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お湯を紅茶に見せかける没落貴族とポーションで顔を洗う成金令嬢、どっちが真のエリートか決めようじゃないか  作者: 寝不足魔王


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【第五部:マグヌス祭(学園祭)】後編

 学園祭メインステージ。本来予定されていた高名な魔導騎士団の演武が、街道の魔物騒動で到着遅延するという緊急事態が発生した。

「穴を開けるわけにはいかないわ。……そこで、ジェミニ杯の公式ペアであるあなたたちの出番よ」

 イザベラ先生の強引な差配により、アレンとリリアーヌは、数千人の観客が注視する舞台へと押し上げられた。


「……正気か。この成金女と、衆人環視の中で踊れというのか」

「私のセリフですわ! 泥を拭いたばかりの靴で、私のドレスを踏まないでくださる?」


 舞台袖で火花を散らす二人だったが、客席にはあのヴェンツェルたち上位貴族の派閥が陣取り、「不仲の二人がどう自滅するか」を見届けようと、嘲るような笑みを浮かべていた。


(……くっ、あいつら。僕たちの失態を、ヴォルザードの終わりの見世物にするつもりか)

(……安っぽく見積もられたものですわね。ゴールドベルクの価値を、あんな下俗な笑いに変えさせてたまるもんですか!)


 怒りが、契約の回路を通じて一気に沸騰した。

 舞台に上がった二人は、磁石の反極同士のように距離を置こうとしたが、音楽が始まった瞬間、共感覚の鎖が二人の肉体を「一対」として拘束した。


 第35話での地獄のような練習。あの時刻み込まれたステップの記憶が、アレンの脳からリリアーヌの脚へ、リリアーヌの旋回の感覚がアレンの腕へと逆流する。


「……合わせろ。貴様の派手すぎるマナ、僕が『伝統の枠』で絞り込んでやる」

「お黙りなさい! あんたのその冷たいリード、私の炎で焼き尽くして差し上げますわ!」


 不協和音の罵り合い。だが、その動きは残酷なまでに美しかった。

 アレンが杖を振るい、空中に幾何学的な光の輪を精密に配置する。それはヴォルザード家伝の防御術式の応用だ。そこへ、リリアーヌがダンスの旋回に合わせて、黄金のマナを一気に流し込む。


 アレンの放つ「静」の光輪を、リリアーヌの「動」の魔力が加速させ、ステージ上に無数の輝く歯車が回転し始めた。

 一歩踏み込むたびに、アレンはリリアーヌの心臓の昂ぶりを自分のものとして感じ、リリアーヌはアレンの極限の集中力を自分の視界として共有した。


 伝統の重厚な歩法と、最新の爆発的な機動力。

 相反する二つの魔法が、共感覚という細い糸一本で繋がり、かつてない幻想的な「舞踏演武」として完成していく。

 

 ヴェンツェルたちの嘲笑が、驚愕と静寂に変わった。

 ステージを埋め尽くしたのは、二人の「いがみ合い」が生み出した、あまりにも激しく、あまりにも調和した魔力の光。


 フィニッシュとともに、アレンがリリアーヌの腰を引き寄せ、リリアーヌがアレンの肩を掴んで天を仰ぐ。

 一瞬の静寂の後、学園祭最大の、地鳴りのような大喝采が巻き起こった。


「……はぁ、はぁ。……見たか、下俗な輩どもめ。これが、僕たちの……」

「……そうですわ。……でもアレン様、近すぎますわよ! 離しなさいな!」


 喝采の真っ只中、二人は即座に手を離し、親の仇を見るような目で睨み合った。

 だが、その手首で脈動する鎖の紋章は、まだ熱い勝利の余韻を、不本意にも分かち合い続けていた。


 祭りの喧騒が最高潮に達する中、学院の敷地を一歩出た裏通りでは、もう一つの「静かなる紛争」が幕を開けていた。

 夕闇に紛れ、数人の男たちがアレンとリリアーヌの「同調」の秘密を探るべく、物陰から主たちの動向を窺っている。彼らはアルドリックの派閥に雇われた、隠密を本業とする手の者たちだ。


「……ふむ。我が家の坊ちゃまを、これほど下卑た視線で舐め回すのは感心しませんな」


 石造りの壁から染み出すように、セバスが姿を現した。その手には、いつもと変わらぬ銀のトレイではなく、一振りの古びた、しかし曇り一つない短剣が握られている。

 同時に、反対側の屋根裏から、音もなく黒い影が舞い降りた。


「お嬢様の資産価値を毀損しようとするネズミには、相応の駆除が必要ですわ」

 ベルが、最新の魔導糸が仕込まれた黒い手袋を締め直す。


 探りを入れていた男たちは、一瞬にして包囲されたことに気づき、顔を引き攣らせた。

「……貴様ら、ただの執事とメイドでは……」

「左様。ただの執事でございます。……しかし、没落してなおヴォルザードが守り抜いた『裏の作法』、骨の髄まで叩き込んで差し上げましょう」


 セバスが動いた。一歩踏み込む動作に、音も予備動作もない。伝統的な歩法は、アレンのそれよりも遥かに深化しており、瞬時に男の一人の喉元に切っ先を突きつける。

 男が魔法を唱えようとしたが、そのマナの構築よりも速く、ベルの魔導糸がその手首を拘束した。


「魔力供給、遮断。……お嬢様の魔導具の調整に比べれば、人間の神経など単純な回路に過ぎませんわ」


 路地裏で繰り広げられる、音のない蹂躙。

 セバスの「伝統的な暗殺術」と、ベルの「魔導工学に基づいた神経破壊」。主たちが学園内でいがみ合いながら協力しているように、従者たちもまた、言葉を交わさずとも互いの死角を埋め、獲物を一網打尽にしていく。


「さて。誰の命で動いているのか、……吐いていただきますかな。さもなくば、坊ちゃまが最近苦労している『不快感』を、増幅して体験していただくことになりますが」

「それはお嬢様も嫌がりますわ。……ですので、この場で心臓の鼓動を止めて差し上げるのが、一番効率的かと」


 従者たちの冷徹な脅しに、男たちは戦意を喪失し、震えながらその場に平伏した。


 数分後。路地には誰もいなくなり、セバスとベルは何事もなかったかのように身嗜みを整えた。

「……セバス殿。アルドリック様の手の者、予想以上に焦っているようですわね」

「ええ。坊ちゃま方の『同調』が、彼らの予想を超える脅威になりつつある証拠。……祭りの終わり、少しばかり騒がしくなりそうですな」


 主たちが学園内で「不本意な絆」を深めている裏で、従者たちはその平穏を守るため、容赦のない「掃除」を完了させていた。


 マグヌス祭も終盤に差し掛かり、学園内には疲労と熱気が入り混じった独特の空気が漂っていた。

 運営補佐としての激務を終えたアレンは、喧騒を離れた校舎の裏手で、ようやく手に入れた一本の『串焼き』を手にしていた。祭りの出店で最も安価な、一〇〇銅貨の庶民の味だ。


(……ようやく一息つける。この一本のために、半日分のマナを使い果たした甲斐があったというものだ)


 アレンが期待を込めて、肉厚な(といっても半分は野菜だが)串に齧り付いた、その瞬間だった。

 共感覚の回路を通じて、喉の奥を灼くような「冷徹な痺れ」が流れ込んできた。


「っ……!? 氷、か……? 否、これは……」


 自分の口の中には、香ばしいタレの滴る温かい肉がある。だが、脳が認識しているのは、頭の芯が痛くなるほどの「極上の冷たさ」と、濃厚なバニラの甘みだ。

 アレンはふらつきながら、近くの噴水広場へと視線を向けた。そこではリリアーヌが、ベルに用意させた銀の器に盛られた『最高級氷菓子』を、不機嫌そうに口へ運んでいた。


「あら。……急に口の中が、脂ぎった肉の味で満たされましたわ。……不快、不快ですわよ、ヴォルザード様!」

 リリアーヌがこちらを向き、食べかけのスプーンを突きつける。


「それは僕の台詞だ、ゴールドベルク嬢! 貴様のその、一匙で金貨が飛ぶような冷たい贅沢のせいで、僕の貴重な肉の旨みが完全に消し飛んだではないか!」


 アレンは串焼きを握り締め、リリアーヌは氷菓子を睨みつける。

 契約の鎖は、二人の「休息」さえも共有の戦場に変えていた。アレンが肉の脂を噛みしめれば、リリアーヌの舌にギトギトした重みが伝わり、リリアーヌが氷菓子を啜れば、アレンの奥歯がキリキリと冷気に震える。


「……あー、もう! 味が混ざって、何を食べても不快ですわ! ほら、あんたもこれを食べなさいな。口の中を一度リセットしないと、私の優雅なティータイムが台無しですわよ!」


 リリアーヌは乱暴に、半分残った氷菓子の器をアレンへと差し出した。

 アレンは一瞬、屈辱に顔を歪めたが、あまりの口内の「温度差」に耐えかね、無言でそれを受け取った。


「……毒味はしてやる。……ふむ。成金の菓子にしては、……冷たさだけは評価してやろう」

「あら。あんたのその串焼きも、……まあ、飢え死にを防ぐ程度の役割は果たしているようですわね」


 二人は噴水の縁に、数メートル離れて腰を下ろした。

 アレンが氷菓子を食べ、リリアーヌが串焼きの残りを口にする。

 共有される味覚。温かい肉の風味と、冷たい菓子の甘みが、回路を通じて交互に二人を支配する。


「…………」

「…………」


 罵り合いは止まっていた。

 ただ、不本意ながらも同じ「満足感」が、契約の鎖を伝って静かに心を満たしていく。

 一〇〇銅貨の味と、金貨の味。

 二人の境界線は、祭りの夕暮れの中で、ほんの一時だけ溶け合っていた。


「……勘違いするな。これは、……共倒れを防ぐための、効率的な栄養補給だ」

「言われなくても分かっていますわ。……さあ、行きますわよ。聖火の点灯式が始まりますわ」


 二人は器と串を片付け、再び戦場へと戻る。

 束の間の休息は、次なる騒乱への予兆に過ぎなかった。


 マグヌス祭を締めくくる後夜祭。その中心儀式である『聖火の点灯』を前に、学園の広場には数千の生徒と観客が詰めかけ、熱狂は最高潮に達していた。

 中央に鎮座する巨大な聖火台。そこに灯される炎は、学園の結界を維持する魔力の象徴でもある。


 アレンとリリアーヌは、点火の補助役として聖火台の傍らに立っていた。

「……ようやく終わるな。この騒がしい祭りも、貴様との不本意な共同作業も」

「ふん。明日からは、あんたのその陰気な顔を見ずに済むと思うと、清々しますわ」


 互いに顔を背け、最後の大仕事に備えてマナを練る。

 だが、点火の合図が鳴り響こうとしたその瞬間、学園全体を揺るがすような不穏な「軋み」が走った。


「――なっ!?」

 アレンが真っ先に異変を察知した。足元の石畳から、急速にマナが吸い取られていく。

 次の瞬間、既に種火が灯っていたはずの聖火台から、一筋の黒い霧が立ち上がり、青白い炎が無残にも掻き消された。


「聖火が……消えましたわ!? どういうことですの、ベル!」

「お嬢様、何者かが外部から大規模な遮断術式を展開しています。……それも、学園の内部事情に精通した者の手口です」


 広場がどよめきから、次第に混乱と不安へと変わっていく。

 聖火が消えることは、祭りの失敗を意味するだけではない。学園の権威が失墜し、それを守れなかった実行委員――アレンとリリアーヌの責任が問われる事態だ。


「……見ろ。ヴェンツェルたちが笑っているぞ」

 アレンが観客席の一角を指差した。そこには、満足げに鼻で笑いながら、杖を懐に隠す上位貴族たちの姿があった。彼らにとって、自分たちを差し置いて活躍した「没落貴族と成金娘」の失敗こそが、最高のエンターテインメントだったのだ。


「あいつら……! 私たちの努力を、こんな下俗な嫌がらせで台無しにするなんて……!」

 リリアーヌの憤怒が、共感覚の回路を通じてアレンの血管を灼く。


 だが、嫌がらせはそれだけではなかった。

 広場全体に、聖火の消滅を嘲笑うかのような「負の魔力」が霧となって広がり、一般客たちの間にパニックが広がり始める。


「……おい、ゴールドベルク嬢。このままでは終わらせんぞ」

「言われなくても分かっていますわ。……あんな安っぽい闇、私たちの火種で焼き切って差し上げますわよ!」


 暗転した広場。絶望が広がる中、アレンとリリアーヌは同時に一歩前へ出た。

 消えた聖火を、誰よりも高く、誰よりも激しく再点灯させるために。

 二人の瞳には、かつてないほどの、そして完全に一致した「反撃」の光が宿っていた。


 静まり返った広場に、アレンの冷徹な声が響いた。

「……無駄だ。普通の火では、奴らが仕掛けた遮断術式は突破できない。マナを物理的に断絶させている」

 アレンの足元からは、氷のような青白い魔力が溢れ出していた。共感覚を通じて伝わってくるのは、広場を覆う負の魔力がもたらす、肌を刺すような不快感だ。


「だったら、その断絶ごと焼き払えばよろしいでしょう! 私の魔石に、不可能はありませんわ!」

 リリアーヌが黄金の杖を構えるが、空回りする火花が黒い霧に飲み込まれる。


「待て、ゴールドベルク嬢。貴様の高出力は、今のままではただの『暴発』だ。……僕が『芯』を作る。貴様は、その一点に全財産を叩き込め」

 アレンは聖火台の前に立ち、己の血液を魔力に変えるほどの勢いで術式を編み始めた。ヴォルザード家伝、極小の火種を永劫に維持するための古式発火法。


 アレンが描き出したのは、針の先ほどの小さな、しかしダイヤモンドよりも硬固な『マナの種』だ。

 そこへ、リリアーヌが躊躇なく最高級の魔石を十数個、一気に砕いてマナを流し込む。


「っ……、あああああッ!!」

 回路を通じて、リリアーヌの荒ぶる熱量がアレンの神経を焼き、アレンの精密な制御がリリアーヌの魔力を一点に凝縮させる。

 伝統の「器」と、最新の「燃料」。

 二人のマナが混ざり合い、黒い霧の結界を内側から食い破るような、凄まじい圧力が聖火台に蓄積されていく。


「……今だ、リリアーヌ! 全てを……吐き出せッ!!」

「言われなくても! ゴールドベルクの輝き、目に焼き付けなさいな!」


 二人の叫びと共に、聖火台から巨大な火柱が噴き上がった。

 それは単なる炎ではない。アレンの術式によって形を保ち、リリアーヌの魔力によって白熱化した、魔導の太陽だ。

 嫌がらせの遮断術式は、その圧倒的な熱量と密度の前に、一瞬で蒸発し、消滅した。


 闇を切り裂き、広場を昼間のように照らし出す黄金の炎。

 観客席で笑っていたヴェンツェルたちは、その光の圧力に押されて腰を抜かし、崩れ落ちた。


「…………ふぅ。……見たか。これが、僕たちの火種だ」

「おーっほっほ! 最高の、……最高の気分ですわ!!」


 聖火はかつてない勢いで燃え盛り、祭りの最後を祝う大歓声が夜空を震わせた。

 アレンとリリアーヌは、炎に照らされながら、互いの手のひらに残る「熱」を共有していた。

 伝統と革新が、完全に一つの答えを出した瞬間だった。


 黄金の聖火が夜空を焦がし、マグヌス祭は空前絶後の大盛況のうちに幕を閉じた。

 広場を埋め尽くす万雷の拍手と歓声。ステージの上に立つアレンとリリアーヌは、祭りを守り抜いた英雄として、全校生徒の羨望の眼差しを浴びていた。


 そこへ、学園長マグヌスが悠然と歩み寄り、二人を見渡して満足げに頷いた。

「見事だった。伝統の術式と最新の魔導、その融合がこれほどの奇跡を起こすとはね。……アレン・ヴォルザード、リリアーヌ・ゴールドベルク。君たちの『除籍』は、白紙に戻そう。文句なしの合格だ」


 その瞬間、アレンの肩から憑き物が落ちたように力が抜けた。ヴォルザードの名を汚さず、セバスの居場所を守り抜いた。その安堵感が、契約の回路を通じてリリアーヌにも伝播する。

 リリアーヌもまた、自分の実力が「成金」という蔑称を跳ね除けた喜びに、瞳を潤ませていた。


 感動のフィナーレ。誰もが、二人が手を取り合い、和解の握手を交わすと信じて疑わなかった。

 だが。


「……ふん。ようやく合格か。ゴールドベルク嬢、貴様が最後に余計な出力を上乗せしたせいで、僕の精密な術式にヒビが入ったではないか。修繕の手間をどうしてくれる」

 アレンが冷たく言い放ち、感動の余韻を台無しにした。


「なんですって!? あんたのその、針の穴を通すようなケチな制御に私が合わせてあげたから、あんなに綺麗に燃えたんじゃありませんこと! 私の最新の杖、あんたの術式の反動で少し煤けましたわ。弁償なさいな!」

 リリアーヌも即座に扇子を突き出し、アレンの鼻先で激しく扇いだ。


「弁償だと? 貴様の放った無駄な熱量のせいで、僕の喉はカラカラだ。……セバス! 帰るぞ。今夜は合格祝いに、いつもより三度ほど温度の正確な『お湯』を用意しろ!」

「おーっほっほ! 結構ですわ! ベル、帰りますわよ。私は最高級のポーション風呂に浸かって、この男から移った『貧乏の気配』を一滴残らず洗い流しますわ!」


 二人は互いに盛大に舌打ちをすると、一度も振り返ることなく、逆方向へと歩き出した。

 

 拍手を送ろうとしていた生徒たちは、固まったまま口を突き出している。カイルは「……ああ、いつもの二人だな」と苦笑し、ヨアヒムは手帳に『同調率は極めて高いが、人格的融和は依然として絶望的』と冷静に書き込んだ。


 校門の前。ヴォルザード家の馬車の前でセバスが、ゴールドベルク家の車の前でベルが、それぞれ主を待ち構えていた。

「坊ちゃま、お疲れ様でした。……お湯の温度、三度刻みで準備しておりますぞ」

「お嬢様、お見事でした。……不快感を洗い流すための、特製入浴剤も用意済みですわ」


 従者たちは一瞬だけ視線を交わし、微かに口角を上げた。

 学園祭という大きな嵐は過ぎ去った。だが、感覚を共有し、互いの内側を知りすぎてしまった二人の「不本意な日常」は、より一層激しさを増して続いていく。


 聖火の消えた夜の校庭に、二人の罵り合いの余韻だけが、いつまでも響いていた。


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