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第五話 主人公、本当の実力に目覚める

「ノア様は私の隣にご搭乗なって」


「はいはい」


 イリスが外回りに出るとの事なので早速イリスの護衛を任されたのだが、


「イリスの周りに護衛用の馬車が四台も囲っていて、俺がイリスの隣にいる意味ある?」


「そういう細かいことは気にしなくてもよろしくてよ」


「さいですか」


 疑問を胸に「まぁ、王様の娘さんを襲うバカは居ないだろう」と思いっきり気を抜いている。


 ちなみにセシルはノアと向かい合わせになって座っている。


 そのためか、ノアの隣に座っているイリスに向かって嫉妬の目を向けていた。


 ノアはセシルに向かって苦笑いを向けて何とか受け流す。


 そしてゆっくりと馬車は動き出した。



 山道をゆっくりと下っている最中、ノアはこんな事を言い始める。


「そういえばイリスはこれからどこに行くの?」


「はい、西方にあるアリス・ベルネルの所へ商談に行きますわ」


「アリス・ベルネルってベルネル商会の会長さんだっけ?」


「はい、その通りですわ。ノア様は博識でもあられるんですね!」


「ベルネル商会ぐらい知らない方がおかしいと思うけど!?」


 ベルネル商会はカルタニアが誇る大商会で大体の商店がここの傘下であることが多い。


 ちなみにアリス・ベルネルはクルスの妹である。


「どんな商談なんだ? イリス」


「主に鉄製品、武器でしょうか」


 するとその会話を聞いていたセシルは呆れた顔で、


「ノア、王家の内情をあまり聞くもんじゃないですよ」


「あ、それはあるかも。イリス、言いたくなかったら嫌って言えよ」


「別にそんな事は。ノア様には私の全てを知ってもらいたいので構いませんわ」


「全部ってすごいな」


「わ、私もノアに私の全て知ってもらいですよ!」


「あら、そうだったのかしら? でも残念ですわよ。だってノア様は私の物なので」


「そ、そんなことありません!」


 二人が「むぅー」と言いながら睨み合う。これは男として喜ぶべきなのか、中立の立場として抑えるべきか考える。


 考えた結果、面白そうなので放って置くことにした。するとイリスとセシルが声を合わせて、


「ノア様はどっちが良いんですの!」

「ノアはどっちが好きなんですか!」


「あぁ、えっと」


 少し前に止めておくべきだったと後悔する。これは完全に修羅場というやつだ。


 瞬間それを止めるように。



 キュイーンガッシャーン!!


 甲高く風を切る音と共に爆発音がした。慌てて音のした方へ目をやると、先頭を走っていた馬車が吹き飛んでいる。すると突然。


 カンカンカンカン!!


「敵襲! 敵勢! 敵兵――ッ!!」


「近衛騎士と傭兵は今すぐに配置につけェッ! イリス様の護衛を最優先だッ!」


 辺りに敵襲を伝える鐘の音と怒号が鳴り響く。


 俺は王家のお嬢様に攻撃を仕掛けるバカはいないと思っていた。

 が実際は違う。いたのだ、そういうバカが。


「ほんじゃまっ、行ってくるわ。行くぞセシル!」


「はい!」


「ノア様、セシル様。お気をつけて」


 イリスに軽く手敬礼してからセシルを連れてノアは馬車から飛び降りる。

 するとすでに騎士と奇襲者で睨み合いが始まっていた。


「来たか」


「相手の人数は、戦力は」


「人数はアイツ一人だけだ。戦力では負ける事はないだろう」


 と言いながら騎士の男はふわりと立つ青髪の青年を指さした。


「そうですか」


 手短に情報を聞きノアも敵の動きに注視する。すると王城にいた執事が前に立ち。


「何者かは知らぬが、イリス様に奇襲をかけた以上、極刑は免れんぞ!」


「なるほどなるほどね。君たちは僕の事を知らないわけか。でも僕は知っているよ、なんせ僕たちは君たちの事を管理しているからね。残念だね、こんな知らない人に管理されて。僕は君達のことを哀れむよ、僕の寛大な心でね」


「なんて妄言を。貴様! 我が近衛騎士が分からぬか!」


「貴様じゃないよ。僕の名前はオーウェン・トリアスさ。ちゃんとした名前があるんだ、しっかりと呼んで欲しいものだね。まったく。それとも僕が見えるその口はもしかしてお飾りなのかな。お飾りじゃないよね、生物だもの人間だもの。もしそれが飾りのもだったら君は人間じゃない、他の何かだよ」


 オーウェン・トリアス。その名前には聞き覚えがあった。ギルドでアデリンの次ぐらいに強い実力者だ。


 別名、ギルドのジョーカー(切り札)


 今ここでこいつが来るということは。


「ペラペラと無駄口を! 貴様の名前など関係ない。貴様の身はここで散っていくのみ!」


 そう言ってから執事は一気に距離を詰め、切りかかる。青年は無抵抗に見えたが。


「盲目的に僕にかかってきたのは褒めてあげる。でもさ、それだけなんだよ」


 瞬間オーウェンの刀が抜き放たれる。執事のもつ剣に当たると剣は吹き飛び、その勢いのままオーウェンは蹴りを入れる。


「ぐはッ」


「そうなんだよね。君のすごいところは僕に立ち向かってきた事だけなんだよ。それ以上は残念ながら無いんだよね。はぁー自分の技量と相談して戦いを仕掛けてね。まっ、生きていたらの話だけど」


「ここで貴様を」


「なに? 切ってやるとでも? ないないそんなことは。君の才能では僕に何年かかっても勝てないさ。君はそこで寝っ転がっていればいいんだよ。おバカさん」


 オーウェンは執事の体を蹴っ飛ばしてから「ふっ」と鼻で笑い手を大きく広げて。


「さぁ、次に僕と勝負するのは誰かな? いないならイリスは殺すまでなんだけど。ああ、なるほど僕が強すぎて誰も勝負を仕掛けられないのかな? うんうんしょうがないしょうがない。だって僕が強いのは当然だからね」


 オーウェンはイリスが乗っている馬車に向かって指を指してケタケタと笑いながら騎士に問う。


 騎士たちは苦い顔をしてオーウェンを睨んでいる。虚勢というやつだろう。


 しかしこの状況を鼻で笑って過ごせる男がいた。


「じゃあ、俺と戦ってみるか。オーウェン」


 ノアは護衛隊の一番前に立ち、堂々と宣戦布告した。


「おーやおや、君はノアくんじゃないか。ギルドから追放されたと思ったらこんな事いるとは、すごいね君。でもさ、君さ剣術も使えないは魔法は転移しか使えないとかで戦闘能力で皆無はだったんじゃなかったけ?」


「噂通りの長話を。まっ、そんな事言えるのは今だけだがな」


「そうかいそうかい。ここ少しの時間でずいぶんと自己評価が爆増しているようで。とてもイリスとか言う女に良くされた事が伝わってくるよ。おめでとさん」


「そりゃどうも」


 呟くように言い放った瞬間ノアは右手にナイフを転移させオーウェンに攻撃を仕掛ける。


「無策に突撃とは君も大バカになったんだね」


 オーウェンがそんな言葉を無視してお腹に向かって突き刺しに行く。


 ビュンと背中に向かって刀が振られるがそのタイミングを見て魔法の用意をする。


 オーウェンの刀がノアを切り裂く次の瞬間。オーウェンの刀が突然消えノアのナイフがオーウェンのお腹に突き刺さる。


「ぐッ! なんで」


「転移魔法でお前の刀を転移させ攻撃を無効化したのさ」


「そんなバカな――――――――――ッ!!!!」


 オーウェンの叫びが空高く上がって行った。

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