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喫茶店ローズ  作者: 環状線在住送り犬
喫茶店ローズ第2章〜ヴァレンティア王国編〜
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「ちがーう!!」

隠れ家の一室。


アレクシアはまだ負傷しているため椅子に腰掛けたまま、テーブルの上へ広げられたヴァレンティア城の見取り図を見つめていた。


エドワードが地図の一点を指先で軽く叩く。


「正面突破は論外だね。ルクレツィアも、もう僕たちが来ることは分かってる」


アルフレッドが頷く。


「警備も何倍にも増えてるだろうね」


鷹司は腕を組み、静かに地図を見つめる。


「同じ道は二度通れない。相手もバカじゃないし、学習している」


悟真も低い声で続けた。


「拙者も同意見。正面からでは、生還は難しかろう」


部屋が静まり返る。

その沈黙を破ったのはアレクシアだった。


「なら、正面から行かなきゃいい」


全員の視線が集まる。

アレクシアは地図の城下町を指差した。


「ルクレツィアは城内ばかり警戒してる。でも、人や物資は毎日城へ入ってるはず」


エリオットが穏やかに頷く。


「納品業者に紛れる、ということですね」

「そう」


アレクシアは続ける。


「食料やワイン、薪、日用品……城には毎日大量の荷物が運ばれる。その中へ潜り込めれば、中庭までは入れる可能性がある」


セドリックは顎へ手を添えた。


「現実的な案です」


オスカーがおずおずと口を開く。


「料理人……なら、厨房へ入れるかもしれません」

「それね」


アレクシアは頷く。


「オスカーは料理人として潜入。エリオットとセドリックは使用人。ガブリエルは荷運び役でも十分通用する」


ガブリエルは静かに微笑んだ。


「私の体格なら、不自然ではありませんね」


颯太は真剣な表情で尋ねる。


「俺は?」


エドワードが答える。


「颯太君は護衛役だ。若い従者なら怪しまれない」


アルフレッドは笑いながらアレクシアを見る。


「で、君は?」

「もちろん行く」


即答だった。


だが、その瞬間。


「却下」


エドワードが真顔で言った。


「傷が治ってない」

「でも!」

「却下」

「……。」


アルフレッドまで苦笑する。


「今回はエド兄に賛成かな」


アレクシアは不満そうに頬を膨らませる。


「私が一番セリオを助けたいのに」

「だからこそだよ」


エドワードの声は静かだった。


「君は動けば傷が開く。救出どころか、また守る人数が増える」


反論できなかった。

部屋に少しだけ重い空気が流れる。

その時、鷹司が静かに口を開く。


「救出は陽動が必要だ」


全員が振り向く。


「敵の視線を一か所へ集める者と、セリオを救出する者を分ける」


悟真も頷く。


「拙者が陽動を引き受けよう」

「私もだ」


鷹司が続ける。


「騒ぎを起こせば、騎士も兵もそちらへ集まる。」


エドワードはゆっくりと笑った。


「相変わらず派手なのが好きだね」

「派手ではない」


鷹司は淡々と返す。


「美しいだけだ」


アルフレッドが吹き出す。


「鷹司おじいちゃんらしい」


エドワードは地図を見つめ直し、全員を見渡した。


「作戦は二段階。鷹司と悟真が城の外で陽動を開始。その隙に僕たちは厨房側から潜入し、セリオを救出する。合流地点は地下水道の出口だ」


アレクシアは拳を握り締め、小さく頷く。


「今度こそ……必ず助け出す」


誰一人として異論はなかった。

隠れ家の空気は静かな緊張感に包まれ、それぞれが迫る決戦に向けて準備を始めるのだった。


「やっぱり、アレクシア様はセリオ様と両想いですね♪」

「ちがーう!!」

アンナの一言に、アレクシアはますます敏感になるのだった。

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