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第二話 王族のお嬢様は突然に

「お邪魔します」


「ただいま、だろ。お前も今日からこの家の住人になるんだから」


 セシルはノアの言葉を聞くと顔が明るくなって行く。その反応にノアは眉間にシワを寄せるが「まっいいか」と受け流す事にする。


「とりあえずそこら辺に座ってよ」


「はい」


 と言うとセシルは三人用のソファーに腰をかけた。


 そしてノアはセシルと向かい合わせになるように座り「家に着いて早々に悪いんだけど」と前置きしてから喋り出す。


「俺の人生プロットの最初の目標だ」


「最初の目標とは」


「それはだな。俗に言うなんでも屋をやってみたい」


「なんでも屋、ですか?」


 セシルは困惑した様子で問い返す。それを知りつつノアは作戦を口にする。


「俺は以前、ギルドで働いてたんだ。その経験を生かせればと思ったんだ」


「ギルドで仕事をしていたんですか! 超エリートじゃないですか!」


「まぁな、だからこそのなんでも屋だ」


「なるほど、いい案です! 是非私にも手伝わせてください!」


 ノアが言うとセシルは目を輝かせながら聞いていた。


 するとセシルが「ノアはかっこいい。覚えた」と呟いている。それに気づいたノアは少し照れる。


「いや、セシルには開業してから頑張ってもらう。俺はとりあえずギルドに行って営業許可書を貰ってくる」


「分かりました。頑張ってください! 応援しています!」


 セシルの応援という言葉にノアは苦笑いしながら「応援なんて大げさな」とそっと返す。



 そしてノアは次の日ギルドに向かうのだった。



 ギルドに行く時はもちろん変装してだ。変にバレて騒ぎになっても仕方が無い。まぁ申請書の名前で分かるんだが。



 ギルドに入ると空いていたのでそのまま受付に行けた。

 無言で書いた申請書を手渡しすると受付の人が目を見開き「少々お待ち下さい」と一礼してから中の方へと小走りで行った。


 もうバレたの? 早くね? と考えていると奥の方から一人の女性がやってくる。


 茶色の長い髪が特徴的な彼女の名前はクルス・ベルネル。


 営業でも管理職としても高い能力を発揮し、人間性も良いとされ事務を含め総務でも高い評価を受けていた。


 しかしその反面クルスにはドイル家と不審な関係があるのではという噂話が広まっていた時期もあった。今後の重要人物である。


 ちなみにギルドは国の事業ではなくただの営利企業である事を忘れてはいけない。やっている事が完全に行政のする事なのだが。


 この国の名前はカルタニア王国である。


「お待たせしました。ノア・レインズさんですね。私はクルス・ベルネルと申します。どうぞよしなに」


「ああ、ご丁寧にどうも」


「ここで立ち話なんですので、どうぞVIPルームの方へ」


「――ッ」


 VIPルーム、ギルド内で不審人物を誘導して監視するための隠語である。つまりはこのギルド内でノアは不審者扱いされている訳だ。


「いえいえ、俺はここで大丈夫です。これを渡しに来ただけですので」


「営業許可の申請ですか」


 いやなんで知らないんだよ、と心の中で突っ込んでいると、クルスは真剣な表情で考え始める。


 申請書の一つでこんなに悩むのかとノアはクルスに睨む。


「レインズさん、これ本当に今日出さなくちゃダメですか?」


「まぁ、早い方が良いですよ」


「そうですよね、トホホ」


「ていうかなんでそんな事言うんですか? いつもは言わないのに」


「はい、それが昨日ギルドの総務課の優秀な人が一人辞めたらしくてね」


「は、はぁ」


「それで事務の仕事がパニックに陥っているらしくて、そんなに大きい問題でもないんですけどね。逆に『そんな事も出来ないのか!』ってギルマスから事務と総務は怒られているらしいですよ」


「そんな事があったんですね」


「なんで今のギルド職員に書類物を見ると気がおかしくなるらしいです。ちなみに私もおかしくなります」


「そんなにですか」


 おそらく辞めた人というのはノアのことだろう。ちなみにノアは総務の中でも仕事がとにかく早い事で有名だった。ノアの一日に出来る仕事量は純粋に三人分ぐらいだろうか。


 つまりギルドの損失としては同時に三人が辞めたのと同等の損失になる。そりゃパニックになる訳だ。アデリンの完全な自業自得である。


「とにかく、分かりました。受付完了です」


「そりゃどうも」


 ボソッと返してからギルドを出た。



「はぁー、人をVIPルームに行かせようとしておいて帰らせる時は呆気ないとかどうなんだよ。腑に落ちねぇ」


 と文句を言いながら帰路に着く。すると、


「きゃーーーー! ひったくりーー!」


 その一言で大通りの視線は叫んだ女性に目が行き、ざわつき始めた。ノアも目をやる。


 男三人が女物のカバンを持って逃げるように走っていく。ノアは「これは宣伝のため」とか言いながら、転移魔法の術式を体の中で編み込み発動する。



 そして男達の前に転移すると三人は目を見開き、驚くがすぐに冷静を取り戻し、高圧的な態度を取り始める。


「おにーさん達、何やっているの?」


「チッ、おいガギ! 早くそこをどけや」


「それって女物ですよね、もしかして盗んだものじゃありませんか?」


 そう言いながらノアはニタニタと笑う。


「すぐにどかなかった事を後悔させてやる! ファイヤーボール!」


 男のその詠唱にノアは勝利確信する。


「ふっ」と鼻で笑うと、家に置いていたナイフを転移させ飛んできたファイヤーボールを切りさき、そのままかき消す。


「な――ッ!」


「おいおい、最低級魔法で俺を倒せるとでも? 冗談が過ぎるよ。君」


「て、転移魔法って奴か。チッ、分がわりぃ。おい、ずらかるぞ!」


「逃がすと思って?」


 と言ってから軽く首元に手刀を打ち込み、一瞬で気絶させた。その結果にノアは、


「あちゃー、やりすぎちゃったかもしれない。まっ、手加減苦手だからしょうが無いよね」


 反省の色は全くないノアである。



「これ君の物でしょ。次からは気をつけろよ」


「助けていただきありがたく存じます」


「そりゃ、どうも」


 存じますって変な子助けちゃったかな? と邪推を立てる。


見た目は完全に若い。幼女と見られてもおかしくないほどの身長に童顔である。


「お初にお目にかかります。私はイリス・カルタニアと申します。以後お見知り置きを」


「イリス・カルタニア? どっかで聞いたことあるような無いような?」


「はい、カルタニア家は代々王国を運営しています」


「王国を運営、って王族かよ! てか国の運用って運営であってるの!?」


「なので王家を代表して貴方様にお礼をしたいと考えております」


「王家からのお礼ってなに、、」


 ノアは王都のお礼という言葉に全身を震わせながら心を弾ませるのだった。

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