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Reversal One The Life(リバーサル・ワン・ザ・ライフ)  作者: usiroka
第1章 転生と冒険の始まり
20/25

第19話 もう一度初めての冒険を

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

「…ん。」


 宿屋で眠っていた光輝は爽やかな気持ちで朝を迎えた。


(さて…。)


 起きた光輝は朝食を取ると、冒険の為に身支度を始めた。


 一昨日に装備したレザー式の装備よりも、装備のしやすさは魔法服の方が断然上だった。こうして準備を楽に終えて、光輝は気合を入れるとギルドへと向かっていった。


 ギルドに着いた光輝は冒険者の受付へと向かって行った。


「あ、光輝さん。おはようございます。」


 ルルシアは一昨日のことを気にすることなく、初めて会った時と変わらない優しい笑顔で光輝を迎えてくれた。


「おはようございます。ルルシアさん。」


「…あ、新しい装備買われたんですね。とても似合ってますよ。」


「いえいえ、ルルシアさんのお陰ですよ。」


「ふふ、そうですか。…光輝さんとてもいい剣を買われたんですね。」


「はい、そうです。」


「かなりの業物に見えますけどどこで買われたんですか?」


「…えっと。」


 昨日ゼノの言われたことを思い出し少し光輝は困ったが、


「…この剣なら鍛冶市街を歩いていた時、偶然にも見つけて気に入ったのでこれにしたんです。」


 とばれないように堂々とルルシアに嘘を話した。


「そうだったんですか。ところで光輝さん、受けるクエストは前回失敗した『フェル・ウィーゼル討伐』ということでよろしいですか?」


 少し厳しい顔をしてルルシアはクエスト内容の確認を始めた。


「…はい。」


「光輝さんのレベルは確かに15まで一気に上がりましたが、まだ冒険者としての実力はレベル2の冒険者と変わりありません。相手がいくら最弱のモンスターである『フェル・ウィーゼル』とはいえ、数匹同時に襲い掛かってきた場合対処ができず、返り討ちにされてしまうことがありますので気を付けてください。」


「はい。」


「ちなみに、光輝さんを襲った『ティルゼウェイク・ウィーゼル』ですが、現在は特に確認はされてはいませんが、遭遇する可能性は冒険をするのであれば必ず出てきます。前回は一匹だけだったので奇跡的にも光輝さんは『ティルゼウェイク・ウィーゼル』を倒すことができましたが、今15レベルとなった光輝さんでも『ティルゼウェイク・ウィーゼル』を相手にすることは無理に近いでしょう。見つかってしまい、襲われれば最悪の場合は死んでしまうので、こちらに近づいてきたら必ず転移結晶を利用して逃げて下さい。」


「…分かりました。…あのここからあの野原に行くには、どうすればいいですか?」


「…えっとですね。じゃあ地図を出すので少し待ってっ下さい。」


 ルルシアは地図を取り出して、光輝にギルドから野原への道のりを教えた。


「ありがとうございます。」


「いえいえ、それでは大変だと思われますが頑張ってください!」


 光輝は軽くルルシアに礼をすると野原へと向かっていった。


(…光輝君が持っていたあの剣。何かが頭の引っかかるな…。あの剣に似たような剣はどこかで見たと思うんだけど…。どこで見たんだっけ…?うーん、思い出せないな…。)





「…。」


 ギルドから歩き始めて三十分近くが経ち、光輝は一昨日来た野原へ戻ってきた。


 一昨日は沢山の新米冒険者やギルクがいたが、今日は自分一人。


 初めてここに来たときは驚いてばかりいたが、激しい激闘の影響か少しだけ心に余裕ができていた。


 光輝は軽く深呼吸を済ませると


(…行くか!)


 覚悟を決めて、フェル・ウィーゼルを探すことにした。


 光輝はギルクに言われたことを思い出して、林の近くまで移動して物音を軽く立てた。するとあの時と同じようにガサガサと林の向こう側から聞こえてきた。


「…!!」


 林の入り口から即座に離れて光輝は剣を構えた。


 しかし構えた瞬間に悪寒が光輝を襲う。死にかけたこともあり、まだ完全には立ち直ることができていなかった。だが『ここで逃げてはならない、ここまで来て逃げたら俺はただのヘタレへ落ちることになる』と光輝は自分を無理やり奮い立たせた。


「…。」


 精神を研ぎ澄ませ、フェル・ウィーゼルを待つ。そして音が最大限まで大きくなった所で



「「キィ!!」」


 二体のフェル・ウィーゼルが林から出てきた。


「!!」


 おびき寄せられたフェル・ウィーゼルは光輝に向かって一撃を喰らわせてやろうと牙を剥いて飛びかかってくる。


(…くっ!)


 剣を振ろうにも『ティルゼウェイク・ウィーゼル』とは違い、身体の大きさがあまりにも違うので攻撃を当てようとするが、的が定まらないでいた。恐怖もあって動きが悪い状況に光輝は落とされていた。


(くそっ…!!)


「「キィィィ!!」」


 光輝は飛びかかってくる二匹のフェル・ウィーゼルの攻撃をなんとか避け続けた。どうすればいいのか分からないでいた時、光輝はあることに気が付いた。


(…最初は怯えていたからか分からなかったけど、初めてフェル・ウィーゼルを見た時に比べると今のフェル・ウィーゼルは遅く感じる…。)


 光輝は確かめるために、少し心を落ち着けてしばらく避け続けた。


「…キィ!」


「…シィ!」


 攻撃がかすりもせず、怒ったフェル・ウィーゼルは怒りに震えて攻撃速度を上げてきた。


「…!」


 早くなった攻撃が光輝を襲うが、光輝はそれを避ける。そして避け続けて予想は確信へと変わる。


(…どうしてかは分からないけど、見切れる!これなら…!)


 見切れると確信したとき、フェル・ウィーゼルが光輝に攻撃を仕掛ける。それを光輝は見切って攻撃を避ける。そして避けた瞬間にフェル・ウィーゼルの姿が光輝の視線に入った。そして光輝はもう一つあることに気が付く。


(そうか…!攻撃して飛びかかってきた時を狙えば、俺の攻撃を当てられる!)


 この二つが分かった光輝は攻撃を入れるタイミングを見計らった。そして


「キィィィィ!!」


 攻撃を絶対に当ててやると鬼気迫ってやってくるフェル・ウィーゼルは光輝に最速の一撃を加えようとした。しかし光輝はそれすら見切って最速の一撃を避ける。そして攻撃を避けられたフェル・ウィーゼルに最大のスキが生じた。そしてそのスキを光輝は見逃さなかった。


「…せぁっ!!」


 構えた剣を思いっきり振り下ろしフェル・ウィーゼルに一撃を与えることに成功した。


「キィ…!?」


 大きな一撃を受けたことに気づいたが、時はすでに遅く攻撃を受けたフェル・ウィーゼルは地面に横たわった。だが


「キィィッ!!」


 もう一体のフェル・ウィーゼルが光輝に迫ってくる。


「…ッ!!」


 だが、光輝は分かっていた。


 フェル・ウィーゼルは光輝に不意打ちを喰らわせようとした。だが光輝はそれを避ける。そしてフェル・ウィーゼルのスキを見て


「はぁっ!!」


 もう一度思いっきり剣を振り下ろした。


「シ…、ィ…。」


 光輝の一撃を喰らいフェル・ウィーゼルは動かなくなった。

 だが、それだけでは終わらず


「キィィィィ!!」


「シィィィッ!」


 林の入り口からフェル・ウィーゼルが新たに三体光輝に向かってきた。


「…っ!!」


 突然と三体となったフェル・ウィーゼルに一瞬戸惑ったが、先ほどのフェル・ウィーゼル達と同じように変わらない攻撃パターンだったため、光輝は戸惑った思考を冷静に戻して、飛びかかってきてスキができたフェル・ウィーゼルに剣の攻撃を加えていく。


「…ハッ!せあっ!!」


 あっという間にフェル・ウィーゼルの三体のうち二体を倒した。

 しかしまだ一体を残したまま


「キィッ!!」


「シィ!」


「キイィィィ!!」


 五体ものフェル・ウィーゼルが光輝に襲い掛かってきたのだ。


(…くそっ!!)


 何とか残った一匹を倒すが、一気に五体に囲まれてしまった。


「キィィ!!」


「キシィィィ!!」


 三体は何とか倒せたものの、五体を光輝一人で相手をするのは厳しい状況であった。


(…くっ!!)


 フェル・ウィーゼルの数も増えて、攻撃の手も増えてしまい光輝の現在の状況は圧倒的に不利になった。それでも光輝はなんとかスキを見つけ出し五体のフェル・ウィーゼルを一体ずつ倒していく。


「キィィィィッ!!」


 そして最後の一体となったフェル・ウィーゼルは歯をむき出しにして真正面から光輝に向かってきた。光輝はギリギリの所でそれを避ける。そして


「はあぁぁぁっ!!」


 今日一番の一撃を喰らわせた。


「キ…、キィ…!!」


 攻撃を受けたフェル・ウィーゼルは地面に着地するもそのまま倒れて息絶えた。


「…はぁ、はぁ。」


 光輝はまた林の入り口から新たなフェル・ウィーゼルが出てこないか確認した。しかし特にガサガサとした音はこれ以上こちらにやって来なくなった。


「…。」


 極度の緊張状態から解放されて、光輝は足の力が抜けて地面に座り込んでしまった。


(…まさかいきなり十体も相手にすることになるとは思わなかった。)


 しばらく息を切らしていたが、呼吸が落ち着いてきた時無意識のうちに光輝は自分の右手を見ていた。


(…そうか、俺はようやく冒険者としての一歩を踏み出せたんだな。)


『ティルゼウェイク・ウィーゼル』と戦った時は「生きたい」や「怒り」という気持ちが強くて冒険をしたという感覚が無かった。あの時やり遂げることができなかったことが、ようやくできた。できたと思えて、それが嬉しいという感情になった時光輝は右手を力強く握りしめていた。


(やれる…!これなら俺はこの世界で一生懸命に生きられる!!)


 冒険する自分に自信を持てた光輝は最高の気持ちで『フェル・ウィーゼル』討伐のクエストを完了させた。


 このクエストから光輝は更に冒険の世界へと身を投じた。


 受けるクエストは基本モンスターを討伐するといったものだった。討伐の際にダメージを受けることもあった。


 だがその痛みの中でもそれに屈することなく光輝はモンスター相手に光輝は剣を振り続けた。ただモンスターを倒して、お金を手に入れる。その繰り返しの中で光輝は冒険することに喜びと感動を少しづつ覚えていった。




 こうして光輝が冒険者になって約一週間が経った。レベルが一気に15になった影響でレベルは上がらなかったものの、剣の扱い方や戦闘知識といったものは着々と光輝の身にしっかり馴染んできていた。


 分からないと思ったことは沢山あったが、ノルスのお陰で分かるようになっていった。


 今日もクエストを受けた光輝は野原の方へと向かっていた。向かっていた時に光輝はアン・イリスに始めてきた時にいた白い噴水広場が見えた。


(あれから一週間か…。)


 なんだか懐かしい気分になり光輝は噴水広場のベンチに腰を掛けた。そして自然と空を見上げていた。


(…そういえばここに初めて来た日も空がとても綺麗だったな。)


 青く少しの白い雲が流れる中で、ここでの一週間のことを思い出した。死んでしまった。だけどここで自分の心を変えられてよかった。青空のようにそんな爽やかな気持ちに光輝はなっていた。


(もう行かないとな…。)


 クエストに行こうと光輝は立ち上がり噴水広場を立ち去ろうとした。


「…ー!」


 しかしそんな時に何か変な音が聞こえてきた。


(…?)


 光輝は周りを見渡した。だが特に周りに変わったことは起こっていなかった。


(気のせいか…?)


 改めて噴水広場から出ていこうとしたが


「…ぁー!」


 また先ほどと同じ変な音がしてきた。


(…どこだ?)


 光輝は周りを見渡すが、やはり何も起こっていない。


「ーぁっ!!」


 どんどん音は大きくなっているも、やはり周りに変化は無い。どういうことなのかと光輝は必死に周りを見渡した。


「ーあぁぁっ!!」


 どんどん大きくなる音がどこなのかと確認していた光輝は、もしかするとと思い恐る恐る上を見上げた。すると


「イヤァああああ亜アぁぁアぁア亞あアああァァ亜アアあああ亜阿ああああああアアアアアアアアアアアああああーっ!!」


 何やら人らしいものがこちらに向かって落ちてきていた。


(嘘だろ…。)


 気が付いた時にはもう遅く、逃げられぬまま光輝は空から降ってきた人らしいものと衝突してしまった。


(痛ぇ…。)


 人らしいものに衝突した際に、光輝は激しく後頭部を打ってしまった。だがステイタスによって肉体が強化されていたため、小さなたんこぶを作ったくらいで済んだ。


(…なんだ、…これ?)


 後頭部の痛みが消えかけた時に、光輝は右手にとても柔らかいものを触っていることに気が付いた。これが何なのかを確かめようと痛みによって瞑った目を開けてみた。


「…。」


 ゆっくりと目を開けるとそこには緑色の髪をした可愛い女の子が光輝の上に乗っていた。


(降ってきたのは女の子だったのか…。…って!?女の子っ!?)


 光輝は恐る恐る、自分の自分の右手を見た。


「…あ、あぁ…。」


 そして光輝の右手は






 女の子の胸を鷲掴みにしていた。






「うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 光輝は顔を真っ赤にして、らしくない声を上げて女の子から離れると、即座に土下座をした。


「ごめんなさい!ごめんなさい!!決してわざとじゃないんですっ!!」


 耳の方まで真っ赤にしながら光輝は全力で女の子に土下座をして謝った。


 がしかし、女の子の反応が無い。よほど怒っているのかと恐る恐る光輝は顔を上げた。だが


「きゅう…。」


 女の子はよっぽどの恐怖だったのか目を回して気絶したままだった。


(ホッ…。)


 女の子がまだ気絶していてよかったと光輝は心の底から思った。


 とりあえず光輝は、女の子を近くのベンチに運んで女の子の意識が戻るのを待つことにした。


(…この女の子は一体?)


 疑問に思いながらも光輝は女の子の意識が早く戻ることを祈った。


 そして、この不思議な女の子との出会いが更に光輝の運命を変えていくことになると、このとき光輝は思ってもいなかった。

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