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婚約者に好きな人がいると言われ、スパダリ幼馴染にのりかえることにした  作者: みみぢあん


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2/21

2話 婚約者の告白2


 他に好きな人がいると言う婚約者に、私はイライラと説得をした。


「エミール様。そんなにその女性が好きなら、その人と結婚できるように、ご両親を説得するべきだと思います」

 

「いや、説得はしない。とにかく僕はその女性が好きだから……それで君はどう思う?」

「は⁉ どう思うとは?」

「君も……その……僕の恋を応援してくれるかと思ってね? だって君は僕の婚約者だから」


「……婚約者だから? エミール様、あなたは私が婚約者だから、自分の浮気の応援をしろと。そう言っているの? 本気で私に応援されたいのですか⁉ 相手に気持ちを伝える気が無いと言っていたのに?」 


(考えただけでもゾッとする。なんて汚らわしい人なの⁉)

 私はハンカチを出して口を押えた。そうでもしていないと、吐き気を抑えられそうにない

 

「何を言っているんだ、アンリエッタ! 浮気はしていない。『好きな女性がいる』と言っただけだ。間違えるな!」


「私には同じ意味です」

「だからコレは浮気とは違うよ。実際に相手の女性と付き合う気はないから。君は騒ぎ過ぎだ」


「そうは思いません」

(こんなに頭がオカシイ人だとは思わなかった)


 寡黙で不器用な可愛い人だと、喜んでいた自分が恨めしい。こんなに頭がオカシイ人だと、今までずっと一緒にいて、私はなぜ見抜けなかったのだろうか。


「君だって、そういう相手がいるだろう? 君の幼馴染みのイザーク卿とか!」


「イザークお兄様とは、昔から母親同士が仲が良いから、私たちも同じように仲良しだと……何度もお話ししたでしょう?」

(イザークお兄様は五歳も年上だし、兄妹のような関係だわ)


 幼い頃から知っていて、ずっと身近の存在で。……だから昔から、お互い恋愛対象として見ていない。


「僕だって、出来れば婚約者の君だけを、好きでいられたら良かったけどね。 君にはイザーク卿がいると思うと、僕ばかり不公平だと思うんだ」


「不公平ですって⁉ 私はイザークお兄様を実の兄のような人だと、言っているでしょう? そんな言い訳はやめて」


(それにイザークお兄様は王家の血をひく、バラスター公爵家の後継者で。フェアウェル子爵家うちにくらべて、家の格がはるかに上だから。そんな相手に嫁ぐなんて、私には無理)

 

「兄妹だって……? 僕には君とイザーク卿は、恋人同士に見えるけどね」


「イザークお兄様には、ロスモア伯爵令嬢のレティシア様という、立派な婚約者がいるのを忘れたの?」


 私よりも二歳年上の伯爵令嬢は、同じ学園に在学している。地味で平凡な私とは違い、すごく綺麗な人だから。イザークお兄様にピッタリの女性だ。


「そんなの関係無いさ!」

「関係あるでしょ? だってイザークお兄様は、婚約者が学園を卒業したら結婚する予定だもの」


 小さな子供みたいに、エミール様はフンッ! と鼻を鳴らしそっぽを向く。


「私がイザークお兄様と浮気しているから、自分も浮気をする? エミール様は、そんなに私のことが信じられないの?」 


「君が僕を誤魔化そうとするから、ダメなんだよ!」


 怒りが沸騰し、私の頭の中でブチッ! と、何かが切れた。


「もう、うんざり! 本当に……イザークお兄様が、私の婚約者なら良かったのに!」


「……っ⁉」

 エミール様がハッ… と息をのむ。


「アナタの言う通り、私はイザークお兄様が大好きよ! アナタと違って誠実で優しい人だから!」


 こんな言いかたをすれば、誤解されるとわかっているけど。一番、エミール様を傷つける言葉で、言い返したかった。


「やっぱり君たちは、そうだったのか⁉」

「いいえ、違うわ! でもイザークお兄様なら、私をこんなに傷つけたりしない」


 クルリッと背を向け、エミール様を一度も振り返らず、私はその場を去った。




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