私は見た! これがファンタジーだ!
ピッピ・・、ピッピ・・、ピッピッピッ・・・・・・
・・・あさか・・・・
時計を止めるために手を伸ばすが、目的の物が見当たらない。
あれ? ない・・・
何時も枕元に置いて有るのに無いのだ。其れに、この部屋はこんなに暗かっただろうか? しかも、壁に傷がある。縦に幾筋かの青白い線が見えるのだ。
・・・・・・・・・ あっ! 思い出した・・・・・・・
一気に目が覚めた。此処は異世界の「ファンバルーセ」という国だった。
目が覚めると急に布団から出していた腕が寒くなる。
床に置いて置いたソーラーランプに手を伸ばす。フッと灯りが灯るが全体を照らすには弱い。足元のダウンコートを羽織りベッドから出ると、スリッパをつっかけ窓へと寄った。
硝子戸を開け、雨戸を横へスライドさせる。
窓から流れ込む冷たい空気。外はまだ薄暗く、緩やかな丘陵地が大きな穴の様に見える。
「ぅおお~ さむぅ~~~」
背筋がブルッと振るえる。やばいやばい、この侭じゃ風邪をひいちゃう。急いでストーブを点けなくっちゃ。
部屋の隅にある床から60センチ、面積はA3サイズの小型ストーブに夕べの熾火に松や杉の葉、小枝を組んで火を付ける。一旦布団に潜り周辺が暖まった頃を見計らって着替え始めた。
上下のレインウエアーの中にハイネックのコットンシャツ、フリースパーカーを着る。
今日の予定は
「8時に出かけるからその前に、土の酸度を確認して、其れ次第で必要な物をリストに書き足さなと・・・取り敢えずは土が付いても良い物を着てっと」
終わる頃には小枝は炭となり、中でも一番大きな炭を火消し壺に入れ、1階のストーブ前にしゃがむ。
一階のストーブは薪は全て灰と炭なっていたが、消えてからそう時間は経っていない様で、中はまだ温かい。持って降りた炭を中心に、残っていた炭と上下に木屑を置きその上に薪を組んでいく。木屑の中の松や杉の枯れ葉に火が付きパチパチと音が鳴るのを聞きつつ炭がゆっくりと色付くのを見ていた。
薪に炎が移ったのを確認しフロントドアを閉めた。
キッチンで園芸用のゴム手袋と広口のガーデンブーツを履き、裏から出て川沿いから草原に降りて行く。
薄っすらと白んで来た景色は、まるでイギリスの田園風景に似ている。
丘陵地を下れば遠くに櫓が見え、さらにその向こうに色の違う草原が続いている。黄緑・茶、灰色もあり、大きさは違うが四角だったり長方形だったりと整っているから畑だろう。
時折風が走ると、草たちが一斉に踊りだす。
「すごぉ~~い 草のウェーブだ! きれいだなぁー」
此処、好きに使って良いって言ったから、憧れのイングリッシュガーデンを作ろう。
どんな庭にしようかな・・・ この段差には苺でしょ。なら前にラベンダーを植えて。囲むようにハーブを植えよう。よし、1段目はハーブガーデンと菜園にしよう。2段目には色々な草花と、バラを植えて、果木は何処に植えようかな? 段差を作るなら一番下でも良いか? 1・2段目は50cm位で3段目一番下の畑を1m位に下げれば・・・ 交通手段は、階段、スロープ?
「どっちも欲しいね。1段目は川沿いに階段。角が丸い感じで。2段3段は中央に欲しいな。それでスロープは向こう側に上から下までゆるーく作るの縁にはボーダーガーデン・・・ よし! かたまった!! 機械が無いから人力だけど、少しずつ平らにしていけばいいし。植えるとこ無くなれば自然とやるよね。うん、ガン・バ・ば・ば・ろ・ろ・ろ・ろ・・・ きゃぁー 」
やだ、また地震・・・ 今度は何処・・・・
グラッと揺れて、咄嗟に蹲ったけど、移動してない、大丈夫見た・・・・
「なんじゃこりゃ―――!! 変わってる!! 何で!!」
地面が平らに成ってる。スロープがあって階段も有る!
うそ! これ、ファンタジーだよ! 此処は思い描いた様に、願いが叶う世界なの?
「・・・すっーーーー 雑草消えろ!」
「水田欲しい!」
「階段は階段でも石の階段にして!」
ガビョーーン 変化無し・・・
「何よ、糠喜びかよ・・・ シクシク」
ガラーン ガラーン ガラーン
町の方から鐘が響いてきた。腕時計を見れば、6時。
「はぁー、もうこんな時間なんだ、誤差も無いのね。時差ボケしないから良いわね。予定していた肉体労働も半減したし、結果オーライか。酸度測ってご飯食べよう」
何箇所か測ると、やや酸性でした。苦土石灰有ればいいなぁー




