表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢毒 -YUMEDOKU  作者: Bonta
10/13

10話 仕事

店を出ると、夜の街はさらに喧騒を増していた。

 看板のネオンと人々のざわめき、車のクラクションが混じり合い、

 カズヤは思わず立ち止まって、ビルの隙間に瞬く光を見つめた。


「カズヤは私と来て。」


 凛々しい女が、そっとカズヤの腕を取る。

 小さく冷たいその手に、カズヤは黙って頷いた。


 二人は人混みを外れて、通り沿いの小さなカフェへ入る。

 古いランプが机を淡く照らし、店内は街の喧騒が嘘のように静かだった。


 窓際の席に腰を下ろすと、女が黙って温かいドリンクをカズヤの前に置く。

 湯気の向こうで、彼女の瞳だけがわずかに街を伺っていた。


「他のみんなは……何してるんですか?」


 カズヤが小さく問うと、

 

 ストローでくるくると自分のドリンクを混ぜる

 「挨拶みたいなものよ。」


「……挨拶?」


「言葉を交わして、誰が敵で、誰が味方か確かめるの。」


 そう言って、女は窓の外へ目を向けた。

 カズヤも視線を追うと、路地の先に三人の姿があった。

 背の高い男と少女、イケメンの男が、屈強そうな男と低く話をしている。


 声は届かないが、男が笑い、少女が何かを相手に渡すと、

 屈強な男は短く頷き、ビルの奥へと姿を消した。


「……あの人は?」


「仕事相手。今日は収穫があるといいんだけど。」


 女はカップの縁を指でなぞり、淡く笑った。


「怖くないんですか?」


 思わずこぼれた問いに、女は肘をつき、少しだけ視線を伏せた。


「怖いわよ。でも……誰かがやらなきゃ、何も変わらない。」


 その言葉が夜の静けさに溶けたとき、窓の向こうに三人が戻ってきた。

 表情は読めないが、背の高い男が女にだけ短く何かを告げる。


「……収穫は無しだ。」


 女は小さく息を吐き、椅子を引いた。


「カズヤ、行くわ。」


 カズヤはまだ何も分からないまま、

 冷めたカップをテーブルに置いて、席を立つ。


 外に出ると、ネオンの赤が夜の街を血のように染めていた。

 その光の中で、カズヤはもう一度深く息を吸った。

感想とブクマお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ