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夢毒 -YUMEDOKU  作者: Bonta
11/13

11話 移動

1軒目のバーを出ると、

 濡れた路面にネオンの光が滲み、遠くのビルの壁を揺らしている。


 吐く息は白く、カズヤは小さく咳をした。

 背の高い男が他の仲間を見て、低く言った。


「次、行くぞ。」

 一行は歩き出し、賑わう繁華街を抜けて、古びた2軒目のバーに入った。

 中は1軒目よりも薄暗く、奥のテーブルで何人かの客が酒を酌み交わしている。


「カズヤは外で待ってて。」


 凛々しい女が小さく告げると、カズヤの肩を軽く押した。


「……え?」


「大丈夫。私がついてる。」


 女はそう言ってカズヤと一緒に、バーの外の人気のない裏路地へ出た。

 街灯の切れた暗がりを抜け、小さなカフェの軒先で二人は腰を下ろす。


 しばらくして、遠くで誰かが笑う声が聞こえた。

 カズヤは落ち着かないまま、女の横顔を盗み見る。


 そのとき――

 酒とタバコの匂いをまとった二人組の男が、路地の奥から現れた。


「……おい、お姉さん。夜遊びか?」


 片方の男がにやつきながら近づいてくる。

 もう一人は懐から何かを取り出して、刃物のようにちらつかせた。


 カズヤが小さく息を呑むと、凛々しい女が前に出た。

 

「どきなさい。」


 低く静かな声。

 だが二人組は笑いをやめない。


「へぇ……強気じゃん? ガキと二人じゃ、無理だろ。」


 男たちがじわじわと距離を詰めた瞬間――

 背の高い男と、好奇心旺盛な少女、イケメンの男がバーから出てきた。


「おい。」


 背の高い男が一声低く唸るように言っただけで、二人組の顔色が変わる。


「……チッ、なんだよお仲間かよ。」


 刃物を持った男が一歩引いたそのとき、少女がカズヤの横に立って笑った。


「帰った帰った。」


 イケメンの男は黙ったまま視線だけで威圧する。

 二人組は舌打ちを残し、ゴミ袋の影に溶けるように消えた。

 

「怪我ない?」


 凛々しい女は小声で確認する。

 無言で頷き、カズヤにだけ目を向ける。


「……さ、戻るわよ。」


「俺らはまだ少し残る。カズヤを任せる。」


 背の高い男が短く言い残すと、2人をおいて女はカズヤと歩き出した。


 路地を抜け、街灯の明かりが滲む通りを離れ、

 拠点へ続く地下鉄の入口が見えてくる。


 線路の奥には非常灯の小さな光が揺れていた。


 カズヤは黙って、女の後ろを歩く。

 その背は冷たい風に揺れても、どこか頼もしかった。


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