優しいルイ②
アイラは人質の意味もある婚約者であるため、部屋は王族が住むところが少し離れた場所あった。そして、アイラはその部屋が1人で出ることを許されていない。
ルイはアイラの部屋へは行きなれていたため、部屋の衛兵はルイの顔を見るとすぐにアイラを呼んでくれる。いくら未来の妹であっても自室に入るわけにいかないため、大抵は隣の応接室で話をする。
「アイラには兄君がいるだね。仲が良くてうらやましいよ」
アイラの兄は次期国王である。僕は会ったことはないがソーワ国に出向いたルカはあるのだろう。アイラと兄の仲睦まじい様子を聞くとあやかりたいと思う。
「ルカ第二王子殿下とはあまりお話されないのでしょうか」
アイラが気を遣うように聞いてくる。ルカとの関係をどう言葉にしていいか迷った。
「ルイ第二王子殿下はお優しい方ですのでいつかはルカ第二王子殿下も分かって下さいます」
優しい言葉が胸に染みた。
今まで、こんな風に僕を受け入れてくれる者はいなかった。
「そうかな。父にもルカにも怒られてばかりだ」
今日のことを思い出して落ち込む。
父からの指導は以前からあったが第二王妃の事件後からルカが人が変わったように厳しいこと言葉を投げかける。
「皆様ルイ第一王子殿下を思ってのことだと思います。殿下は素敵な方ですので自信を持ってください。私を気遣って下さる殿下を…」
最後まで言わずに言葉を止めて下を向く。言いたいことはなんとなく察することができただからこそそれ以上聞くことができなかった。
彼女の立場上けして言ってはいけない言葉である。僕もそれに答えることはできない。
忘れよう。
アイラはルカの婚約者でなければいけない。
少し前、父は第二王妃の不倫に憤激して彼女の血筋であるソーワ王国を侵略しようとした。
それを防ぐためにルカがアイラを婚約者にしたいと説得したのである。
ルカ自身ソーワに出向いた。
アイラの話ではソーワ王国の侵略か自分の婚約者として我が国に来るかをソーワ国王と第一王女であるアイラに選択させたという。
アイラは絶対に逃がさないためにだろう。
我が国は多くの国を侵略しているためソーワの侵略を止める必要はないと思っていたが、アイラに会ってからルイは意見を変えた。
ソーワ特有の黒い髪に漆黒の瞳のアイラは美しかった。彼女を手に入れるため侵略を止めたのだと思ったがルカはアイラにあまり会っていないようである。
「ごめんね。本当はもっと自由にしてもらいたいだけどね」
「いいえ、ルイ第一王子殿下が会いにきてくださいるのでとても嬉しく思っております」
ほほ笑む彼女はとても愛らしい。
「いつでも来るよ」
優しい微笑むと、アイラ顔赤くする。長く伸びた黒い髪が揺れ、漆黒の瞳がルイを見つめる。我が国の人間にない魅力にルイは心臓の音が早くなる。
アイラと何度も会ううちに彼女に惹かれていく自分がいることに気づいたが弟の婚約者に手を出すわけにはいかないと隠していた。
ある日、父に呼ばれルカとともに国務室に向かった。
そこで知らされたのはソーワ国王の病気であった。我が国も医者を派遣したが手遅れでありもって数ヵ月ということである。
「アイラを帰国させてあげられませんか」
アイラを父に合わせてあげたかった。父の最後に会えないなどそんな悲しいことはない。しかし、国王は理由も言わずに冷たく否定した。
国務室を後にした後アイラのソーワ帰国の相談をするとルカは軽蔑するような冷たい目でルイを見た。
「何を言っているですか。それと、国王からもあった通りソーワ国王の危篤をアイラもは勿論のこと他の者にも伝えないでください」
ルカの人形のよう美しいかった顔が歪み、冷たい青い目を細め、ため息をつく。
「それは余りにも鬼畜ではないか」
「ソーワ国王の危篤を知らせたら、帰国を願う気持ちが強くなり辛い思いをします」
「だから帰国を…」
「ありえません」
ルイの言葉をはっきりと打ち消した。
ルカとの話は平行線であり僕の意見は聞き入れられることはない。
それが本当に残念で仕方ない。
彼は自分と同じ金の髪に青い瞳であり非常に美しい顔を持つがいつも険しい顔をしているのでハッキリって怖い。
アイラなんて怯えてる。
あれで自分の意見に賛同してくれれば最高の相棒になれるのにといつも思う。
自室のベットの転がり、天井を見ながら今日あった出来事を思い返す。
「アイラの帰国だけは叶えたいなぁ。あ、そうだ」
正式な帰国がかなわないならば自分が手助けするればいいと気づいた。
それにはアイラに力をつけてもらう必要があった護身術でも構わないができれば騎士の指導がいい。
その足でトーマス騎士団長のところへ向かう。王女でも身を守ることが必要である説明したがトーマス騎士団長はいい顔をしなかった。横に控えていたウィリアム副団長も眉を寄せている。しつこい頼むとウィリアム副団長は苦笑した。
本当はソーワ国王の危篤とアイラの帰国を話したかったがそれはできなかった。
「では、ルイ第一王子殿下がご指導すれば宜しいかと存じます。ルイ第一王子殿下は隊長クラスに勝てる時があるではないですか」
「ウィリアム……はぁ」
ウィリアム副団長の言葉にため息をついてトーマス騎士団長はルイの顔見た。
「わざわざ、騎士館までおいで頂いたのです。私で宜しければいつでも受け致します」
トーマス騎士団長の配慮がとても嬉しく、礼を伝えるとその必要はないと言われた。ただ、これをアイラ自身が承諾してくれるか不安で会ったが快く受けてくれた。
「私は、自分の身は自分で守るべきたと思います」
嬉しそうに笑うアイラがとても可愛い。なぜ、こんなに可愛いアイラにルカが関わらないのか不思議であった。
アイラの剣術センスは驚かされた。
トーマス騎士団長も目を大きくして誉めていた。数週間で新兵では相手にならない程アイラは実力をつけたのだ。
これでアイラは帰国しても大丈夫だと安心した。しかしアイラ自身は帰国を渋っていた。だから“ソーワ国王の危篤”と伝えた。
アイラの顔色を変えた。
アイラの帰国で父は自分を罰する可能性あったが、それでもアイラを父に合わせてあげたかった。




