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明かされた真相

「私は、エリザベス様をお教えしていたけど、もう彼女に教えることは何もなくなっていた。これ以上をお求めならば、別の人に教えを請われた方がよろしい、と奥様に進言を」

「なぜ、それを……」

 レイルズ女史がぼそりと呟く。


「それから、どうしました」

「お茶を一口飲んだところ、私は突如気分が悪くなってしまった。奥様はそれを見て、医師から気分が悪くなった時に飲むようにともらった薬だと言って、お薬を譲ってくださった。私は、それをいただいて飲んだ……」

「え……」

 エリザベスは己の横にいたレイルズ女史を眺める。


「あなたはその薬が合わずにお亡くなりになったのですか」

「あの薬……おそらく、お茶にも同じものが入っていた……きっとお茶か薬、どちらかだけならばただ気分が悪くなっただけで済んだ……」

 それを聞いて、エリザベスはただレイルズ女史の顔をじっと見る。


「お前……どこからそれを……一体、誰から聞いたの。誰、誰が裏切った」

 レイルズ女史が彼女らしくなく(・・・・・・・)ヒステリックに声を上げだす。だが、それらは黙殺された。


「話をしたい人はいますか。何か、一言残したいことは?」

「……エリザベスお嬢様に……お嬢様」

 ウィザーズがエリザベスに顔を向ける。エリザベスは呼ばれて、彼女の前へとふらふらと出ていった。


「エリーお嬢様、あなたは何も悪くない。あなたは勤勉で素敵な女性にお育ちになった。これからもよき学びがあなたと共にありますように。あなたの今後が幸多からんことを」

「……サリー先生!」

 エリザベスはサリーの優しい言葉に涙がこぼれる。彼女と手を取り合って、そしてその場に泣き崩れた。



「レイルズ女史。いいえ、メイウェザー伯爵夫人。あなた、サリー・レイルズ女史を事故に見せて殺して、彼女に成り代わりましたね」

「この平民風情の小娘が……」

 リズに指摘されて、女史に扮する伯爵夫人の表情が険しくなる。


「え……お前は、女史ではなくカメリア? ええ?」

「レイルズ女史とメイウェザー夫人、背格好が似通ってらっしゃるんですね。髪色も元々近い色をしてらっしゃった。それを数か月前から同じ色にお染めになってより似た容姿に近づくようにされた」

 改めてロドニー医師にメイウェザー夫人について尋ねると、ロドニー医師はこう言ったのだ。数か月前から体調が悪くなったのか、髪色が冴えない色に変わったのだ、と。


「レイルズ女史は前髪が重く多めにとってらっしゃるのに対し、メイウェザー夫人は額をお出しになっていた。レイルズ女史は化粧はごく薄く、メイウェザー夫人は化粧をしっかりとされていた。両者の印象は正反対でまったく違っていた。そのため、実はこの二人が少し細工をすれば似てしまうことに気づかれた人は少なかったんでしょう」

 だが、当の本人である夫人は気づいていたのだ。この家庭教師と自分が妙に似ている、と。

 そして、思いついてしまった。この家庭教師を自分の身代わりにしよう、と。


 夫人は扮装のために身につけていた眼鏡を外した。そして、前髪をかき上げる。

「カメリア……」

 伯爵はよく見知った妻が目の前に現れて、呆然と彼女の名を呟く。


「夫人、どうしてこのようなことをなさったのかお教えいただけますか」

「小娘に教えることなどない」

「……父を排除するためよ」

「リズ!」

 エリザベスの一言に夫人が叫ぶ。リズは一瞬、己が呼ばれたのかと思ったが、夫人の目線の先はエリザベスの方だった。


「父が愛人を囲っていると知った母は、父を没落させようとお思いになったの。愛人を家に迎え入れた父はきっと調子に乗って、私財のみならず伯爵家の金に手を付けるだろうと……そして、領地経営に難ありの烙印を押させ、父から爵位を取り上げる。私が爵位を継ぎ、母の実家がその後援に回る。そういう計画だった」

 エリザベスが頬を濡らしたまま、告白をする。


「サリー先生が亡くなったとき、母は彼女の死を無駄にしないためにも、やり遂げようと言った。私はわけもわからず頷いた。それが、彼女の死をなかったものにすることだとは、思いもせずに……私達のせいで、彼女は先祖由来の墓にも入れず……」

「黙りなさい! リズ!」

「リズって呼ばないで!」

 母の叱責にエリザベスが叫び返す。


「私は、本当は彼女の死をきちんとお弔いしたかった。だって、本当にお世話になったのだから」




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