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ウサギ耳がはえた

多少グロテスクな表現を含みます。


 図書室でアーサーに私の魔法陣見られてから、何となく教えてくれるようになった。教えてくれるといっても積極的に指導してくれるわけではない。自己練習を行っていてわからない所を聞きに行く。

 

 魔法陣の発動方法の書物はそれなりになるのだが呼び出す方法の書物は殆どない。それは既存の魔法陣を覚えて発動すればいいだけなので大した問題はないが、作り出す方法の書物は一切ないため完全な手探りである。

 アーサーも創作魔法陣は分からないようであり答えがあいまいな事が多い。漫画でのアーサーは何でもできるチートの印象であったが現実はこんなものかとがっかりする。

分からないことを残念に思うと素直に本人に伝えたら苦笑された。



 ルイと話したあの日の翌日から一日の殆どを図書室ですごした。その生活が半年すぎ、既存の魔法陣を全て覚えた。だから、創作魔法陣に取りかかった。

 あまりに魔法陣に集中しすぎて夕食へ行くのを忘れた日があった。夕食終了した頃に血相をかえてルイが図書室に現れた。


「ルカ」


 声をかかられた時、丁度魔法陣の発動するところであった。そのため、魔法陣がルイに向かって発動してしまった。


 ルイにウサギの耳がついた。


 「可愛い」


 ルイの可愛らしい顔にウサギの耳がよく似合った。当のルイはその場で固まっている。ルイに近づきウサギ耳の触れるとそれは暖かく本物のウサギの耳であった。私が触れるとピクピク動いて面白い。

 「イタッ」

 あまりに引っ張りすぎたようで、ルイが耳を抑える。

 「あーごめんね。」

 「これはなんなの?」

  眉間にシワを寄せて、私に詰め寄りウサギの耳を指さして問う。

 「ウサギの耳」

 

 「そーじゃない!!」


 ルイの大きな声が耳の響き、思わず耳を抑える。


 「僕が聞いているのはそうじゃないだよ。なんでウサギの耳が僕についてる?今使ったのは魔法陣?でも石板ないよね?だいたいこれ既存の魔法陣じゃないよね?そもそも夕食になんで来なかった?半年前のあの日からすべて出席しているよね?聞いてる?ルカ」


 多くの質問を一気にしてゼイゼイとルイが息を切らして顔を真っ赤にしている。

 「そんなにたくさん聞かれても答えられないよ。」


 なるべくルイが落ち着けるように話すが、頭に血が上り私の言葉が耳にはいらないようである。


 「だいたいルカはさ、あの日から僕に心開いてくれたと思ったのにこの半年間朝の手合わせしか一緒にすごしてくれないではないか。その後はずっと図書室にこもりぱなし。」

 「え?兄さんは手合わせの後は家庭教師の授業があるでしょ。」

 「そうだけど、そもそもハリー・ナイトはどうするのさ。」

 「それは私も考えている。」

 私の言葉、全部にひっかかるようで話が1つも進まない。さっきよりも顔が赤くなり目には涙を浮かべてプルプルと震えている。


 なんだか可愛い。


 私は手を伸ばして目の前にいるルイをぎゅっと抱きしめた。すると次第にルイに震えが収まり私の肩に頭をつけた。

 その頭をやさしくなぜる。

 「不安にさせたならごめん。」

 私はルイをずっと避けていたがあの日で全部解決したと思っていた。確かに大人なら割り切れるかもしれないが彼はまだ子どもである。仲直りしたので次の日から以前の通りとは行かない。

 「僕こそ取り乱してごめん。仲良くなれたと思ったのにルカの態度があまりにあっさりしていて…。」


 その言葉で私はとても大切な事を思い出した。

 ポラボニア王国の国民は依存性が高いのだ。そして、身内以外に厳しいという面も持ち合わせていた。だから、この国は他国侵略を繰り返し奴隷を扱うのである。

 そこまで考えて、私に抱きしめられて安心してるルイを見た。

 「兄さん?」

 声をかけると目を真っ赤したルイが顔上げた。抱きしめているから顔がもの凄く近い。幼くても美しい顔のルイ。そのアップに心拍数があがる。


 こころを落ち着かせ、ルイの肩に手をやり少し距離をとる。すると、ウサギ耳を下げて寂しいそうな顔をする。


 可愛い。

 兄であるが、弟みたいだと思う。


 「落ち着いた?兄さんの質問全部ちゃんと答えるよ。」


 私の言葉に納得したように頷いた。まだウサギ耳をたらし真っ赤にしてるルイの手をひき、図書室の入り口から死角にある段差に座った。

 ウサギ耳のルイは本当に可愛くて見とれいると、話を始めてない私の顔を覗き込んだ。

 

 「話は?」

 

 ルイに催促され、ルイに聞かれたことを丁寧に一つ一つ説明した。私が創作魔法陣が使用可能であり、その練習をアーサーに見られて“俺”という言葉を注意されてなおした事を伝えた。

 ルイは頷きながら私の話を最後まで聞いていた。ただ、アーサーが魔法陣チートである話はしなかった。魔法陣の能力はかなりデリケートな部分があるから無闇に伝えるべきではないのだ。


 「夕食は本当にごめん。呼びにきたサラに“後で”と言ったんたけど夢中になっちゃって。」

 

 「理由が分かったからいいけど、次は僕が呼びにくるから。」

 

 絶対に逃がさないという目で私を見る。その目が怖い。

 

 「それで、これ、いつなくなるの?」

 ウサギ耳を指差し私に訴えてくる。

 

 「…」


 私の額から嫌な汗が出てくる。


 解除魔法陣を知らない。

 既存の魔法陣にもない。


 私が何も言わず下を見ると、ルイは不信に思い私の顔を下から覗く。


 「解除方法分からないの?」


 私が何も言わないのを承諾ととったようだ。しかし、彼は私の思いに反して冷静であった。さっきのルイの様子を見ているからもっと慌てるとか暴れるとか泣くとかあるかと思った。


それを正直に伝える。

 「いや、別にウサギ耳くらい。」

 「だって、さっきはあんなに…」

自分が泣き喚いたのを思い出して顔を赤らめ、私の顔覗き込むのをやめ、座り直す。

 「ルカが…」


私?

私との関わりが減ったから?

私の事で自分が知らない事あったから?


 「さみしかったの?」

頷くルイがとても可愛くてやっぱり子どもなのだと思う。第一王子である彼はきっと甘えられる存在がいないのだろう。


 「それより解除方法。いつまでウサギ耳つけてはいたくない。」

ルイは勢いよく顔を上げる。その話題が続くのか嫌だった。


 それもそうよね。でも…。


 「分からないだよね。」


 「それは、分かったよ。まず、魔法陣でウサギを出そうとしたんだよね。魔法陣どこまで書いて発動したの?」

さっきとは打って変わりはっきりと話す。

 「えーと、白くて耳が20センチくらいと耳は頭上に2本左右均等に着いているかな。」

 「“ウサギででこい”みたいなんじゃだめなの?」

 「ウサギだと定義があいまいなのよね。サイズとか色詳細にしないといけないだよ。以前、気持ち悪いの がでてきてさ。」

 「それどうしたの?」


 「え?ナイフで引き裂いて殺した。そしたら消えた。」


 「……」

 

 私の言葉にルイは眉間にシワを寄せて真っ青になる。そのまましてはマズい生き物だから殺したのだが


 私は迷うことなく行動に移したがルイの様子を見ると生き物を殺すのはルイにはひっかかたのかもしれない。


 漫画のルイはお優しい第一王子殿下だ。


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