら元パーティーメンバーを探しに通路を戻り始めた。

 勿論、戻る時もマッピングは欠かさない。

 暫くすると通路の先から馴染みの声が聞こえてきた。


「絶対こっちで合ってる」

「それはさっきも聞いた」

「うちら、迷ったのかも」

「こんな単純なダンジョンで迷うかよ」

「でも壁の見た目一緒だし」

「迷うはずないだろ」


 ……絶賛迷ってた。

 プププ。迷ってやがる馬鹿め。

 ゴブリンから必死で逃げ自分の居場所をあっさり見失ったようだ。

 誰だっけかな? 俺のマッピングをバカにしていたの。


「……」


 俺は元パーティーメンバーの横を無言で通り過ぎた。


「あっ、てめぇ」

「なに無視してんだよ」

「黙ってやり過ごせると思ってんのかよ?」

「遅い」

「……」

「どこで何してた?」


 いや、ゴブリン処理してたんですけど、俺のボッチリハキでボッチン気絶させて無抵抗のゴブリンを俺が中二病時代に考えた極悪非道なボッチ魔法でボッチ焼き尽くしたんだボッチよ……と心の中で流暢に答えた。


「……キミも無事だったか。早速で申し訳ないが確認の為に、それを見せてくれないか」


 リーダーのセンが心配したふりをして俺の方眼ノートを一瞬で奪った。

 素早い。人の物を勝手に奪うなよ。確認ってなんの確認だよ。


「大丈夫だ。合っている。このまま進めばいい」


 センが自信満々でそう言った。

 合っている? 迷ってましたよね?

 何と合ってたの?

 それに感謝の気持ちを忘れてますよ。


「やっぱな」

「ほらな。俺の言った通りだろ」

「そうね」

「うちら最強」


 うわぁ。この根拠のないポジティブ思考を見習いたい。

 ついさっきまで仲間同士でいがみ合ってましたよね?

 俺を置いて逃げ出したことを忘却の彼方に置いてきてない?

 さんざん馬鹿にしていた俺のマップを見たよね。

 ありがとう。とか助かったよとか、ないの?


「よし。進むぞ」


 リーダーのセンが黙ってノートを俺に返した。

 礼の一つもなしかよ。


「あれ? ゴブリンは?」

「なんだよ。せっかく、俺の剣でぶっ殺してやるとこだったのによ」

「俺らにビビッて逃げたんだよ」

「そうそう。うちら最強だし」


 ゴブリンがお前らに恐れをなして逃げたことになってる?

 なんて都合のいいオツムなんだ。

 なんでそんな自分に都合のいいようにしか考えないんだ。

 だからお前らは成長しないんだ。

 いつも誰かのせい。

 他人のせい、大人のせい、体制のせい、総理のせい。

 社会のせいにしてるからお前らはいつまでたっても成長しないんだよ。

 誰かのせいにしてもいいのは扶養家族の子供だけだぞ。

 本当は分かっているのだろう? 知っているのだろう?

 全て自分のせいだってことを……。

 勉強しなかった自分のせい。

 金持ちに生まれなかったのも自分のせい。

 転生ガチャに失敗した自分のせい。

 だからこそ努力するんだろうが。


 こいつら本当に選ばれし霊トレーサー候補生か?

 こんな甘い考えでダンジョンに潜るというのか?

 ダンジョンに法はない。

 ここにはお前らを守ってくれる人権も平等もポリコレも偽善者すらいないんだぞ。

 あるのは敵か味方か? 強者か弱者か? ……だけだ。

 自分の身は自分で守るんだ。

 そのことが本当に分かっているのか?

 自分の信じる権利を主張しているだけでは誰も守ってくれないんだぞ。

 もしかすると、さっきのゴブリンの矢で死んでたほうが、こいつらの為だったのだろうか?

 いや、助けれるのに助けないのはこいつらと同じになってしまう。

 俺は麗しの巫女の後輩なんだ。

 巫女様の名に傷を付けるわけにはいかない。

 だけど死ねばいいのに。

 そんなふうに二律背反のスパイラルループに迷い込んでいるとヤンチャ系アタッカーが俺を振り返った。


「おい荷物持ち。この荷物を持て」

「ああ」

「ちっ」

「ふん」

「きも」

「生理的に無理」

「……」


 俺の前に荷物を置く時にご丁寧に舌打ちをするパーティーメンバー。

 助けられたことも知らず、恩を仇で返すとはこのことだ。

 俺は彼らの荷物を持って後に続いた。


 そうこうしているうちに俺達は大きな扉に辿り着いた。


「敵はいない?」

「ラッキー」

「これってボス部屋?」

「もしかして一番乗り?」

「待って。油断するな」


 きっと俺の放ったノスフェラトゥフレイムでゴブリンは全滅したのだろう。

 そう幸か不幸か? 俺達はモンスターに出会うことなくボス部屋に辿り着いた。

 試練のダンジョンという大そうな名前のダンジョンだが、ここはやはり初心者用のダンジョンのようだ。

 俺が行った和風畳部屋の無限に続くような赤鬼祭りの絶望感はない。


「ボス部屋?」

「なんか簡単だったね」

「俺らの前に逃げ出したんだよ」

「うちら最強だし」

「荷物持ち意外はな」

「きゃは」

「……」


 めでてーな。おめでてーな。俺はそんな風に心の中で天を見上げた。


「うわあ。こいつキモくてウケるんですけど」


 ウケねーし。

 こうやって会話の最後のオチが俺だ。イジメオチだ。

 これも全て芸人のせいだ。

 いじめを笑いにし、金儲けにしている芸人のせいだ。

 全員で一人をいじる。いじるとはイジメなんですけど?

 商売だからっていい?

 だがな、テレビの前の良い子ちゃんはテレビを信じちゃうんだぞ。

 純粋無垢なんだからね。

 俺のボットガンで全員いじっちゃうぞ? いいのか?


「準備はいいか」

「ああ」

「ボコってやんよ」

「俺の盾がみんなを守る」


 前衛イケメン部隊のセリフにうっとりする女性陣。

 もしかして、根拠のない自信に満ちたチョイ悪発言するだけでモテるのか?

 女子ってもしかして単純? ひょっとして馬鹿なのか?


「支援魔法よろしく」

「はい」

「みんな頑張れ。ここを乗り切れば、僕達は霊トレーサーだ」


 そんな俺の自嘲的な葛藤をよそに時は進む。

 え? なに? 本当にボスと戦うつもりなのか?


「行くぞーみんな」

「おおっ」


 リーダーのセンがボス部屋の扉を開けた。

 巨大な扉の向こうはクロミズの部屋そっくりの広間になっていた。

 間違いないボス部屋だ。

 こんな状態でボスと戦うのか?

 まあ、いざとなったらこっそりボットガンでフォローしよう。

 俺が後ろからこっそりと援護すればいい。

 俺が遅れてボス部屋に入ろうとした瞬間、パーティーメンバーが立ち止まって俺を見た……。


「メンバーで話し合った結果、君をパーティーから追放する」


 そして背中を押され、俺はボス部屋の中によろよろと入った。


「え?」

「きゃははは」

「お前なんか仲間でも何でもねーよ」

「さっさとボス倒して来いよ」

「マジウケるんですけど」

「君には申し訳ないのだがみんなで決めたことだ。俺達は勝ちたい。その為ならば何でもする。君をパーティーから外した。僕達は部屋の外からキミの健闘を祈っているよ。そしてその戦いからボスを分析する」


 センが笑った。

 酷いよ。信じてたのに酷いよ。


「くっくっく」


 俺は暗黒面に落ちたような笑い声をあげた。

 まあ、ボッチ歴が長い俺にはだいたい予想はついていた。

 こんなことだろうと思っていた。

 見ず知らずの使えない奴をパーティーに入れるのだ。

 なんらかの意図があるはずだった。

 ご丁寧にもガーディアンは盾を扉の間に挟み扉が閉まるのを防いだ。

 それ俺が前やったやつ。真似すんな。


 ガンジーボッチの平和主義者の穏便ボッチの俺でなければ、人間不信マックスで暗黒面に落ちてダークボッチ、ダークボッチ魔王になっていたところだ。

 あ、もう大魔王の剣を持っているから既に大魔王なのか?

 いやいや待てマテ。魔王って魔の王だよな。

 俺はどちらかといえばボッチの王だから。ボ王だよな。

 ボ王……うわあ。すげー弱そう。

 たった一文字違うだけでこんなに弱そうだとはこれいかに?

 ……とそんなどうでもいいことで頭を悩ませていると、部屋の中央に煙が集まり出した。

 さあお待ちかねのボスの登場だ。

 恐らくここのボスはあの鬼教官かその眷属だろう。


 そしてそれは現れた。

 巨大な角を持った巨人。

 真っ黒な肉体に天井の柔らかい光を反射し、硬そうな筋肉に太い血管を浮き立たせた。

 両手に持つのは身の丈を越える程巨大な金棒。

 ダブル金棒。

 そうボスは黒鬼。

 巨大な黒鬼だった。


「あれがボス?」

「なんて大きさだ」

「あんなの勝てるはずがない」

「ひいい」

「うそでしょ」

「運営何考えてんだよ。どう見たって初心者が倒せる敵じゃないぞ」


 外野うるせー。

 裏切りパーティーがボスの姿を見て勝手に阿鼻叫喚していた。

 運営ってこれゲームじゃないんですけど。

 ダンジョンは人間の想像。だからゲームの影響も受けるんだっけか?

 確かに強そうなボスだ。

 ゴブリンの戦闘すら経験していないこいつらには衝撃的だったろう。

 俺も最初にボスを見た時はびっくりしたよ。

 半透明で震えていたし、問答無用でボットガン放って来たからね。

 それに比べたらこの黒鬼は紳士的だよ。

 待っててくれてるからね。優しい黒鬼さんだよ。


 あの見た目は物凄い強そうだ。

 だが俺も物凄く強いから問題ないよ。

 みんな俺の雄姿を見ててくれよな。


 フタキレボッチ……。


 !――あかんやん。

 クロミズの加護使ったらあかんやん。

 俺は生徒会長に釘を刺されていたのだった。

 今までソロだったから気にしてなかったけど、今は元パーティーメンバーが俺を見ているのだ。

 扉の外から楽しそうに俺を見る目があった。

 絶賛見られているのだ。注目の的だった。

 俺を裏切ったパーティーが部屋の外から観察しているのだ。

 試験官に見られるのはいい。

 だがそれは俺の能力を測る為のものだからだ。

 だが他の者に目撃されるのはマズい。

 これでは俺の最強のボットモ……クロミズの力を開放できないではないか?

 クロミズの加護はシークレットなのだ。


 どうすんのこれ?

 ボスのコアを前回と同じように扉で挟むか?

 だが黒鬼は挟めるような大きさじゃない。

 そもそも黒鬼ってコアあるの?

 詰んだ。

 完全に詰んだわこれ。

 逃げも隠れも助けも戦いもできないなんて。

 クロミズと融合した俺は物理無効の無敵だ。

 だが生徒会長の約束を破るわけにはいかない。

 ジレンマの隙間のどっぷりはまった俺は完全に行動不能の板挟みサンドイッチフリーズ状態に陥っていた。


 最強ボッチの俺は人に見られていると最弱だった。

お読みいただきありがとうございました。

大まかなストーリーに変更ありません。

誤字脱字、読みやすいように修正しました。

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