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打ち上げ花火、普通に見るか、軍事と見るか

「……多い」

「だから言ったじゃないですか」


 アメノサさん、小さいやつかイチゴにしときなって助言したのに、大きいリンゴを選ぶんだもの。

 最初の内は食べれる! 余裕!って言ってりんご飴にかじりついてたんだけど……。

 半分を超えたあたりで、動きは鈍くなっていったよね。


「半分貰いますよ」

「……助かる」


 という事で残りの半分は俺が処理することに。

 ……うん、まぁ普通のりんご飴ですわね。

 欲を言うならもう少しリンゴ自体が美味しいと良いんだけどねぇ。

 まぁ、りんご飴自体がその……ね。

 多少質が悪いリンゴでも誤魔化せちゃう食べ物だから……。


「冷やしキュウリと冷しパイン買ってくる」

「俺の分もお願いします」

「りょ」


 という事で買いに行ったアメノサさんなわけですけれども。

 さて、と。

 そろそろ適当な場所に待機しますかねぇ。

 始まるしね、花火大会。



「む?」


 背後で鳴った大きな音に手元が狂い、


「くっ!?」


 最後、と言われて渡された型抜きに失敗するマジャリス。

 まぁ、最後と言われた理由はそれまで荒稼ぎし過ぎたからなわけであるが。


「ほら、花火も始まっちまった。もう店仕舞いだよ」


 店主も、何かと理由を付け、型抜きにハマったと思ったらコツを掴んだのか荒稼ぎしてくる謎の外国人から逃げようともがき。

 その理由として、花火大会の開始を選んだ。


「むぅ」


 マジャリスとしてはもう少し稼ぎたかったところではあるものの、そう言われては仕方がない。

 そういうものなのだと納得するしかなかった。

 ……とは言え、


「倍くらいにはなったな」


 一人だけ、軍資金を倍にすることには成功したが。


「さて、焼きとうもろこしにベビーカステラ、果物に果実飴、何でも買えるぞ!!」


 そうしてテンションの上がったマジャリスは、誰よりも多くの出店を回り。

 ホクホク顔で花火大会を終えるのであった。

 なお、型抜きのコツなどは一切掴んでおらず、風魔法による型抜きの溝の掘削と、状態固定魔法による成功状態の保全、時間逆行魔法によるミスの修正を駆使したエルフ限定のパワープレイであった事だけは追記しておく。



「ん?」

「始まるみたいですわよ」


 マジャリスが型抜き屋から追い出されたころ、リリウムとラベンドラは適当な木陰で寛ぎつつ、タコ焼き、焼きそば、はし巻き、唐揚げとガッツリと食事中。

 なお、二人の周囲には風魔法と水魔法を駆使した目に見えない冷却装置が展開されており、結果として、


「なんかここ涼しくない?」

「ね」


 その涼しさのおすそ分けを貰ったカップルが居たりするが、当の二人は気にしていない。

 目線は空へと打ち上がる花火に釘付けである。


「これだけの火薬を見世物に出来るという軍事アピール」

「色が違うのは火力の調整も可能という事を見せつけているのでしょうね」


 ただその……花火大会の正しい楽しみ方か? と言われると、恐らくは間違っているのだが。

 食事や酒に集中し、花火を見ていないどこかの酒飲み達や、甘い物の店をはしごしまくるエルフよりはマシであろう。

 花火見てるし。


「……中の玉が邪魔ですわね」

「味がついてるかもしれんぞ?」

「確かに……。――無味ですわね」

「飲むのに邪魔なだけか」


 なお、二人の手にはラムネがあったりするが、飲むのに邪魔だからと中のビー玉は転移魔法で瓶から取り出されてしまう。

 この場に翔が居たら、風情が無い、とでも言いそうなものだが……。

 残念ながら翔はこの場に居ない。

 誰もこの二人の間違った花火の解釈に、ツッコミを入れる人は、居ないのである。


「仕掛け花火?」

「敵陣に素早く仕掛け、遠隔で損害を与える物だろう」

「なるほど」


 ツッコミはいた方がいいのかもしれない。



「空がうるさいのぅ」

「花火ってやつだろ。ま、酒飲みながら見る景色としてはいいんじゃねぇか?」

「うるさいだけじゃわい」


 周囲を酔い潰し、二人だけになったガブロと『無頼』は、潰す前に買って来てもらった酒とツマミでしっぽり……と表現が合っているかは分からないが酒を堪能中。

 最も、その酒とツマミが無くなったら、もう軍資金は残っていないため、何も飲み食い出来なくなるのだが。

 この二人にとってはそうなったら適当に時間を潰すだけの事。


「そう言わずに見てみろよ。結構綺麗だぜ?」

「むー?」


 まぁ、そんな酒とツマミが無くなる、という現実から目を背けるために、打ち上がる花火に目を向けたものの。


「色が違うな。素材を変えておるんか?」

「そうじゃね?」

「火の残り方も違う。むぅ、仕組みが知りたい……」


 花火を楽しむのではなく、ドワーフとして、花火の構造に興味を持ってしまい。

 

「弟に話してみて作らせるか?」

「武器でもねぇのに工房を使ってやるなよ……」

「どう見ても侵略用の武器じゃろ。あれを敵国中枢で破裂させてみろ」

「む……。確かに一理あるな……」


 『無頼』と二人で、花火の構造と、どう使用すれば敵国に大きなダメージを与えられるか、という議論を展開し始めてしまう。

 ……そんな話してるから酔いが覚めるんですよ?

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― 新着の感想 ―
相変わらず面白い!
更新ありがとうございます∠(`・ω・´) 花火大会の楽しみ方は人それぞれだけど……羨ましいのはアメノサさん翔君の花火デートが一番リア充(゜A゜;)ゴクリと某エルフさんの型抜き詐欺で軍資金倍にして買い食…
御殿場の総火演の富士山みたいなもんを解釈しているのかな? で、間接チッス?
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