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騎士団長の戸惑い①

騎士団長視点です。

 私はいつも通り、騎士の演習中に騎士館の見回りをしていた。新兵のハリー・ナイトが体調を崩したためにその様子も見にいく予定もあった。そこで、珍しい御方と出会った。


ルカ第二王子殿下だ。


 出会ってしまった以上声をかけない訳にはいかない。ただ、ルカ第二王子殿下は王族の中でも一番身分を気にされる。農村出身の私の言葉を公の場以外では不快に思うかもしれない。しかし、予測に反してルカ第二王子殿下は挨拶を下さった。なぜかルカ第二王子殿下の顔は少し赤みを帯びている。疑問に思ったが囗には出さなかった。それより、騎士館へ足をのばされた理由が知りたい。


 自分より身長の低いルカ第二王子殿下を見下ろさないように膝をついて丁寧に言葉を選んだ。

 姿勢が低くなった為にルカ第二王子殿下と視線があう。すると更に赤くなるルカ第二王子殿下。体調でも悪いのかと心配になる。今まで何度か公の場でお話させて頂いたがこんなにも赤くなるルカ第二王子殿下をみたのは初めてである。

 戸惑っているとルカ第二王子殿下はハリー・ナイトを探しているという。ハリー・ナイトは孤児である上に貧困地域出身である。今年から入団した為マナーも知らない。

 ルカ第二王子殿下相手に何か失礼があったのかと焦る。

 

 ルカ第二王子殿下がハリー・ナイトを探しに自ら騎士館へ足を運んだのである。ハリー・ナイトに合わせない訳にはいかない。ハリー・ナイトの伝え彼の部屋にご案内する事にした。


 部屋へご案内する間ルカ第二王子殿下は一切言葉を口にはしなかったが、視線を感じる。何か言いたい事があるのだろうか。

 聞いて差し上げた方いいのかそのままでいいのか悩む。


 先ほどの場所から五分と離れていない場所にハリー・ナイトの部屋がある。到着するとハリー・ナイト自身を確認する為入室した。


 騎士団長である私は全ての部屋の鍵を持っているためハリー・ナイトの部屋へは問題なくはいれた。本来なら騎士の部屋に無断で入る事はないが今回はルカ第二王子殿下の頼みであるため例外だ。

 入団したばかりのハリー・ナイトの部屋は何もない。そして寝ているはずの本人もいなかった。


 どこへいったのだ。


 騎士団の外出は外出届が必要であるがハリー・ナイトは届けを出していないから騎士館内いるだろう。


 それに対してルカ第二王子殿下はどう反応するだろうか。もし、これで何言われたら……。

ハリー・ナイトの不在と外出届が出ていない事を伏せるわけには行かず部屋を出てすぐに状況をルカ第二王子殿下にお伝えした。すると意外にもあっさりしており、城内を探せとおっしゃる。何やらルカ第二王子殿下のご様子がおかしい、焦られているようだ。


 本当にハリー・ナイトは何をしたのだ。


 王族が騎士館に新兵を探しにくるなど前代未聞だ。私は不安になりハリー・ナイトを探している理由をお聞きしようとしたところで、副団長のウィリアム・クラークが現れた。


 おそらく、私の見回りの帰りが遅いため探しにきたのだろう。彼もルカ第二王子殿下を見て驚愕しているようだ。それもそうだ、本来は王族が騎士館に出向く際は事前に連絡がある。

彼はすぐの笑顔を作るとルカ第二王子殿下に丁寧挨拶をしている。

ウィリアムの質問に対してルカ第二王子殿下は何も仰らない。時間だけが過ぎていく。

 自ら理由を話すつもりはないのだと思い私が代わりに返事をした。本日のルカ第二王子殿下が全くつかめない。私はどうしていいか分からなくなってきた。


 ルカ第二王子殿下のいつもと違う様子にウィリアムも気づいたようで再度声をかけた。彼はハリー・ナイト捜索の手伝いさせて欲しいと頼んだ。それを聞くと謝罪の言葉を口にして去ってしまわれた。慌てて声をかけたが立ち止まることはなかった。


 王族が騎士の謝罪をした。


 それには私もウィリアムも我が目を疑い、その場から動けなかった。ルカ第二王子殿下の姿が見えなくなるとウィリアムは口を開いた。


「今の御方はルカ第二王子殿下ですよね?」


 ウィリアムのその言葉に頷く。しかし、私も同じ事を思った。

元々ルカ第二王子殿下は自室からあまり出ないため拝見する事は少ないのだが、ルカ第二王子殿下らしくない事はわかる。


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