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騎士団長の戸惑い②

騎士団長視点

 私は副団長であるウィリアムの方を見た。彼はルカ第二王子殿下が行った先をじっと見つめている。


「ウィリアム?」


 あまりに動かない彼が心配になり、声をかけた。するとすぐに私の方を向き、なんとも言えない顔していた。気持ちはわかる。


「申し訳ありません。少し混乱いたしました。」


「ああ、わかるさ。ルカ第二王子殿下に何があったのだろうか。あのご様子は……」


 ウィリアムの言葉に頷く。何かがおきているがそれがなんであるか見当がつかない。ルカ第二王子殿下の様子がおかしい。ルカ第二王子殿下は色々ある御方だから、これを上に報告すべきなのかも迷うところだ。


「落ち着く時間が必要だ」


「そうですね。それに何故ハリーをお探しなのかも確認する必要がありますね。新兵が王族と関わるとは思えませんがもしあのルカ第二王子殿下に不敬をしていたら」


「それこそ落ち着け。それは噂だ。実際はそうなった者を私は知らない」


 青ざめるウィリアムに対して私はできるだけ落ち着いた口調で話す。ルカ第二王子殿下の噂は誰もが一度は耳にした事ある。彼は平民嫌いのため必要最低限の会話しかしない。だから平民が不敬をすれば酷い目にあうという話だ。


 兄君であるルイ第一王子殿下は誰にでも優しく接しくださる。何故ここまで差が生まれてしまったのであろうか。ルイ第一王子殿下とルカ第二王子殿下は同じ第一王妃のご子息である。やはり、ルカ第二王子殿下のみ特殊な育児を行われたというのは本当なのかもしれない。


「トーマス騎士団長。ルカ第二王子殿下は騎士館の内部を理解していらっしゃるでしょうか。ここも複雑に作られていますし」


 ウィリアムは心配そうに話す。

 確かに騎士館も含め城全体が守りを強くするため複雑な作りになっている。騎士なって一番の課題は騎士館内部の把握であり、新兵が苦戦する最初の課題だ。


「王族はみな城の内部のことは学んでおられるはず。ルカ第二王子殿下が騎士館で迷っていると考えるのは失礼だ」


 私の言葉にウィリアムは頷いた。王族は例外なく騎士館を含む城の内部のことを幼い頃に教わる。ルカ第二王子殿下が家庭教師から逃げているという噂は聞くが城内の地図を覚えないなんて事は有り得ない。バカな心配だと思う。

 ただ、私たち騎士団長と副団長は王子殿下にお会いしている。これでルカ第二王子殿下に何かあれば大変なことになる。


「何かあれば騎士団全体の責となる。手分けして王子殿下をお探ししよう。」


 ウィリアムは頷くとすぐに歩きだした。私もルカ第二王子殿下を探すため足を動かす。ルカ第二王子殿下が我々と別れてからたいして時間もたっていない。恐らく騎士館内にはおられるはずだ。


 何事もない事を願う。


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