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黒髪のホワイト兄弟③

直接表現はありませんがBL表現があります。


 夕食が終わり自室に戻ると部屋の前に弟が立っていた。


 庭でわかれてから夕食も含め弟とは口を聞いていない。なんとなく気まずかった。弟は口数が少ないから一回も会話しない日なんてよくある事だが、今回は私が意識して話をしなかった。

 

 「入れて」


 表情を動かさなずに私の部屋を指差し要求だけ突きつけてくる。王子様と一緒の時とは大違いだ。


 私が頷くと部屋を開け、入っていった。私が入室するとすでに椅子に座っている。ため息をつきながら私もテーブルを挟み弟の目の前に座る。

 

 「そのため息の意味は?」

 

 「え?あーさっきの事話したいのかなって思ったら気が重くなったのよ。」


 私ははっきり言ってあの国の王族に良い印象は持っていないし、さっきあった王子様に対しても良い感情は抱く事ができなかった。


 「良い奴だよ。」

 「そう」


 別に良くても悪くても構わないし、弟の交友関係に口を出す気ない。契約をしているから聞いた話は墓場まで持って行く予定だ。


 アーサーが弟を好きだと愛しているだと言っていた事が気にならなくはなかったが相手は王族。そもそも隣国と我が国は同盟国であるが友好的ではない。


 子どもの戯れ言のね。



 「………」



 弟が私の台詞から十数分以上何も話さない。


 ただ、じっと表情を動かさず私を見ている。本物はこれ以上王子様の話はしたくないのだが可愛い弟のためだから仕方なく口を開く。


 「私はこれ以上彼と関わる気はないわよ。だけど、貴方が関わる分には何も言わないし、契約も守るわ。」


 私の言葉に頷くとまた沈黙だ。思わずため息がでる。弟と会話をするのは本当に難しい。


 言いたい事があるのだろうが、全て目で訴えようとするのだ。その証拠に椅子に座ってから一度も視線を外さない。

 あの男が弟と半年程度関わっただけで、弟の表情や言葉を引き出していた点は凄いと思う。


 「あ、もしかしてオリバー、あの王子様に魔法陣で何かされたの?」


 「え?」


 目を大きくした。今度は表情を動かすほど驚いたらしい。

この弟と仲良くなれるなんて魔法陣で何かしたのかも知れないわ。


 「姉さんと同じ契約だけだよ。」


 「そんなの分からないじゃない。秘密保持契約といってオリバーの心を虜にするような契約したのかも知れないわ。」



 その瞬間弟の顔が真っ赤なり、バタン音を立ててテーブルに顔をつける。頭から煙が煙が出ているようだ。


 やはり、何か魔法をかけられたのかしら。魔法陣は構造がいまいち分からないのよね。だから嫌だわ。

 

 「虜なったのは魔法陣じゃなくて顔のせいだよ。」

 

 「あ~」


 魔法陣で何かされた可能性よりも納得してしまった。


 隣国では分からないが我が国であんなに整った顔は見た事がない。人間見た目はなく中身だとは思うし、父や母からと言われるが規格外ってのは存在する。


 王族である上にあの顔で魔法陣も扱えるとなれば苦労知らずの人生なんだと思い、また腹が立ってきた。だから、暗殺事件も平然と他国の人間に話せるのだ。


 やっぱり、王子様は嫌いだ。


 「王子様とオリバーがお互い思いあっても他国の人間よ。だいたいあっちは王族よ。」


 「王族…なるほど。」


 何か気づきたように真剣な顔をして頷いている。王族だから一緒にいることができないと諦めたのではなく王族であるから方法があると考えたようである。


 あまりいい予感がしないわ。


 聞きたくないので話を変えることにした。

 

 「だいたい好みなのか顔だけなんでしょ。」


 「え…いや、最初は確かにそうだが…その…」


 そんなわけないわね。


 顔だけの相手に弟が一緒にいたいと思うわけがない。他に彼にとって魅力的な何があるのだろう。それは身分が高いからとか魔法陣の使えるからではないのだろう。


 利益目的での付き合いならば弟の真っ赤な顔を見ることはできない。


 「私には王子様の魅力はわからないわ。」

 「私が知っていればいい。」


 ご馳走様です。


 「で、私の何か言いたいことがあるの?惚気にきたの?」

 

 雰囲気が柔らかくなったところで本題を聞く。本当に手間のかかる弟である。


 「いや、大丈夫。姉さんが姉さんでよかった。」


 さっきと辛気臭い雰囲気は消えつきものが落ちたような顔をしてる。どうせ、王子様と会うことを反対するとか自分を避けるじゃないかと暗いことを考えていたのだろ。


 「私は王子様が嫌い。それは変わらないわ。でもどんなオリバーも好きよ。貴方が過ちを犯しても嫌うことはないわ。」



 表情を動かさずに頷いていたが、なんだか弟の後ろにお花畑が見た。


 翌年、我が弟は私と同じ6学年に入学してきたのだ。


 彼の1年間の努力を見ていたら。嫉妬する気持ちはなく純粋にうれしかった。


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